受講者:「職場のおじさんたちが自分で調べることをせずにすぐに聞いてくるから、こちらの仕事が進まなくて困ります。一日のほとんどを問い合わせの電話に対応していて終わってしまう日もあります。おじさんたちには、人に聞く前に自分で調べるようにして欲しいのですが、だめですね」
私:「おじさんたちとは、どういう年代の人のことを言うのですか?」
受講者:「概ね50代です」
私:「・・・」
これは弊社が、ある企業で担当させていただいた問題解決研修の際に、1人の受講者から聞いた言葉です。
おじさんという表現がどうかは置いておくとして、この受講者によれば仕事上で自分が必要な情報は、掲示板でチェックして入手すればいいようになっているそうですが、その手間暇を惜しんで、すぐに担当部署である彼女に電話をしてくるのだそうです。
自ら調べようとしない理由は、情報を探す時間を惜しむ、情報を自力で理解できない、さらにパソコンの知識が不足しているといったことがあるそうです。この話を聞いたときに、「今時、パソコンを思うように使えないおじさんとは、いったい何歳位の人なのだろう?」と疑問に思って聞いてみたのが、冒頭の質問です。
確かに、一昔前位に定年退職した年代の中には、「パソコンが苦手」という人が少なからずいました。当時はまだ手書きのペーパーを事務の担当に渡して、パソコンで打って欲しいと依頼する時代だったのです。
しかし、今の50代であれば、入社時には既にワープロがあるタイミングでしたし、Windows95が出て一気にパソコンが普及した頃には、20代後半から30代の前半であったはずです。そういう年代の人が、パソコンの知識が不足しているという理由で自分で探すべき情報が探せず、担当部署に問い合わせをしているとは、正直驚きでした。
話は変わりますが、先日、企業の継続雇用に関して70歳まで引き上げるという報道がありました。報道によると、高齢者が希望すればこれまでより長く働けるよう、企業の継続雇用年齢を65歳から70歳に引き上げる方針とのことです。これは働く高齢者を増やすことで、人手不足を解消するとともに年金制度などの安定を図ることが目的のようです。
引き上げの是非はさておき、今後70歳まで雇用が延長されれば、これまで以上に高齢者が職場にどんどん増えていくことになります。その人たちがこれまでの経験を活かし、生産性の高い仕事を提供してくれるのであれば、企業にとって願ったりかなったりです。
しかし、反対に冒頭の例のような人たちが、おじさん風(おばさん風)を吹かすようなことがあれば、それはマイナスの影響となり組織の生産性は下がってしまいかねません。
培った経験が財産となっている人が継続雇用されれば、職場にとってはとても有り難い存在になるはずですが、必ずしもそうでない人がいることも事実です。
職場で有り難い存在になるためにどうすればよいかは一概には言えないものでしょう。しかし、私を含めた冒頭の例であげられた年代に該当する人に限らず、自分だったらどうするか一考してみる余地があるのではないでしょうか。