ヨーロッパの限りない大地

ヨーロッパの色々な都市を訪問した思い出をつづっていきたいです。

朝霧にかすむプラハ

2005-08-28 23:16:24 | プラハ探索
プラハで二日目の朝を迎える。
ホテルを出て、新市街に向かう。ここのヴァーツラフ広場が目的地だ。
地下鉄のムーステク駅から地上に上がる。
この日、プラハは霧にかすんでいた。
広場の端っこの方から国立博物館に目を向けるが、霧が邪魔をして博物館がよく見えない。博物館に向かって、ゆるやかな坂道を歩いていく。
ここは広場といっても、両側には車道がある。中央に花壇などがあり歩けるようになっている。車道の外側が一等地で様々な建物が軒を連ねている。
聖ヴァーツラフの騎馬像に着く。
ここはプラハの歴史において重要な場所である。1969年のプラハの春の時、ここでソ連の侵攻に抗議して焼身自殺が行われた場所なのだ。
その犠牲者を悼む献花が置かれている。
また1989年のビロード革命の時も、ここにチェコ市民が集まった。
前述の「コーリャ 愛のプラハ」の中でもその様子が出てきている。コーリャを肩車した主人公など、人々のにこやかな表情が印象的だった。
そのような政治的に象徴的な場所ということもあるのだろう。ちょうどこの時は9.11の後で、像の前にチェコ語の幕が掲げられていた。
「~TERORIZMU」とあり、テロに対する抗議の意味を含んだものだろう。また小さなビラも貼られていた。緊張した時勢を感じさせる。
国立博物館の側まで行く。その隣になぜか戦車があった。どういう意図で置かれているのかはよくわからなかった。
周りをぐるりとした後、再び騎馬像のそばに行く。
霧が晴れてきて、秋のさわやかな青空が顔を覗かせていた。
「今日はいい日になりそうだ」と思う。
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ともしびに映えるプラハ城

2005-08-27 23:25:21 | プラハ探索
カレル橋を渡り終え、プラハ城に向かう。
「城」といっても、プラハ城の場合、少しユニークである。
まず、日本的な城の感覚、つまり天守閣のあたるもの(英語で言うとdonjon)があって、そこをいざというときのための防御のために・・・、などとは異なる。
また、ヨーロッパ内でも、少し珍しいのではないか。
高台の上に、大聖堂があり、その周りを宮殿などの建物が囲っている。
城と言うよりか、一つの街である。
もちろん、ヨーロッパでは、「城塞都市」と呼ばれ、今に至るまでその形を残しているものはたくさんある。
しかし、プラハの場合、丘の上にあるのに加えて、中心となる大聖堂が本当に大きいのだ。その結果、下から見ると、宮殿に囲まれていることにりより、大聖堂自体を支えている下の部分が隠れ、その尖塔などが引立っているのである。
前述した映画「コーリャ 愛のプラハ」でも主人公の部屋から見えるプラハ城を何度も映し出していた。
坂道を、くねくねと登っていく。途中の古い建物、その橙色の屋根、合間の教会の屋根が印象的だ。
広場まで登りきり、宮殿内に入る。
時間も遅いので、この日は聖ビィート大聖堂内にすぐに入る。
ここで、ミューシャのステンドグラスに驚く。
見慣れたフランスの大聖堂のステントグラスは、あまりこのようにリアルで近代的なものはないので新鮮である。
一旦外に出て、裏手に回り、大聖堂を眺める。
ここからだと、大聖堂が下まで見れる。フランスで見慣れたゴシック建築の特徴がはっきりする。
再び、宮殿内に戻り、今度は大聖堂の側から見上げる。高い搭を見上げるには広場が狭く感じた。
広場をうろちょろしていると、ちょうど閲兵が三人組で歩いていた。交代の時間なのだろう。わざわざ交代を見に行く事まではしなかった。
狭い通りを抜け、階段の登城道を降りていく。
カレル橋の一つ北側の橋を渡る。そこから改めて、渡ってきたカレル橋を望む。
橋を渡り終える。そのたもとに、ガス灯のような、古い形の灯があり、ぼんやりとした橙色の光を、プラハの街に放っている。
光のそばに、橋と、ヴルタヴァ河の流れ、そしてはるか向こうに小さくプラハ城が見えた。


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プラハの空に響く銃声

2005-08-26 23:24:01 | プラハ探索
カレル橋を渡る。
この橋には、様々な聖人像があり、観光客の目を惹いている。
日本人にも有名な、フランススコ・ザビエルの像もある。彼を支える人の中に、東洋人らしき人もいる。
アジアへのキリスト教の広がりを表しているのかもしれないが、一方で皮相的な見方をすれば、イエズス会の東方戦略を支えているアジア人という構図ともいえるのかもしれない。今改めて東洋人の重そうな表情が写っている写真を見ると、アメリカ大リーグの世界戦略にのってしまい、日本球界を捨てたはいいものの、マイナーリーグで苦しんでいる日本人選手を思い出してしまった。(何という連想だ!)
あとここの聖人像でいちばん有名なのは聖ヤン・ネポムツキーの像だろう。
このレリーフに触ると、幸運が訪れるとのことで、黒くすすけている中、一部だけ金色に光っている。
ブリュッセルのマルクト広場の近くでも同じようなものがあった。
右側のネポムツキーを触るといいとのことだが、なぜか左側のレリーフの犬?の部分も触られ金色になっているようだ。こちらは何か意味があるのだろうか?
さて、ここまで歩いていく途中、ロンドンの閲兵のような一団が行進しているのに出くわした。最初この人たちなんなんだろうかと思う。単にウロチョロ歩いているだけだと芸がないしな・・・、と思っていたら、橋の真ん中でストップしている。
周りを観光客が囲む。
指揮官の下、銃を担ったり、ごにょごにょしている。
そして合図で空砲を撃つのだ。プラハの空のもと、大音響が鳴り響く。最初はびっくりした。二度目からはちゃんと指で耳栓をしたが・・・。
このようにちゃんと芸をして、みんなを喜ばせているのだ。これなら世界一口うるさい大阪のおばちゃんも納得するだろう。ありがたい限りだ。
一通り終わる。拍手の中、閲兵の一団は、颯爽と歩いていった。
カレル橋からもプラハ城が見える。すこしずつ近づいている。自分もそちらへ颯爽と歩いていった。


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プラハ 王の道へ

2005-08-24 22:52:07 | プラハ探索
地下鉄の駅を離れホテルを探す。
簡単な地図を旅行会社からもらっていたとはいえ、あまりよくわからない。
近くに教会があり、それを目安にする。
大通りにでる。あまり舗装されていない。ここでも古い路面電車が走っている。ヨーロッパでは古い型から最新型まで、本当に路面電車(トラム)がポピュラーだ。
まわりの建物も少し古びている感じだ。ブルッセルの南駅周辺を思い出す。
大通りを東に歩き、角を曲がる。そこでやっとホテルを見つけた。
旅行社から勧められた、安からず高からず、普通のきれいなチェーンホテルである。
もっと凝ったホテルがいいのかもしれないが、機能的には問題なく、特に不便でもないので、勧められるまま決めた。ただ、中心街からは少し遠いのが残念といえば残念だ。
チェックインする。受付のお姉さんがにこやかに迎えてくれる。
すぐにホテルを出て、中心街に出る。プラハ・マサリク駅あたりだ。まだ何も食べていない。とりあえずあったマクドナルドに入る。恥ずかしながら、旅慣れている人とは違い、初めての国では、まずそこで通貨価値の確認をしないと不安である。
マックを出て「市民会館」の前に出る。きれいな装飾を施した、おしゃれな建物である。中にはカフェなどもあるようだが、休んでいる時間もなく道を急ぐ。
すぐ側に「火薬搭」と呼ばれている建物がある。いかにも中世的な建物で、表面も黒くくすんでおり、いい雰囲気を漂わせている。ここから「王の道」とよばれる通りに入っていく。狭い通りを抜け、旧市街広場に入っていった。
今広場の事を思い出そうとするが、どうしてもベルギーのブルージュと混同しそうになる。同じ時代の遺産のため、素人目には似通っているように感じてしまう。
この広場の真ん中に、「ヤン・フス像」がある。チェコにおける宗教改革の先駆者で、最後はローマ教会の堕落を批判したため、火あぶりの刑にあってしまう。
広場に面してある「ティーン教会」もなかなか中世の風情があってよい。教会をバックに、すっくと立つヤン・フス像を撮る。なかなかいい構図だ。
広場の側には「天文時計」がある。金色に光る文字盤があり、時を告げていた。
広場から、カレル橋に向かっていく。


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「コーリャ 愛のプラハ」を想う

2005-08-20 23:23:19 | プラハ探索
バスは地下鉄の駅、ノヴェー・ブトヴィツェに着く。
今のおぼろげな記憶からすると、地下鉄の駅らしくなく、住宅や店などもない、広々とした緑の中にぽつんとあったような気がするが、全く当てにならない。
地下鉄に乗る。車内での駅名のアナウンスが女性の声なのだが、合成した音みたいで、無機質に感じる。
映画「コーリャ 愛のプラハ」での地下鉄のシーンに出てくるとおりだ。
この映画はヨーロッパから帰ったあとに見たのだが、本当によくできた素晴らしい映画だと思う。
まず、単純に「美しい」。
教会での葬式でクララという年増の女性が賛美歌を歌うシーンがある。一番最初も含め、何回かバリエーションを替えて出てくる。光が美しく彼女の顔を照らす。歌声がまた素晴らしい。
その他でも、今ぱっと思いつくだけでも、主人公の男性ロウカと子供コーリャが病院で廊下を歩く寂しいシーン、チェコの美しい自然の中でのシーン、そしてラスト近く空港で3人を遠景で撮るシーンなどなど。
映画自体には全く詳しくないので、技術的なことはよくわからないが、素人目にも、光の扱い方が本当に巧みだと思う。チェコ・イギリス・フランスの合作だそうだが、いかにもヨーロッパ的陰影美がある。アメリカ映画には絶対出せない感覚だろう。
あと、ストーリーとその舞台がいい。ちょうどプラハの1989年の無血革命前後の話だ。主人公は優秀なチェロ奏者だが、ある事情で表舞台からはほされている。しかし女好きで、暗いところはない。そんな彼が金ほしさに偽装結婚をし、結局ロシア人の子供を預かる羽目になってしまう。最初はいろいろ抵抗があったが・・・、という感じで話はすすむ。
ストーリーの端々に細かい伏線やチェコ人のエピソードが盛り込まれており、飽きさせない。
舞台は美しい、古都プラハである。時々窓からプラハ城が顔を覗かせる。
そして最後は切ないが、一方で新しい時代(チェコにとっても主人公にとっても)に向かう希望への扉を開いており、見終わった後はただ感動するのみだ。
と映画の話をしているうちに、地下鉄はプラハの中心地に入ってきたようだ。
ホテルは中心地から東側にあり、ガイドブックの地図では載っていない。
大体の目星をつけ、地下鉄を降り、長いエレベーターで地上に向かう。
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