前回、ポツダム宣言の六、七項目について
述べました。
では、他の項目についてはどうなのか?
連合国が占領を解除する条件を第九項〜十二項にかけても記述されています。
九 日本国軍隊ハ完全ニ武装ヲ解除セラレ
タル後、各自家庭ニ復帰シ、平和的且
生産的ノ生活ヲ営ムノ機会ヲ得シメラ
ルベシ。
十 吾等ハ日本人ヲ民族トシテ奴隷化セン
トシ、又ハ国民トシテ滅亡セシメント
スルノ意図ヲ有スルモノニ非ザルモ、
吾等ノ捕虜ヲ虐待セル者ヲ含ム、一切
ノ戦争犯罪人ニ対シテハ厳重ナル処罰
ヲ加ヘラルベシ。日本国政府ハ日本国
国民ノ間ニ於ケル民主主義的傾向ノ復
活強化ニ対スル一切ノ障礙ヲ除去スベ
シ。言論、宗教及思想ノ自由竝ニ基本
的人権ノ尊重ハ確立セラルベシ。
十一 日本国ハ其ノ経済ヲ支持シ且公正ナ
ル実物賠償ノ取立ヲ可能ナラシムル
ガ如キ産業ヲ維持スルコトヲ許サル
ベシ。但シ、日本国ヲシテ戦争ノ為
再軍備ヲ為スコトヲ得シムルガ如キ
産業ハ此ノ限ニ在ラズ。右目的ノ為
原料入手ヲ許可サルベシ。日本国ハ
将来世界貿易関係ヘノ参加ヲ許サル
ベシ
十二 前記諸目的ガ達成セラレ、且日本国
民ノ自由ニ表明セル意思ニ従ヒ平和
的傾向ヲ有シ且責任アル政府ガ樹立
セラルルニ於テハ、連合国ノ占領軍
ハ、直ニ日本国ヨリ撤収セラルベシ
同宣言が示す占領軍撤収の条件は以下の六点であるのです。
①日本軍の武装解除
②戦争犯罪人の処罰
③民主主義の復活と強化、その障害の除去
④言論、宗教、思想の自由と基本的人権の
尊重
⑤戦争の為の再軍備を可能にする産業の禁
止
⑥日本国民の自由に表明する意思に従って
平和的傾向を持ち責任ある政府樹立
実際には先述の十二項が削除され日本側に突きつけられた為に、ポツダム宣言の条項に、天皇の統治、皇位継承、天皇の政治に対する無問責などの國體に関する言及は一切ありませんでした。
米国の当初の議論では、天皇を残す事を考えていました。
天皇廃止ではなく、天皇存置が前提で議論されていたのです。
しかし、ポツダム宣言を見れば八月革命説で重視された根本建前には全く関心がなかった事もわかります。
『主権』については一切の言及はありません。
ポツダム宣言に接した日本政府並びに統帥部は、米国が予想した通り、同宣言受諾によって國體が護持されるのかを最も重視していました。
しかしポツダム宣言中にその様な記述がないために、國體護持に疑念を抱くのです。
ポツダム宣言が発せられて二日後。
7月28日
鈴木寛太郎総理は記者会見で『重視するに要なきものと思う』と言うような趣旨の話しをするのです。
しかし、これを『政府はポツダム宣言を黙殺!戦争に邁進!』とマスコミは誤報を打つなです。
これをサンフランシスコのAP通信が『ポツダム宣言拒絶』と更に誤報を発信。
これにより、米国に原爆投下の理由を与えてしまい、米国の予定通りに昭和20年8月6日広島に原爆投下となってしまったのです。