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町から病院がなくなったら死ぬ人が減った…「日本の高齢者医療」の深すぎる闇

2024年02月16日 23時03分56秒 | 医療のこと
町から病院がなくなったら死ぬ人が減った…医師・和田秀樹が指摘する「日本の高齢者医療」の深すぎる闇(プレジデントオンライン) - Yahoo!ニュース 




町から病院がなくなったら死ぬ人が減った…医師・和田秀樹が指摘する「日本の高齢者医療」の深すぎる闇
12/30(土) 7:17配信

日本人の死因の一位となるがんで死ぬ人が増えるほどに、マスコミなどを通じて「がんは怖い病気だから、がん検診を受けよう」と喧伝(けんでん)されがちです。しかし、世界中を見ても日本でがんの死者数が多く増え続けている理由の一つは、「がん検診のしすぎ」だと感じています

 2006年、北海道の夕張市が財政破綻し、市民病院が廃止になり、19床の診療所となったため、夕張市民たちが病院で医療行為を受ける回数が格段に減りました。病院に行けないのであれば死者数は増えるのでは……と思われるところですが、なんと夕張市では、がんで死ぬ人と心臓病で死ぬ人、脳卒中で死ぬ人の数がすべて減り、老衰で死ぬ人の数だけが増えたのです。

プレジデントオンライン
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/lightkey


健康で長生きするにはどうすればいいのか。医師の和田秀樹さんは「医者が無理やり病気をつくり、本来は治療しなくてもよい人を治療するケースが驚くほど多い。医者にかかることで、かえって寿命が短くなるおそれがある」という――。


【この記事の画像を見る】


 ※本稿は、和田秀樹『医者という病』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです。


■日本の医療は、無駄な検査と投薬が多すぎる


 高齢者になると格段に処方される薬の量が増えますし、無駄な検査も増えてしまうので、医療費を増大させる要因になります。ただ、医者が正常値にこだわらず、「少しでも数値がその枠からはずれると、薬を使って数値を戻そうとする」という行為をしなければ、医療費が少しは軽減されるでしょう。


 日本の医療体制の崩壊を防ぐには、何とかしてこの「正常値信仰主義」を正して、無駄な検査や投薬を防ぐ必要があるのです。そのために大切なのは、血圧の高い人が薬をやめたらどうなるのか、逆に薬を飲み続けた人はどうなっているのかを、きちんと大規模調査することです。


 現状、日本の正常値にはまともなエビデンスがありません。それならば、ただの平均値±2標準偏差である正常値に頼らず、調査によって導きだしたエビデンスを元に、日本の医療のベースとなる治療方針を決めるべきではないでしょうか。


 その際には、ぜひ「成人の正常値」だけではなく、「高齢者の正常値」についても調査してもらいたいものです。


 私自身、もし許されるならば、健康状態を改善しつつも医療費を下げる研究などをしたいです。しかし、大学医学部の教授のように研究費がない上に、研究スタッフもいないので、自分では実施できません。現在、研究ができる立場にいる大学の教授は、非常に恵まれています。


■がん検診が広がっても、がんが「死因トップ」のまま


 ところが、彼らは自分たちはろくにこの手の研究をしない上に、この手の研究をする人を選挙で教授にさせません。研究者を名乗るのであれば、研究費稼ぎのための製薬会社にこびへつらうための研究ではなく、少しでも日本の医学に貢献する研究を進めてほしいものです。


 もしまともな研究をしないならば、もっと向学心のある若者に道を譲って、引退していただきたいです。


 各種検査の中で、「これは不要ではないか」と私が強く思うのは高齢者の「がん検診」です。


 日本人の死因の一位となるがんで死ぬ人が増えるほどに、マスコミなどを通じて「がんは怖い病気だから、がん検診を受けよう」と喧伝(けんでん)されがちです。しかし、世界中を見ても日本でがんの死者数が多く増え続けている理由の一つは、「がん検診のしすぎ」だと感じています


 昨今の日本では、腫瘍マーカーなどの血液で簡単にできる検査をはじめ、がん検診が広く行われるようになりました。しかし、がん検診がどんどん普及しているのに、がん患者の数が増え、がんによる死亡者数も増えています。


 なぜこんな不思議な事態が起こっているのでしょうか?


 それは、検診で見つけなくてもよいがんを発見しては、無理やり治療するからこそ、がん患者やがん死者が増えているという大きな矛盾が存在するからです。


■高齢者にがん検診は必要ない


 そもそもがんは治療せずに放置していても、死の直前までは痛みなどを感じづらく、晩節を穏やかに過ごせるため、「最も幸せな病気」と言う医者もいるほどです。余命があと数年という患者さんのがんを見つけて、それを無理に治療してつらい思いをさせる必要はないと私は思います。


 また、どんなに対策していても、高齢者になるほどにがん患者の割合は増えていきます。そもそもがんという病気は、細胞の老化によって引き起こされる要素があります。私がかつて浴風会病院という高齢者専門の総合病院に勤務していた際、患者さんの遺族の許可を取り、毎年100例ほどの遺体の解剖が行われていました。


 解剖してみたところ、80代後半の方で、体の中にがんのない患者さんはほとんどいませんでした。それでも、がんが死因だった人は三分の一くらいで、残りの方はご自身ががんであることを知らずに亡くなっていきました。


 高齢者であれば、がんが体内に発生したとしても、無理やり早期発見をして、治療する必要はないともいえるのです。


■一番怖いのは「がんもどき」を無理やり治療する行為


 「病気は早期発見するほうが良い」と思われるかもしれませんが、検診によって恐ろしいのが、本来は治療しなくてもよい「がんもどき」を発見することです。「がんもどき」を最初に提唱したのは、近藤誠先生です。がんには、ほかの臓器への転移や浸潤(しんじゅん)する能力を持つ危険ながんと、これらの能力を持たない「がんもどき」の2種類があります。


 危険ながんの場合は、手術などで取り除いても再発を繰り返しますし、手術や抗がん剤治療などを行うことで体への負担が強くなり、死期が早まることもあります。


 しかし、がん検診で見つかる早期がんの大半は、「早期治療したほうが良いがん」ではなく、治療する必要のない「がんもどき」だというのが、近藤先生の考え方です。悪さをしない「がんもどき」は、転移はしないので、ご自身が症状を自覚するようになってから治療しても、決して遅くありません。


 「がんもどき」の代表的なものといえば、スキルス性以外の胃がんや前立腺がん、甲状腺がんなどです。これらのがんは、手術や抗がん剤、放射線などで治療しようと試みられがちですが、放置しても問題がないことも多いので、無理に治療してQOLを下げるほうが問題だと私は考えています。


 何が言いたいのかというと、がん検診を受けても、数種類のがんをのぞけば、大半のがんは見つけても助からないか、放置しても問題のないもののどちらかしかないということ。ですから、日本では数多のがん検診が行われているものの、がんの死亡者数がちっとも減らないのです。


■がんと一緒に生きる選択肢もある


 早期発見したとしても、深刻ながんの場合は、寿命を1、2年延ばすことはできても死を防ぐことは難しいのです。


 非常に残念なことですが、転移するタイプのがんは、10年ほどの年月をかけて、1センチほどの大きさへと成長していきます。その頃になってようやくがんを発見できるわけですが、すでにその時点で、がんは体中のいろいろな場所へと転移しています。


 つまり、がんの種類が悪ければ、早く見つけて治療してもうまくいかないですし、がんの種類が悪さをしないものであれば、治療をしなくても長生きできるのです。


 もちろん若い人ならば手術や治療に耐えられる力はあると思うので、早期発見によって治療する選択肢も悪くはないでしょう。ですが、ただでさえ体中の細胞ががん化しやすい上にその進行が遅い高齢者については、早期発見したせいで治療を行うことになり、抗がん剤や手術で体を壊したり、入院によって足腰が弱ったり、体力が大きく落ちてしまったり……との弊害が起こりがちです。


 私自身が見てきた多くの高齢者たちの中には、がん検診を受けず、自分ががんだと知らなかったがゆえに、最後まで人生を楽しみ、穏やかに亡くなった方々が大勢いらっしゃいます。


 どちらを選ぶかは価値観次第ではありますが、検診を通じて無理にがんを見つけて戦おうとするのではなく、もしかしたら体にいるかもしれないがんと一緒に生きるという人生を選ぶことも、一つの手段だと思います。


■過度な医療の介入は健康を損なう


 現在の日本の医療は、事前に病気を防ごうとする予防医療が中心です。ですが、そのやり方はあまり意味がないのではないかと、私は常々思っています。


 そう思う根拠の一つに、1974年から1989年にわたってフィンランドの保険局で行われた大規模な調査研究があります。この調査では、40歳から45歳の循環器系が弱い男性が約1200人参加し、健康管理をされたグループと何も介入しないグループとに分けて、その後15年間にわたって追跡調査を行いました。


 最初の5年間、健康管理が行われたグループは、4カ月ごとに健康診断を行った上で薬剤が処方され、アルコールや砂糖、塩分の管理など食生活に関する指導も行われました。何もしないグループでは、健康調査票への定期的な記入以外は、放置されたのです。


 その後、6年目から12年目については、健康管理は自己管理にしてもらい、15年後に両者の健康状態がどうなっているのかを検査しました。多くの方は、最初に健康管理されたグループのほうが、十五年目の健康状態は良いはずだ……と考えるのではないでしょうか。


 しかし、結果はその予想を大きく覆すもので、がんをはじめとする各種の病気の死亡率や自殺者数、心血管性系の病気の疾病率や死亡率などの数値は、きちんと健康管理が行われていたグループのほうが高かったのです。


 この結果を見て、「過度な医療の介入は健康を損なうのではないか」と感じる人は少なくないでしょう。


■欧米で集団検診が廃止になったワケ


 ただ、私が驚いたのは、このフィンランドの研究が発表された後の日本の医者たちの反応でした。本来ならば、多くの医療関係者たちがこの衝撃的な結果に対して真剣に向き合うべきだと思いますが、日本の多くの医者たちは「調査の仕方が間違っているのでは」といって検証もせず、バカにするだけ。


 医者たちが科学者である以上、調査で自分が納得のできない結果が出たのならば、きちんとその原因を精査すべきではないでしょうか? 調査の仕方が悪いというのであれば、それを修正した上で何がおかしかったのかを具体的に挙げるか、自分たちが同じ実験を行って、「このデータは間違っている」と指摘するべきです。


 科学的なデータには科学的な反論が必要です。ですが、日本の医者の大部分は、こうした作業を怠り、自分たちの常識と違うデータは、検証もせずに排除する。国立大学にしても私立大学にしても、彼らの研究には国からの補助金も出ています。当然ながら、補助金は国民の税金から成り立っているのですから、研究費をもらう以上は公共の利益に還元されるような研究をするべきです。


 ですが、彼らはこれまでの常識を覆す実験や調査結果に文句ばかり言って、自分たちでその結果を調査することはしません。これでは、日本の医学がいつまでたっても進歩しないのは当然です。だからこそ、日本は、アメリカよりも医学の進歩が10年(下手するとそれ以上)遅れてしまうのでしょう。


■集団検診が義務化されているのは、日本と韓国くらい


 また、そもそもの集団検査自体も、国際的には不要論がささやかれています。


 日本では、集団検診をして、血圧や血糖値、コレステロール値を見て、異常値があれば、検査データを正常にするために薬を出すやり方が主流です。ただ、世界的な研究で、集団検診は結果的には患者の寿命をあまり延ばさないということが近年わかってきました。

 欧米ではいち早くこの事実に気が付いたため、集団検診は廃止になっています。現在のように、日本のような集団検診が義務化されているのは、日本と韓国くらいです。


 2019年2月の日経新聞の報道によれば、OECDも日本の集団検診には見直しを求めているほどです。この事実について、もっと多くの日本人は知っておくべきではないかと私は思います。


■医療行為をしないほうが死ぬ人は減る


 日本でも、医者いらずのほうが、寿命が延びた例はあります。その有名な例として挙げられるのが、「夕張パラドックス」でしょう。


 2006年、北海道の夕張市が財政破綻し、市民病院が廃止になり、19床の診療所となったため、夕張市民たちが病院で医療行為を受ける回数が格段に減りました。病院に行けないのであれば死者数は増えるのでは……と思われるところですが、なんと夕張市では、がんで死ぬ人と心臓病で死ぬ人、脳卒中で死ぬ人の数がすべて減り、老衰で死ぬ人の数だけが増えたのです。


 この夕張市の事例は、医療行為をしないほうが死ぬ人は減るし、病気にならずに老衰で死ねるという疫学的な根拠になったといえます。


 コロナ禍でも、医療行為をしなかったゆえに死亡者数が減るという現象がありました。新型コロナウイルス感染症が日本にやってきた最初の年である2020年、実は日本全体の死者数が驚くほどに減りました。2020年は死亡数が約138万人で死亡数は11年ぶりに減少しました。


 本来、少子高齢化が進んでいますから、死者数は毎年増えるはずなのに、2020年は前年より死者数が約9000人も減ったのです。


■医者が無理やり病気を作り出しているのではないか


 多くの方は、コロナ禍には人がバタバタと亡くなっていったと思いがちですが、コロナが流行ったせいで医療機関に行かなくなった患者がものすごく増えました。何しろ熱があったらコロナだとみなされ、病院に拒絶されることが多かったのですから。


 その後、2021年と2022年は史上最大の死者数を更新しました。これは、以前と同じように医者の治療を受けていたら死んでいた人たちが、一年間寿命が延びた結果だと考えれば、医者に行かなければ一年くらい寿命が延びるという大きな推定根拠になったと思います。


 そして、もう一つの特徴は老衰が大幅に増えていることです。これも医者に行かないと、病気で死なないで自然に死ぬことができるということでしょう。


 医者が無理やり病気をつくった結果、本来は治療しなくてもよい人が治療する羽目に陥っているケースが驚くほど多いことが、これらの事例からよくわかるのではないでしょうか。






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和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
1960年、大阪市生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。ルネクリニック東京院院長、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。2022年3月発売の『80歳の壁』が2022年トーハン・日販年間総合ベストセラー1位に。メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
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【速報】桐島聡容疑者を名乗る男が死亡 警視庁公安部が本人確認を進める中 末期の胃がんで入院

2024年02月16日 21時03分25秒 | 事件と事故
【速報】桐島聡容疑者を名乗る男が死亡 警視庁公安部が本人確認を進める中 末期の胃がんで入院(日テレNEWS NNN) - Yahoo!ニュース 


【速報】桐島聡容疑者を名乗る男が死亡 警視庁公安部が本人確認を進める中 末期の胃がんで入院
1/29(月) 8:05配信



日テレNEWS NNN


捜査関係者によりますと、神奈川県鎌倉市の病院に末期がんで入院し、今月25日に桐島聡容疑者を名乗った男が29日、死亡したということです。


男は今月、「ウチダヒロシ」の名前で入院していましたが、関係者に「死ぬときくらいは本名で死にたかった」などと話し、桐島聡を名乗ったため警視庁公安部が本人確認を進めていました。


ただ桐島容疑者の指紋やDNAは残っておらず、警視庁が親族のDNA型と照合するなどして身元確認を進める中、29日、病院で男の死亡が確認されたということです。男は末期の胃がんと診断を受けていました。


桐島容疑者は1970年代に起きた連続企業爆破事件で重要指名手配されている「東アジア反日武装戦線」のメンバーで、1975年に爆発物取締罰則違反の疑いで指名手配され、50年近く逃走していました。


男は「内田洋」という名前で数十年前から神奈川県内の工務店で住み込みで働いていたということで、警視庁公安部は男の本人確認を進めるとともに桐島容疑者が偽名で長期間、神奈川県内に潜伏していた可能性もあるとみて調べています。



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独自入手「自民党員1000人調査」で見えた岸田政権崩壊の予兆 「自民に投票しない」が2割強の衝撃

2024年02月16日 19時03分51秒 | 政治のこと
独自入手「自民党員1000人調査」で見えた岸田政権崩壊の予兆 「自民に投票しない」が2割強の衝撃 古賀茂明
古賀茂明 によるストーリー




2/9/2024


 日本の首相は国会議員によって選ばれ、その国会議員は国民が選ぶ。したがって、我々国民は、間接的にではあるが首相を選んでいることになる。


 しかし、2012年末に自民党が政権に返り咲いて以降、国会では常に自民党が多数を握り、その結果、自民党総裁が事実上自動的に首相の座に就いている。


 その自民党総裁は、自民党の総裁選挙で選ばれるが、総裁選での投票権を持つのは国民ではなく、自民党所属の国会議員と自民党員だけだ。つまり、日本の首相は、わずか数百人の国会議員と112万人(2022年末)の自民党員だけによって選ばれるのだが、そのことはあまり注目されていない。


 最近、「ポスト岸田ランキング」の報道をよく見かける。数字に違いはあるが、概ね石破茂自民党元幹事長がトップで、2位に小泉進次郎元環境相、3位に河野太郎デジタル相、4位に高市早苗経済安全保障担当相が続くというものが多い。


 ただし、その順位は、国民一般を対象にした世論調査の結果によるものだ。


 しかし、首相を決めるのは、一般国民ではなく、一握りの自民党員らであるという事実を前提にすると、本来は、自民党員の間での人気ランキングが重要なはずだ。


 もちろん、世論調査では、支持する政党についても質問しているので、クロス集計によって、自民党支持層に限定したポスト岸田のランキングは出せる。現に、新聞によっては、それを公表しているところもあるが、本体調査のサンプル数が千程度のものが多く、その中の自民党支持層のサンプル数は数百にしかならないので、信頼度が低い。


 しかも、自民党を支持すると回答している人でも、自民党に党費を払って総裁選で投票できる資格を持っている人の割合はかなり低いと考えられるので、実際の総裁選になった時の予想にはとても使えないという限界がある。


 そこで、最初から質問する対象を自民党員に限定して千人の回答を得た調査があるとなれば、自民党の総裁候補は誰でもそれを見たいと切望するだろう。


 実は、ごく最近、永田町である調査の存在が話題になっているという噂を耳にした。いろいろと探ってみると、たしかにあるデータの存在が確認できた。それは、まさに自民党員に限定して行ったという意識調査の結果だ。実施されたのは1月下旬とかなり新しいものだった。すでにある程度の数の人が持っているようなので、おそらくこの話は永田町などで急速に広がっていくだろう。ただし、残念ながら、どのようにして入手したかは明かせない。


 そんな話は眉唾だと思う方は、この先を読むのをやめてもらってももちろん結構だが、試しに見てみようという方は、読んでいただければ、かなり面白い事実を知ることができるはずである。


 問いの順に結果を紹介しよう。

 問1は最近の裏金問題についての受け止めを聞いている。


 69.2%が、「政治に対して不信感が強い」と答えている。「それほどの問題だとは思わない」が26.8%、「無関心なのでどうでもいい」が4.0%だった。正規の自民党員でもほぼ7割が政治不信を高めていることがわかる。


 問2は支持政党だ。自民党員に支持政党を聞くのは不思議だと思うかもしれないが、結果は非常に興味深い。


「自民党支持」と答えた自民党員はわずか67.5%しかいない。


 12.9%が「支持政党なし」と答え、無党派層に転化している。


「立憲民主党支持」が4.8%で「日本維新の会支持」の4.2%を上回り、「共産党支持」も1.7%で、「国民民主党支持」1.6%の上を行く。自民に嫌気がさした自民党員の行き先としては、維新と国民民主が大半だと思ったが、そうではない。こうしてみると、維新は自民党から離反する人の受け皿にならなくなっているようだ。最近の退潮傾向と整合的である。


 問3は岸田文雄内閣への支持について。


 岸田内閣を「支持する」自民党員は、わずか34.6%。「支持できない」が47.4%で、「わからない」が18.0%だ。岸田内閣が死に体だということがよくわかる。


 問4は、次の首相として期待できる人はいるかという問い。


「期待できる人がいる」が44.9%、「いない」が37.3%、「わからない」が17.9%。自民党員から見て自民党内に首相候補を見出せる人が半数もいないというのは、かなりの驚きだった。


 問4−1では、問4で「期待できる人がいる」と答えた人と「わからない」と答えた人に対して、名前を挙げて、次の首相は誰に託したいと考えるかを聞いた。首相候補ランキングである。


 1位が石破氏なのは驚きではないが、33.0%もの高率だった。実に、3分の1が石破氏を次期首相にと期待している。


 2位は高市氏で14.7%、3位が岸田首相で12.2%、4位が上川陽子外相で9.6%、5位が小泉氏で8.6%、6位が林芳正官房長官で8.1%、7位が河野氏で7.1%、8位が茂木敏充党幹事長で6.6%だった。


 一般の世論調査でも石破氏は1位になっているが、数字は多くの場合、10%台後半が多い。自民党内では石破支持は低いが、野党支持者の多くが石破氏を支持しているから1位になるのだと解説されているが、この調査では、自民党員だけの中で支持率が33%という非常に高い数字になっている。


 これはどういうことなのか。


 自民党は安倍晋三政権誕生以降、急速に右傾化したと見られていたが、旧統一教会の問題や今回の裏金問題で安倍派が信頼を失う中で、これまでの路線への懐疑的な見方が広がっている可能性がある。


 そうした党員の一部で反安倍を貫いた石破氏に支持が流れているのかもしれない。


 一方で、高市氏の支持率が一般の世論調査に比べて非常に高いのは、安倍派の事実上の崩壊を受けて、同派に見切りをつけた岩盤右翼層を含むタカ派の党員が高市支持に回ったとみるのが順当だろう。


 こうしたことを意識しているのか、高市氏は、これまで維新に流れていた保守層を自分のところに惹きつける作戦にもぬかりがない。1月下旬、突然大阪・関西万博の延期を岸田氏に進言したことを表明したのも、明らかに維新叩きの狙いが見て取れる。


 また、同じ女性候補であるが、従来の世論調査ではほとんど名前が上がらなかった4位の上川氏は、これまでほとんど無名であったことが逆に新鮮なイメージにつながっているようだ。また、英語が堪能でこれまで例の少ない女性外相に就いた意外性もあって支持を集めている。一気に小泉、河野を抜いて、4位へ急上昇した勢いを見ると、大化けする可能性もある。(この調査は、麻生太郎元首相が上川氏の容姿を揶揄しながらその能力を高く評価する発言をして世間の注目を集める前に行われています)


 メディアが、高市、上川両氏を取り上げて、「女の闘い」などと面白おかしく取り上げる可能性もあり、そうなると注目度はさらに上がるだろう。


 この2人の間で、岸田氏が3位に入っているが、現職首相でありながら、自民党員の8人に1人しか次も首相になってほしいと思っていないというのだから、その不人気ぶりは際立っている。現在の内閣支持率も自民党員の中でさえ34.6%と十分に低いが、再選を望む人はさらにその3分の1でしかないということを示している。


 一方、小泉氏と河野氏は、自民党員の間では人気が伸び悩んでいる。2人とも脱原発派で、リベラルなイメージが強かったが、そうした傾向を持つ自民党員は、石破支持に回っているように見える。


 石破氏は、憲法改正派であり、防衛力強化も支持している。脱原発というわけでもないので、野党支持層までもが惹きつけられるのは理解できないと感じる人も多いだろう。しかし、何よりも人柄で信頼を築き、不遇を覚悟で信念を貫いた政治姿勢も支持され、安倍派をはじめとする金権・強権政治への対抗軸として人気が高い。それによって、小泉氏や河野氏を支持してきたリベラル層ないしハト派にも食い込んだのではないか。


 また、河野氏については、リベラル層が支持しているというのは過去の話となり、どちらかというと、同氏の言動がタカ派に受けているという傾向が、石破氏に支持層を奪われることにつながっているように思える。


 林氏が河野氏を上回ったり、一般の世論調査では非常に低い数字しか出ない茂木氏も河野氏に迫る数字を出したりしているのが驚きだったが、それは、単なる自民党支持層ではなく自民党員対象の調査であることが影響しているのだと思われる。


 自民党員には、頻繁にメールで自民党関連のニュースが送られてくるので、彼らは、林氏が官房長官として、あるいは、茂木氏が幹事長として、また上川氏が外相として、それぞれ「活躍」していることを一般国民はもとより単なる自民党支持者よりも遥かによく知っている。つまり、自民党政治に関するリテラシーはかなり高いことが影響しているのだと思われる。

© AERA dot. 提供
 最後に、あと二つ調査結果を紹介しておこう。


 問5では、岸田首相の交代時期について聞いているが、次の総裁選(時期は特定せず)で「交代を望む」という自民党員が56.6%、「再選を望む」が20.8%、「わからない」が22.6%だった。


 岸田氏を積極的に支持したのが12.2%いたことと合わせて考えると、8%程度は期待できる人がいないので誰がやっても同じだと考えて再選でも良いと答えた人がいるということになるのではないか。


 問6では、次の衆議院選で自民党候補者に投票するかと聞いている。「必ず投票する」と答えた人がわずか54.2%だった。「迷っている」が21.7%、「多分投票しない」が22.5%、「棄権する」が1.7%だった。


 この数字は驚きだ。自民党員の2割以上が、迷いもせず今の段階で、棄権をせずにしかも自民党に多分投票しないと答えている。つまり、他党に投票するだろうと言っているのだ。迷っているも2割以上いるから、その中にも他党に流れる党員がいるだろう。こうした傾向が自民党支持層一般にも広がっていると考えると、次の選挙では、自民党の得票が激減する可能性があるということになる。


 政権交代が起きるとすると、野党の頑張りに期待するしかないように感じるが、ここで紹介したデータを見ると、それよりも、自民党が自壊して政権交代が起きる可能性があることが見えてくる。


 一方で、岸田首相にとっては、自民党員の支持に限れば、石破氏を潰し、高市氏の追撃をかわすことが延命の条件になる。上川氏の大化けをどう防ぐかも課題だ。


 そうしたことをケアしながら、先週の本コラムで紹介した所得減税による実質所得大幅アップという切り札にかけて、8月または9月の解散総選挙を狙うということになるのだろう。


 ただし、岸田首相の大逆転は、「国民はバカだ。時間が経てば必ず忘れる」という安倍氏から引き継いだ岸田氏の哲学が正しかった場合にのみ実現可能だということだ。


 逆に言えば、我々国民が果たすべきは、自民党が崩壊しつつあるということを認識し、次の総選挙まで、現在の岸田政権や自民党政治への怒りの気持ちを忘れずに必ず投票に行くこと。それに尽きる。


 政権交代は手に届くところに来ているのだ。



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寒風の境内で

2024年02月16日 17時03分23秒 | 日々の出来事
風が冷たい境内です
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野党結集なら「自民倒せる[深層NEWS]裏金疑惑巡り「1円まで明らかに」

2024年02月16日 15時03分24秒 | 政治のこと
[深層NEWS]裏金疑惑巡り、小沢一郎氏「1円まで明らかに」…野党結集なら「自民倒せる」 (msn.com) 



 立憲民主党の小沢一郎衆院議員が9日、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、自民党派閥による政治資金の裏金疑惑と政権交代の可能性について語った。


 小沢氏は政治資金収支報告書を巡り、「出と入りを1円まで明らかにすればいい」と主張した。衆院の小選挙区制度に関しては「政権交代可能なシステム。野党が力を合わせれば、自民党を倒せる」と強調し、「野党第1党の立民がリーダーシップをとらないといけない」と指摘した。

1/10/2024


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