ポトマック自然観察日記

アメリカ東部の自然紹介をきかっけに、日本や世界の自然観察を共有。

Blackwater National Wildlife Refuge

2010年11月27日 | 日記
我がメリーランド州は東西に細長く、西側はアパラチア山脈の一部でなだらかな山々が続きますが、我が家から1時間東に車を走らせればチェサピーク湾という大きな汽水域に出くわします。ベイブリッジと言う長い橋でチェサピーク湾を一跨ぎすれば、デマルバ(Demarva)という低地・湿地の続く半島です。かつてイギリスの植民が最も早く行われた地域の一つで、最近は衰退気味ですがチェサピーク湾の漁業で発展した地域。橋を渡り半島をさらに南に1時間走ると、「メリーランドのエバーグレーズ」と呼ばれるBlackwater National Wildlife Refugeです(注:エバーグレーズとはフロリダ州南端にある国立公園でアメリカ最大の湿地帯)。「ブラックウォーター国立野生生物保護区」とでも訳せるでしょうか。汽水域と淡水域の双方を有する大変大きな湿地帯で野鳥の宝庫です。



ここは「ワイルドライフ・ドライブ」と呼ばれる自動車道が保護区の中を通っていて、今日のようなとても寒く風の強い日でも、車に乗りながらバードウォッチングが楽しめます。まずは期待通り、Eastern Bluebirdが登場。向こうを向いてしまっていますが。それから、これでもかと言うぐらい多数のCanada Gooseの群れが。「グワン、グワン・・・」というやかましい声が聞こえてきます。そしてこちらに向かって飛んできたGreat Blue Heronが我々の目の前に着地、浅い水場を歩いて行きました。

   

その後、ビジターセンターのボランティアの勧めに従い、Marsh Edge Trailを歩きます。そして、狙っていたのですが念願のDemalva Fox Squirrelを発見!この地域にだけ存在するリスで、数が大変少ないようです。全体に白っぽいグレーで、普段家の周辺で良く見るGrey Squirrelよりは一回り大き目。大変シャイで、物音に敏感です。余りにすばしっこく写真は撮れません。松の木の大変高い所に消えてしまいました。もう一つの今日のハイライトは、Bald Eagle。アメリカの象徴でハゲワシと呼ばれるこの鳥も一時は絶滅が心配されたのですが、種々の保護活動の結果、この地域では普通に見られるようになりました。今日は大変幸運で、旋回するペアを4回、その他に電信柱に留るもの、人工の巣に留るものもじっくり観察できました。頭部と尾翼の白さが際立ちます。



その他にもCanada Gooseの群れに交じるTundra Swanの姿も確認。一回り大きく、その白さが鮮やか。何やらMallardの群れが騒がしいなと双眼鏡を向けると、少しスマートな鷹のようなものが低空で滑空、たまに急降下の姿勢を見せて水鳥達を脅かしています。胸のあたりが赤いので、Red-shouldered Hawkかなと思っていましたが、フィールドガイドを見て、尾羽の付け根部分の白い羽と、地上低く漂うように滑空するという特徴から、Northern Harrierと確認。長いアメリカでのバードウォッチング生活で初確認となりました。写真がないのが残念です。

   

今日もそうでしたが、Blackwaterにはいつも満足させられます。鳥の豊富さ、観察のし易さに加え、景色の素晴らしさも加えたいです。汽水域、淡水域、湿地、松林等からなるBlackwaterはその周囲を広大な農耕地に囲まれ、多様な環境が織りなす独特の景観を作り上げています。Wildlife Driveを利用した車での自然観察が最も手頃ではありますが、カヌー・カヤックの着水地やルートが整備されていますし、自転車でこのフィールドを体感するのも魅力的だと思います。いつかは、その両方を経験したいですね。
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C&O Canal / Potomac River

2010年11月21日 | 日記
晩秋の晴天下、自宅から車で15分のところにあるC&O Canalに行ってきました。東のChesapeake Bayと西のOhioを結ぶ(結ぼうとした)運河(下、1枚目)で、鉄道の登場に負けて以来その運輸手段としての役目は終えましたが、今日、国立歴史公園として維持管理されています。この運河はポトマック川(下、2-4枚目)に沿って作れられましたので、運河沿いのトレイルを行くと右手に運河、左手にポトマック川という素晴らしい景色が広がります。もちろん逆も真なり。また、両者に挟まれる形で氾濫林があり、鳥だけでなくシカやアライグマやキツネたちの格好の棲みかとなっています。



この運河、高低差を克服するため一定の距離毎に"Lock"という堰があり、往時には各Lockに管理人となる家族が暮らしていました。従い、全長300キロメートルの大変長い運河ですが、このLockの番号を利用することで場所の特定が可能となるのです。本日は1900年代初頭からSwain家が所有していたLock 21、Swains Lockの駐車場に車を停め、その周囲を観察してきました。



さあ、鳥の方ですが、まずはポトマック川方面でCanada Goose(下、2枚目)、Great Blue Heron(下、3枚目)、Carolina Chickadeeが登場です。とても多数のCanada Gooseが幅広のポトマック川の見渡す限りに散らばっています。特に川の中でも、岩が見え隠れするようなところで寛ぐのが好きなようです。また、水中に顔を突っ込んでは水草を引き抜くようにして食べている連中もいます。川沿いの細いトレイルを歩いていくと、人の気配に気づいたBelted Kingfisher(大型のカワセミ)が「ケッ、ケッ、ケッ」とまるで怒っているかのようにけたたましい鳴き声を残しながら、川面をかすめるように低く遠くに飛び去って行きました。



気付かぬうちにSwains Lockから大分離れていましたので、今度は運河沿いのトレイルを歩きながら戻ることに。盛夏の頃は、運河沿いに野花、トンボ、カメ、魚と大変な賑わいでしたが、ほぼ木々の葉も落ちた今頃は大分静かです。たまに、Mallard(マガモ、下2枚目)の家族やカップルが滑らかに水面を移動する姿が目に付く程度。すると突然、大きな「キッキッキッキッ」との奇声で静けさを破ったのが、Pileated Woodpeckerという北米最大のキツツキでした(下、3枚目)。ハトとカラスの中間位の大きさで、黒い体に白いくまどりと真っ赤な帽子。地味なような派手なような、とにかく存在感のある鳥です。運河を挟んで対岸にある倒木に容赦なくくちばしを叩き付けています。たまたま近寄ってきたリスに対し翼を大きく広げて威嚇。リスはあっという間に横に逃げて距離を確保しました。



今日は約1時間半の短い観察でしたが、厳しい冬を前に秋の終わりをしっかりと見届けた、そんな感じがしました。
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インド・デリー

2010年11月15日 | 日記
「ポトマック自然観察日記」とのタイトルながら、なかなか地元のことが紹介できていません。今回はインド・デリーです。出張のため11月7日から10日まで滞在したのですが、ほんの少しプライベートな時間が確保できましたので、Humayun廟というムガール帝国第二代皇帝のお墓を見学に行きました。世界遺産指定、あの有名なタージマハルのモデルだとか。

そうしたら、鳥の多いこと!建物もそこそこに鳥やそれからリスに目が行きます。左から、タカ、ハトとリスの睨めっこ、リス、緑色のインコ、チョウゲンボウ(?)。



高い城壁にあった穴からは、なんとフクロウが顔を覗かせていたのですが、シャッターチャンスを逃しました。緑あるところには実に鳥やリスが多く、なんだかとても和やかないい雰囲気でした。

すべての会議が終わり、また少し時間がとれました。タクシーを確保し、地図にある都心の緑地を指差します。ちょっと見たことのない水鳥、まるでアメリカのモナークのような蝶、ドバトの群れ、そしてなんと道路際にはサルの登場です。写真のデータが重くアップロードできていないのですが、野生のイノシシも二頭登場しました。と申しましても、サルもイノシシも人間の与えるバナナ目当てに集まっているようです。



デリー市内がこの様子だと、インドというところは実に自然観察でも面白い所のようです。現地の同僚にこうした話題を振ったところ、例えば東部のアッサム州や北部ネパール国境に近い所の国立公園の名前がいくつも出てきました。

最後に、今回は成田空港到着直前に見た富士山の写真でクローズです。

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