ポトマック自然観察日記

アメリカ東部の自然紹介をきかっけに、日本や世界の自然観察を共有。

北海道・知床半島② Shiretoko Peninsula, June 15, 2019

2019年07月16日 | 日記

知床半島2日目、宿泊している羅臼側の天候が悪いので、思いきって半島の反対側にあたるオホーツク海沿いに向かいました。レンタカーで行く知床横断道路は怖いほどの暴風雨。ところが、知床峠からオホーツク海側に降りていくと天気がどんどん回復。よしよし、と思いながら知床五湖の自然観察ツアー参加を決めました。

まずは、ビジターセンターでツアー参加を申込み、短いレクチャーを受けるまで館内をウォッチング。

出発前のレクチャーでは、「いかにヒグマ(Brown Bear)に出会わないことが人間との共存上大事か」につきお話を伺いました。しかし、このマップにあるように、これから辿るハイキングコースではヒグマの目撃情報がたくさん。否が応でも観察の機会が無いか期待が高まってしまいます。

森の中を歩き始めたったの2分。ヒグマの比較的古い糞がありました。よく観ると、エゾシカ(Ezo Deer)の足の蹄ではないですか!そこまで食べるのですね。

ツアーの先頭を行くガイドさんは、時折手を叩いたり、「オー、オー」と大声を上げることで、ヒグマにこちらの存在を教え、出喰わすことが無いよう配慮しています。

歩を進めるとヒグマの痕跡がいくつも見つかります。これは木の幹に残されれた爪痕。ヒグマは木に登る習性があり、特に木から降りてくる時に「ズズズー」っとなってしまうので、その時に爪痕が良く残るそうです。

雰囲気を変え、こちらはマタタビとその花。初めて見ました。ツル性の植物で、実は猫だけでなく、森の動物たちの好物だそうです。

木にこんな大きな傷を付けるのは誰だ?と思っていましたら、ガイドさん曰く、クマゲラ(Black Woodpecker)だそうです。まだ、見たこと無いなあ・・。結構根元近くの低い部分を大胆に掘るものです。

森の遊歩道は、知床五湖の名の通り5つの湖を巡ります。それぞれ美しいもので、この写真がベストショット。何番目の湖だったのか思い出せませんが。

その次の湖でした。何気無く対岸を双眼鏡でウォッチしていると、黒くて大きなものが・・。あれっ?何あれ?クマ??

湖の対岸、距離にして40〜50mぐらいだったと思います。何せクマは視力が弱くこちらに気付いていないようです。しかも我々の間には湖という安全な緩衝帯があります。ガイドさんは直ぐに無線でクマの目撃情報を仲間に伝えつつ、「安全面で大丈夫そうです、ツアーは続行します」と。

ということで、レクチャーでは「クマに遭ったら、レンジャーの指示に従い、静かにそして速やかに距離を保つこと、写真を撮ったりしないこと」と言われていたのですが、我々参加者はじっくり且つ安全にヒグマを観察し、写真をたくさん撮ることが出来たのでした。

危険な動物だと分かっていても、大変可愛いものです。また、我々に気付いていないということは、普段のままの動きや表情を見せてくれたことになります。我々は本当にラッキーでした。でも、ヒグマの観察ツアーで無いことは付言しておきます。今回は、たまたま、です。

ツアー終了間際、我々の後を行くツアーのガイドさん情報によると、このヒグマはその場で寝てしまったそうです。

その後のツアーでもヒグマの存在感をアピールするものばかり。これは、水芭蕉を食べ散らかした跡です。根っこのお芋の部分を食べるそうです。

こちらは彼らのでっかい落し物!ハイキングコース上ですよ。踏まないように注意して進みます。

ヒグマとの遭遇を避けながらの森と湖の自然観察の筈でしたが、結果的にはとてもエキサイティングなツアーとなりました。

ここ知床は正にベア・カントリー。恐れるべきものであるヒグマにこれ程近づき、身近に感じ、日頃は遭遇しないことが彼らとの共存には良いと理解しつつ、同じ空間を共有していることを大変うれしく思いました。

コメント (3)
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