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第1,232話 メモは何のために取るのか

2024年09月18日 | 仕事

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「メモを取るのか、それとも取らなくてよいのか」

これは今でも必ずと言ってもいいほど、議論になるテーマの一つです。仕事に関しては、弊社が行う新入社員研修では「上司からの指示は必ずメモを取ること」と伝えており、メモを取る練習をしてもらうこともあります。

私が担当する様々な研修でも小まめにメモを取る人がいる一方で、そうしない人がいるのも事実です。では、そのような人は仕事中でもメモをすることはあまりないのでしょうか。

これに関して、私はジャーナリストの池上彰さんがニュース等を解説しているテレビ番組をよく見るのですが、タレントのカズレーザーさんが出演していることが多くあります。その中でのカズレーザーさんは、池上彰さんをはじめ他の出演者の発言をノートにメモしていることが多いと感じます。カズレーザーさんが番組終了後にメモしたものを見返しているのかどうかなどはわかりませんが、番組中のカズレーザーさんは多方面にわたって博識で、また説明も非常に端的であり、とても論理的な人であることが伺えます。(上から目線の表現で失礼かもしれませんが)

カズレーザーさんを見ていると、メモを取ることはとても有用であるように感じますが、では実際にメモを取ることは有用なものなのでしょうか?これについては様々な考え方があるようで、たとえばメモを取らなければ忘れてしまうようであれば、それはその人にとって無用な情報だと考えられるから、忘れてしまっても問題ないという説もあります。しかし、記憶力がよほど良い人でない限りは、せっかく獲得した知識であったとしても時間の経過とともにだんだん忘れていってしまうのではないでしょうか。

人間はどれくらいの時間記憶することができるのか。記憶と時間に関して引用される一つに、エビングハウスの忘却曲線があります。エビングハウスの忘却曲線とは、ドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウスが提唱した中長期の時間の経過と記憶の関係を表した曲線のことです。時間と記憶の相関関係における実験を行った結果、1時間後には44%しか覚えていない、1週間後には21%しか覚えていないというデータがあります。このように、人の記憶は「時間が経つほど忘れてしまう」ものです。

ただし、一点注意しなければならないのは、この調査は「意味を持たない音節の記憶」に対する実験結果だということです。したがって、関心のないことを学習するときの記憶の定着率はこの忘却曲線と同様の結果になるのだと思いますが、学習する側が関心のある分野においては記憶の定着率はより高いと考えられるわけです。

私たちの仕事や生活においては、関心が高いものだけに触れるということはあり得ません。そのように考えると、仕事にしろ研修にしろ関心の有無にかかわらず、ここは有用だというところはしっかりメモを取ることが大切だということです。

もちろんメモをとること自体が目的でなのはありません。メモしたことを定期的に振り返ることによって知識を定着させ、それを仕事で活かしていくことが大事であることは言うまでもないことです。

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