ポトマック自然観察日記

アメリカ東部の自然紹介をきかっけに、日本や世界の自然観察を共有。

Olympic National Park (ワシントン州) 1/3: 海岸編

2011年08月21日 | 日記
マウントレーニア国立公園から西に車を飛ばすこと4時間、太平洋の大海原が見えてきました。オリンピック国立公園の「海側」です。同国立公園はシアトルの南西にある広大なオリンピック半島の内陸山岳部に加え、地図をよく見ると、西側にある太平洋沿岸も南北に細長くカバーしています。この国立公園を貫く道路は無く、それを囲むようにあるだけなので、西側に出れば海へのアクセスがある訳です。ここの風景は、きれいな海岸線に散在する巨大な流木群に代表されます。これは内陸部の巨樹の森から、増水した川に乗って倒木が太平洋に流され、嵐に乗って海岸に打ち上げられる、そんな自然な流れの結果なのです。



この海岸線では、干潮時の「潮だまり(=タイドプール)」観察に人気があるようです。あいにくレンジャーの主催するツアーとは時間が合いませんでしたが、単独で同じルートを行ってみました。Mora地区のRialtoというビーチに車を止め、ひたすら上のような景色の砂浜を歩くことになります。因みに、日本ではあまり耳にしませんが、海岸線歩きは当地で人気ある「ハイク」なのです。海岸を一時間北に歩くと、Hall-in-the-wallという巨大な岩が見えてきて、そのふもと辺りが観察のポイント。ご覧のように、色鮮やかなヒトデ、イソギンチャク、海藻などが観察できます。もちろん、小さな魚やカニ、ヤドカリも一杯です。



同日の午後、さらに海岸線を北上、Ozetteという地区に行きました。レンジャー・ステーションでトレイルの情報を仕入れ、Cape Alavaという岬に向け5キロのトレイルを出発。一枚目の写真のような森の中のきれいなトレイルが続きます。少し早めに歩いて1時間後、Alava岬に到着。複雑な地形をした海岸線で休憩しながらウォッチングをします。色々な海鳥がいましたが、少し距離があり判別がつきません。Great Blue Heronはよく見えました。そして少し沖合の岩の上に、頭の白い大きな鳥がとまっています。そう、Bald Eagleです!しかもペア。背景も素晴らしい。彼らに近づくべくゆっくりと岩伝いに歩き、このショットを得ました。



この半島を旅行していると先住民族たるインディアンのことを見聞きするわけですが、このOzette地区は先住民族の歴史を知るうえで貴重な遺跡が発見されたところだそうです。今回訪れたAlava岬は、実はその午後のMakah博物館訪問までまったく知らなかったのですが、1833年に台風の影響で日本から14か月にわたって漂流した船がようやく接岸したところ。現在の愛知県を離れた当初は14人だった乗組員は、たったの3人に。その時、このOzetteに居留していた先住民族のMakah族に助けられ(さらに奴隷にされたとか)、その後、ロンドン経由、マカオへ。そして日本への帰国を願ったが実現しなかったとか。ジョン万次郎や大黒屋幸太夫のことは知っていましたが、この三人の話は全く知りませんでした。そのうちの一人・音吉の人生については、下記にリンクを張ったWikkipediaでどうぞ。Neah Bayにあるその博物館には突然大きな日の丸があり、何事かと思いその展示物を見て知ったお話でした。数年前、全国知事会から感謝状とその船の模型が送られたようです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%B3%E5%90%89

海岸編最後は、これは日本に無いな、うらやましいなと思った、"The Whale Trail"です。これは半島北部 Strait of Juan de Jucaに面した海岸線全般で(さらに内陸部に伸びる複雑なフィヨルドのような海水面、シアトルにまで伸びるような)、クジラ等海洋性の哺乳類が観察できるそうなのです。もちろん、粘りました。が、今回は見られませんでした。陸からクジラが見えるようだと凄いですよね。"Wildlife Viewpoint"という看板に釣られ車を止めました。目前には大きな岩があり、アップで写真を撮るとアシカ(Sea Lion)が確認できました。きっと豊かな海なのでしょう。最後の写真はMakah族の博物館のあったNeah Bayという村から撮ったもの。対岸はカナダ・ビクトリア島です。

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Mount Rainier National Park (ワシントン州)

2011年08月18日 | 日記
この山を見ると何故かおいしそうなコーヒーを思い浮かべるのは私だけでしょうか。米国北西部の秀峰・レーニア山のあるマウント・レーニア国立公園に行ってきました。1899年に議会に承認された、アメリカで五番目に古い国立公園です。レーニア山の標高は4,392m、大小26の氷河をいただく巨大な山です。とにかく天気に恵まれ、どれだけの時間この山を眺め、何枚の写真を撮ったことでしょう。まずは色々な角度から、この神々しい山と向き合って見てください。





自然観察から少し離れますが、国立公園への旅行で私が気になるものの一つは「ロッジ」です。国立公園内は一般の商業活動が一切禁じられており、コンセッショネアたる一企業のみが国立公園を管轄する内務省独占契約のもと、宿泊先としてのロッジの経営等を担っています。この国立公園内ではロッジが二つだけあり、その一つ1916年に建てられたParadise Innに一晩泊まりました。どこのロッジも雰囲気があり、私は大好きなのですが、ここもなかなか良かったですよ。特に高い天井のロビーの雰囲気は大変良く、生のピアノ演奏に加え、二つの巨大な暖炉に火がつけられおり、多くの家族が談笑したり、カードゲームに興じたりしています。



自然観察の方ですが、標高1,500m程度のParadise地区での高山植物観察を予定していたのですが、例年になく多くの雪が残っており、その名の通りのお花畑は見られず残念でした。そこで、予定していた所より少し低い所を対象にしたレンジャーによる観察会に急きょ参加。そのおかげで、注意していなかった道路際や建物のすぐ横など、色々な所に目が行くようになりました。ビジターセンターで手に入れたWildflowerのブローシュアでは、この近辺で観察される種として46種の花を写真入りで紹介していますが、限られた時間で私が観察できたのは9種類のみ。しかも名前の判別ができたのは左から二枚分だけです(左からAvalanche Lily, Pink Mountain Heather)。



二日間の滞在で短いものを中心に6つのトレイルを歩いたのですが、最も素晴らしかったのが"Snow Lake Trail"。片道1時間程で、周りの山々の風景と足元の花々を楽しんでいると、あっという間に、水源を氷河に求めるSnow Lakeという湖に到着します。左から一枚目と三枚目の写真、Unicorn Peakの頂上の形も大変印象的です。これまでの人生で楽しんだトレイルの中でも、実に思い出深い・・・。



二日間、精力的に公園内の各地を巡りましたが、期待していたほど、鳥や獣には出くわしませんでした。動物の観察という意味では、昨年夏に訪れたRocky Mountain National ParkやYellowstone National Parkの方が凄いのかもしれません。最後に、それでも出会うことのできた動物たちをご紹介します。左から、Mule Deer、Clark's Nutcracker、Hoary Marmot(親子?)、Cascade Golden-mantled Ground Squirrel(?)、Belted Kingfisherです。



次回ここに来ることがあらば、やはり登るのでしょうかね、4,392mまで。
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