ポトマック自然観察日記

アメリカ東部の自然紹介をきかっけに、日本や世界の自然観察を共有。

真冬のハントリーメドウズ

2011年01月29日 | 日記
我らがホームグランド、そして私が「ワシントンの尾瀬」と呼ぶハントリーメドウズに、ワシントン野鳥の会の皆さんと行ってきました。1月23日でした。明け方の最低気温が華氏20度台に下がる厳しい寒さもあり、我が家の女性陣が脱落するなど、私を含め4名だけの活動でした。バードウォッチングが二度目と言う方二名、全く初めてという方一名。今回の鳥見の方は今一つ。ビーバーの池が凍っていて、お目当てのカモ類が全くいなかったのが残念。この時期は水面が凍らないポトマック川方面に避難中とか。まずはハントリーメドウズの冬の風景をどうぞ。



それでも、鳥見二回目のご両名からは、「尾瀬のような所ですね」というコメントがあったり、私より先に鳥を発見し出す等、嬉しいことがありました。彼らは今頃ワシントンDCの町中を歩いていても鳥が目に留まるようになったことでしょう。(次回帰省時には藤前干潟の報告を待っていますよ、愛知県民のご夫妻!)今回は、ここに生息するビーバー(American Beaver)の「工作物」や「工事現場」をじっくり観察しました。左から、「ダム」、「巣」、別の「巣」、そして「伐り出し現場」です。結構大規模ですね。



幸せの青い鳥Eastern Bluebirdの群れを見る事ができました。それから、鳥の巣を観察したり。私は鳥達そのものを観るのをもちろん楽しみますが、「生態系」を観察するのが究極の関心であり、そのため各地「フィールド」を訪問するのが大好きです。森林とウェットランドを併せ持つHuntley Meadowsは面白い所の一つです。

ここでのもう一つの楽しみは、鳥見の帰り掛けにビジターセンターに立ち寄り、自然関連の古本を漁ること。今回の収穫は、写真真ん中の"Amphibians and Reptiles of the Carolinas and Virginia"です。コスタリカに行って以来、カエルへの関心が増しています。生態系の豊かさの指標として鳥を見ている訳ですが、同じ観点からカエルというのも色々多様性があり、また環境の変化を受けやすい生物として、格好の観察対象です。因みに、三冊合計で5ドルでした。売上は全てHuntley Meadowsの保全に使われるとか。

   

因みに、上記"Amphibians..."は1980年発行の30年もので、地元図書館を「レンタル率が低いため」卒業、Huntley Meadowsのビジターセンターに寄贈となったようです。本の最後にそう記してありました。ようこそ我が家の書庫へ!
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Black Hill Regional Park

2011年01月29日 | 日記
新年初のバードウォッチング、1月17日に職場の同僚(オランダ人、シンガポール人)とBlack Hill Regional Parkに行ってきました。Little Seneca Lakeという名に反した大変大きな人造湖を中心に、素晴らしい森が残されたモンゴメリー郡の公園です。ここは冬場のカモの越冬地として、そしてBald Eagleの営巣地として、地元ウォッチャーの間では名の知れた所です。ビジターセンター(開いているのを見たことがない)周辺から観察開始。Blue Jay、House Finch、Northern Cardinalが早速登場。気温華氏35度。とっても寒いです。



ビジターセンター横にはフィーダーがあり、ひとしきりこのエリアの小鳥たちが観察できます。バードウォッチング初心者の同僚達は、フィーダー周辺での観察で既に満足のご様子。彼らを促し、湖畔に降りて行きます。ここでは、Canada Goose、Mallard、American Cootが迎えてくれます。寒いのにみんな元気そう。Mallardの横はアヒルでしょうか。



文中のどこにハイライトを持っていこうか少し考えましたが、出し惜しみせず、さっそくご紹介しましょう。同行者を驚かせようと密かに自分が最初に見つけてから紹介したいと思っていたのが、アメリカの象徴Bald Eagleでした。この公園には「一つがい」いる筈です。数年前、そう地元紙に出ていました。湖の周りを見渡すこと20秒ぐらい早速見つけました!かなり距離はあります。しかも凍った湖面上、なんとシカと思われる動物の死体の上に止まり、肉を貪っているではないですか!オランダ人曰く「アメージング。ナショナルジオグラフィック・モーメント」とか。



寒さを忘れ、30分ぐらいはBald Eagleに見とれていました。その価値が十分ありました。その後、湖面の違う方角に目を転じます。その数の多さからCanada Gooseに目が行きます。何が引き金になったのか、突然、多くのCanada Gooseが群れて飛んできます。遠くから聞こえ始めたけたたましい鳴き声がゆっくりと近くなってきます。グワー、グワー、グワー。そして湖面へ着水する姿は、少し大げさかもしれませんが、荘厳と言えるでしょう。見慣れた風景ではあるものの、なかなかダイナミックでいいものです。



今回の締めに、その他湖面で見つけた鳥たちを紹介します。左から、Ruddy Duck、Bufflehead、Greater Scaup、Hybrid(?)です。粘れば、もっと多くの種類のカモが見られる筈ですが、そして毎冬「今年こそはカモを究めるぞ」と思うのですが、何分寒さに負け、今回の観察は90分程度。その後シンガポール人の薦める近くのケバブ料理屋に駆け込み、そこで鳥合せ後解散となりました。



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コスタリカ ⑥ピエナス・ブランカ川(12月30日)

2011年01月22日 | 日記
31日の帰米を前にコスタリカ最後のウォッチングの日となりました。宿の強い薦めで、ゴムボートによる川沿いのウォッチングに出掛けます。カナダ・バンクーバー島から来た4人家族と一緒で、船頭は自然ガイドでもあります。船に乗り込み、ものの30秒としないうちにCrested Caracaraの登場です。60センチ近くある堂々とした見事な鳥です。ラフティングということで我々も一つづつ櫂を持たされます。船を滑らすと、ホエザル(Mantled Howler Monkey)達が登場です。



川下りの途中で、開拓時代さながらの素朴な生活をしている家族を訪ねるため、一旦船から上陸。そしてそこには、またもやお気に入りのバードフィーダーが!まあ、見て下さい。Red-legged Honeycreeper、Black-cheeked Woodpecker、Baltimore Oriole、Passerini's Tanager、そして鳥たちと餌を取り合ったVariegated Squirrel。



船に戻ります。色々なものが出てくるのですが、ラフティングというのは船上で体を動かすのが難しいので角度によっては上手く見られません。ゆっくり進む割にはカメラの焦点を合わせるのもなかなか大変。船上からとれたものを少し並べましょう。Crocodile、Anhinga、巨大なベビ(パイトン系?)、そしてツアーの最後にようやく見られましたナマケモノ(Hoffmann's Two-toed Sloth)の後姿です。もちろん寝ています。



いやあ、楽しかった、というか凄かったですね。バードウォッチャーはお金を貯めてコスタリカに行くべし。議論の余地がありません。ウォッチングの「濃さ」が違うと思います。ポトマックに帰ってきてからもフィールドガイドとの睨めっこが続き、また同種のガイドブックで哺乳類編も買い足してしまいました(The Mammals of Costa Rica, A Zona Tropical Publication, 2007)。因みに以前申しましたが、私は大学時代に生物同好会獣班におりました獣好きで日本や北米用の哺乳類に関するフィールドガイドを数冊持っていますが、この本は専門性と親しみやすさのバランスが秀逸です。

さあ、コスタリカ編を閉めましょう。「次は一体いつコスタリカに行くのだろう」。
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コスタリカ ⑤アレナル火山(12月28・29日)

2011年01月19日 | 日記
モンテベルデを後にして、牛の群れに遭遇しながらガタボコ道を1時間ぐらい行き、湖を舟で渡り、アレナルという活火山のある地域に来ました。ところが、これまた霧雨状態。せっかくの円錐状の火山も全く見えません。次の宿泊先であるB&Bに向かいます。まず到着して気に入ったのが、宿の庭で鳥の餌付けをしていたこと。と言っても、古いバナナを目の前の木に置くだけ。鳥たちはこれを知っているようで、宿のおばさんがバナナを持って木に向かって歩き出すと、たちまち集まり始めます。鳥たちの様子を見ているだけで全く飽きません。まずは、Passerini's Tanagerです。ちょっとにわかには信じがたいのですが、黒いボディに赤い背中の方がオス、その他はメスです。オス・メス間の違いが大きく、最初は別の種ではないかと何度もフィールドガイドの中を探してしまいました。



その宿は牧場も経営していて、というか牧場の中に宿泊施設を建てていまして、我らの部屋もオーナーが住む母屋から少し歩いたところにありました。部屋の前には牧場が広がり、その向こうにアレナル火山が見え、夜には山頂から流れる溶岩が見える筈だったのですが、大きな火山はすっぽり霧と言うか雲の中。そこで部屋の周囲の敷地内をウォッチング。まず目についたのが、またもや無数の植物に寄生された巨木、見上げるばかりの大きな生命体。写真が無いのが残念です。こちらを良く観察すると実に多くの鳥がいることが分かります。本当に命の木です。巻き付いている蔓性の植物の中に花を咲かせ蜜を提供しているものがあり、その周囲を多くのHummingbirdが飛び交っています。またその近辺には何とも鮮やかなエメラルドグリーンの鳥が!Green Honeycreeperです。



翌日は、Tabaconという温泉リゾートに行きました。これは贅沢な所。熱帯雨林のジャングルの中を幾本かの渓流が流れているのですが、これが全く人の手が加えられていない温泉なのです。ここに水着姿で浸かる、という楽しみ方です。温泉大国日本とは言え、こういう場所は無いのではないでしょうか。そして、ここでもウォッチング。レストランでランチを取っていた際です。外の景色の見えるテーブルに陣取った我々は、じいっと外を観察。そして、見つけました。彼は静かに霧雨に濡れていました。何だか、遠くを見つめていました。その派手な外見に似合わず、思慮深い感じです。コスタリカでのお目当ての一つ、Toucanです。より正確には、Chestnut-mandibled Toucan。世の中にはこんな鳥が野生でいるのだと思うと、大変リッチな気分になります。



この日は正に一日中この温泉リゾートで過ごしました。渓流の温泉に入ったり、温泉プールに入ったり、敷地内の遊歩道を歩いて実に豊かな植生を観察したり。ランチに加え、夕食も同じレストランで済ませたんですよ。レストランの待ち時間、サウスカロライナから来た10名の大家族と一緒になりました。この旅行のために作った家族名の入ったTシャツを着ている人もいます。のりがいい。そのリーダー格のおじいさんと隣り合わせに。話を聞いてみると、家族で運転手とガイドを雇い一台のバンでコスタリカを旅行しているとのこと。なかなかいいアレンジです。「雨が多くて少し残念ですね」と私が言ったところ、「ガイドがこう言っていた、『雨が降ろうが鳥たちはそこにいるよ。レインコートを着て出掛けよう』だって」とにこやかに返されてしまいました。その時ハッと思ったことを忘れません。雨は生命の源。雨が多いからこうした熱帯雨林やCloud Forestがあり、生物の多様性が維持されている。それを見にわざわざコスタリカまで来たのだ。自称ナチュラリストがその「恵み」の雨を恨めしく思っていたとは何たることでしょう。
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コスタリカ ④モンテベルデ(12月27・28日)

2011年01月17日 | 日記
まずは、マヌエルアントニオからバスで内陸山間部モンテベルデに向かう途中、ドライブインの裏のちょっとした繁みで見かけたScarlet Macawの写真です。コスタリカで見たいと期待していた鳥の一種ですが、フィールドガイドによるとこの辺りには棲息していないようです。恐らくドライブインの経営者が餌付けした半野生かと思います。休息に立ち寄った観光客には大好評です。日本人としてはやはりこの手のカラフルでしかも大きなな鳥には驚かされます。



モンテベルデ(緑の山)は'Cloud Forest'でとっても生物の多様性が高いと。鳥だけでなく、植物、両生類、昆虫等々。以前から最も期待してエリアです。あまり事前にイメージの湧いていなかったマヌエルアントニオであれほど楽しめましたから、知名度の高いモンテベルデに期待値は上がりっぱなし。ところがガタボコの峠道を行くと、信じられないほどの強風が。そしてモンテベルデの町に入ると雲行きが怪しくなり、まるで「シャワーのようなシャワー」が横殴りに降り始めました。そして、何よりも意外だったのが、「寒いっ!」ことでした。結果としてその後モンテベルデを去る2日後まで、霧、シャワー、雨、の横殴りの連続。数分の晴れ間に虹がいくつも見られる、という気象条件でした。

翌日予めアレンジされていたCloud ForestでCanopy Zip Lineを楽しむツアーに参加します。森の「天井」に張り巡らされたワイヤーにカナビラを引っ掛け一気に滑り降りるものです。これは経験する価値あり。まあ、そこで味わったスリリングと楽しさは本題に離れるので省くとしまして(写真一枚添付)、その自然公園内で、四方八方から降りつける雨に打たれながらですが、色々と自然観察ができました。まずは、服を乾かし体を温めるため、蝶を飼育し見せている大きな温室に向かいます。今回は名前の確認まで至りませんでしたが、その多様性と美しさは「さすが」と感じさせるものでした。



温室での観察のお陰で服も少し乾きました。傘を差しつつCloud Forestなる所をウォッチング。まずもって驚きなのが、それぞれの木々に幹といい枝といいびっしりと寄生した植物の数。特にランの類いが多いよう。Cloud Forestの意味がようやく分かりました。まさに文字通り雲の中なのです。従い、森の中は縦横無尽に湿気が多く、しがみつく所あらばどこでも植物が生えるのでしょう。この森には本当に驚きました。自分のフィールドノートにその時の感想を見てみると、「いずれの木にもとてつもない数の他の植物が寄生している。それはただの木ではなく、一つの巨大な生命体のよう」とあります。何だか尊敬と言うか恐れにも近い気持ちになったのを思い出します。これは凄い。



雨のため鳥の観察には不適のようです。期待していたQuetzalにも出会えません。そんな中我々を楽しませてくれたのは、フィーダーに群がっている実に美しくそしてかわいらしいHummingbirdたちです。人間を恐れません。凄い速さで移動する際には我々にぶつかりそうにもなります。以前テレビで見た際に聞いた通り、仲間内でのえさ場の取り合いはかなり激しく、見かけとは違い気性は荒い印象を受けました。日本・アジアにいないせいもあるかもしれませんが、これだけのHummingbirdを見ると、実に異なる生態系の中に来たんだな、思えば遠くへ来たもんだ、と実感します。



最後にこの森で見かけた小鳥たち。左から、お腹の黄色と背中の深い青のコントラストそして赤い帽子が実に美しいTawny-capped Euphonia(後ろ姿)、眼鏡を掛けているようで愛くるしいSalty-backed Nightingale-Thrush、軒下で雨宿りをしていたYellowish Flycatcherです。全身びしょ濡れになったにも関わらず最も期待していたQuetzalを見られず、やり場の無い少し複雑な心境。森の豊かさ、植物の種と数の多さに圧倒もされ、この自然公園を去る時には表現しにくい複雑な気持ちでした。






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