ヨーロッパの限りない大地

ヨーロッパの色々な都市を訪問した思い出をつづっていきたいです。

ヴォーバンの堤防(ストラスブール遊覧)

2006-06-05 23:00:04 | フランス物語
ルイ14世の時代
ヴォーバンという天才がいた。
要塞の建築家であり
なおかつ攻城の専門家だった人
「矛盾」と言う字のなりたちは
一方でこれは最強の矛だといい
他方でこれは最強の盾だという人が出会い
両者の言っている事が矛盾しているとの言い伝え
そんな単純な事ではなく
両方の立場から理論を積み上げた稀有な才能

とはいっても
攻めるも守るも
理論だけでは限りがある
いろんな事情もからんできて
一筋縄ではいかない勝負のあや

フランスやベルギー辺りに残る彼の業績
街の最初が、彼の要塞だった例もある
ここストラスブールにも、彼の名を残す堤があり
いにしえの搭と
ポン・クヴェールという名の橋をくぐった船は
勇躍堤に攻め上がる
と思いきや
広くなった水辺の中で
のんびり方向転換する

長ーい明るい夜が過ぎた後
やっとほんとに暗くなる
ストラスブールの夏の夜
ヴォーバン堤のあたりにて
映し出されるストラスブール
そしてヨーロッパの文化絵巻

小フランスのレストランと中世の搭

2006-06-03 22:36:05 | フランス物語
遊覧船はプティット・フランスの水門を抜け、
狭い運河が並んだ場所に入る。
運河と中州が並行に並び、あたかも水辺に沿った緑のプロムナード
長い夏の夜、オープンテラスのレストラン
緑の木々の下、アルザスの白ワインとともに
のんびり夕食を楽しむ
ふと手を止めて確かめる腕時計
時計の針と、夕焼けの空の落差にびっくりする瞬間
改めて実感するヨーロッパの夏の日の長さ

運河のあいだから見える
橋の上に建てられた
中世の古い搭
かなり昔のストラスブール
1230年から50年にかけて
やっぱり街の防御のために築かれ
ついでに獄舎としても使われた
街をめぐらす80あまりの搭
今となってはたった4つが残るのみ

もちろん今は攻めて来る敵はおらず
囚人は刑務所に入る
イル川が街に入るところにある
いにしえの風情を残すモニュメント

川の女神に挨拶をし
大雨の時でも
そんなに暴れないでねと
こっそりささやいているのだろうか?


アルザスの小フランスにて

2006-06-02 22:59:57 | フランス物語
今はフランスだけれども
一番西の端っこで
なおかつ取ったり取られたりしていたアルザス
そこにある街ストラスブールの
一角にある
プティット・フランス、
小フランスと名づけられた地区
周りの家並を見ても
いかにもアルザスらしい
いにしえの木組みの家が見えるばかりで
いわゆる「フランス」というイメージには遠い街並み
なぜかと本をひも解いてみると
「愛国主義とは無関係」とわざわざ断った上で
もともとここにあった病院の名が「プティット・フランス」だったからに過ぎないよ、と書いてある。
その病院は今はあとかたもなく
ただ名前だけが過去の残像を伝えるだけ

そんなストラスブールの「小さな」フランスで
遊覧船は水門により足止めをくらう
目の前に迫る激しい水の流れ
なぜか妙にワクワクし
よみがえる子供のときの記憶

水門前での立ち往生のあいだ
ふと目をあげると
木組みの家の素朴なテラスには
きれいな花が飾られている
石畳の広場では
画家がお客を相手にしている
小さなフランスでくりひろげられる
のんびりした夏の日の
つかの間の出会い

イル川の船着場にて(ストラスブールの夏)

2006-06-01 23:09:39 | フランス物語
もともとは
単に街へ荷物を運ぶため
そして街自身を守るため
ぐるりと旧市街をめぐるイル川の流れ
今となっては
そんな機能は
ほとんどなくなってしまい
街に憩いと潤いを与える存在

大聖堂前の広場から
狭くて暗い路地を抜けて
イル川に達する。
夏の晴れた日
水面に反射する陽が目にまぶしい
川に沿って
いろんな人種が並んでいる。
自分と同じような旅人たち
川の水のめぐみに癒されようと
遊覧船を待つ人たち

時間が来て
船に乗り込む
少し落ち着かない、不安定な船の上を歩く
そして自分の席にどっかと落ち着く
黒、金、茶、栗、更には赤など
船の中はいろんな頭の色でいっぱいだ

歩きより、さらに下から見上げる
ストラスブールの古い建物
あれは城館パレー・ロアンだろうか
建物を見上げる
更に違った新たな視点
船は船着場を出発する