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紆余曲折を経て始まった東京オリンピックですが、このところ日本人選手が目覚ましい活躍を見せており、私の周囲でも盛り上がってきています。中でも、私が今後も自分の中で印象に残り続けると感じているのが、卓球の混合ダブルスです。
ご覧になった方も多かったと思いますが、水谷隼・伊藤美誠ペアのドイツ戦、中国戦は、試合開始直後は対戦相手に圧倒的にリードされたのにも関わらず、最終的に逆転して勝利を勝ち取ったのです。
特に伊藤選手はまだ20歳という年齢に関わらず、両試合におけるあの強靭な精神力に圧倒されました。毎試合伊藤選手の戦う姿を見ていて、実に「レジリエントな人」だと感じました。
この「レジリエンス(resilience)」、まだ一般的ではないかもしれませんが、困難な問題、危機的な状況、ストレスといった状況に遭遇してもうまく適応できる心理的な特性のことです。近年は人事部門において比較的使用されることが多くなってきています。
もともとは物体の弾性を表す言葉ですが、それが心の回復力を説明するものとして使われるようになったものです。それゆえに逆境や困難に押しつぶされることなく外的環境に順応して適応する力、精神的回復力と訳されることもあります。
具体的には、未来に対して肯定的な期待をイメージしたり、物事に対する興味や関心を幅広く持てたり、感情のコントロールが適切に行えたりする特性です。レジリエンスが高い人は、たとえ困難なことや脅威に直面しても、一時的には精神的なストレスを感じることがあってもそれを抑えて、乗り越えたり適応できたりすることができると言われています。
伊藤選手が当初は不利な状態であっても果敢に攻め続け、最終的に勝利につなげられる精神的な強さは天性のものなのか、親の影響なのか、もしくは幼少時代からの努力の積み重ねが生んだものなか、ぜひ聞いてみたいところです。でも、もしかすると本人にもわからないのかもしれませんね。
では、今後私たちが仕事や日常生活の中で自身のレジリエンスを少しでも高めるためには、一体どうすればよいのでしょうか。
当然、人によってポイントは違うでしょうし、その道筋も決して簡単なものではないだろうと思います。しかし、日常の生活の中で何らかの逆境に出くわしたときに、自分がどのように感じてどう対応しているのか、まずはそこをしっかり意識してみるところから始めてみるのが良さそうです。
これから佳境を迎える競技も多いオリンピックです。純粋にスポーツを楽しむ視点のみならず、試合に臨んでいる選手のメンタルの強さなどに注目して見るのも、また興味深いと思います。