中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

電車の時間には正確を求めるのに、納期には甘い

2017年06月28日 | コンサルティング

「途中の混雑の影響により、間もなく○○駅に2分ほど遅れて到着します。お客様には、お急ぎのところご迷惑をおかけいたしまして、誠に申し訳ございません」

今朝も通勤途上の電車内でこのアナウンスが流れたのですが、これを聞かない日はないというくらい、頻繁に放送されているような気がしています。

外国人からすると、日本の電車がほぼ時刻表通りに運行されていること自体が、日本に来て驚くことの一つだということは以前からよく言われています。

しかし、最近では異なる路線の相互乗り入れが増えてきたことも理由なのか、冒頭のアナウンスように電車の遅延は日常的に繰り返されています。

このアナウンスを入れる前提には、「電車は定刻通りに来るもの、走るもの」という考え方があるのでしょう。そのため、遅延証明書がこれまた日常的に配布されています。確かに、わずか数分とはいえ電車の遅延があると、乗り換えるはずの電車に間に合わずに行かれてしまうことになってしまうこともあります。2~3分とはいえ遅れの影響は少なからずあります。

この部分だけを取り上げて考えると、ダイヤに厳密にもとづいて運行する日本の電車に、同じく分刻みに行動する日本人が乗車しているようにも感じます。では、実際のところはどうなのでしょうか。

電車のダイヤを始めとして、始業時間など就業規則で決められたルールについてはきちんと意識して行動している人は多いと感じます。その一方でそれ以外の時間に関する感覚に意外に甘い部分があることも、我々の多くに見受けられます。

たとえば、弊社が企業研修の講師を担当させていただくときには、たくさんのグループ演習に取り組んでいただくようにしています。演習前には、その都度「15分間で話し合ってください」、「納期は30分後の○時○分です」と具体的に納期を伝えていますが、特に始めのうちはこの「納期」に遅れてしまうグループが多いです。

その理由は、グループ内で演習を始める際に時間配分を考えずに話し合いを開始したり、1人で長時間話してしまう人がいてもそれを諌める人がいなかったりするからです。

これ以外でも、実際に仕事で様々な人とやり取りをする中で、書類の送付期限や検討結果の返事の期限を双方で確認したうえで設けたとしても、守られないことがあります。実際にはその通りに書類が届かなかったり、返事をもらえずに困ってしまったりという経験を持つ人は少なくないでしょう。

時間は有効に使えば経営資源ですが、無駄にしてしまえばコストにしかなりません。

しかし、どうもこの点の認識が今一つ甘い人が多いと感じます。そして、その結果として会議の時間が延々と長引いてしまったり、長時間残業を引き起こしてしまったりしています。さらにはそれをさほど問題だとは考えない状況につながっています。

電車の時間にもこれだけストイックな日本人なのですから、その特性をプラスに生かして、納期に関しても敏感になることの大切さを自戒の念を込めて発信していきたいと思っています。

あなたはいろいろな「納期」を守っていますか?

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ワーカーホリックをなくすためには

2017年06月25日 | コンサルティング

「部下の長時間労働に悩んでいます。どうしたら残業を削減させることができるのでしょうか?」

先頃、2週間続けて「部下のほめ方・叱り方」の公開セミナーを担当さていただく機会がありましたが、セミナー終了後にはこのテーマならでは部下の育成や指導に関する相談を受けることが多々あります。

特に、昨年後半くらいから冒頭の相談のように、長時間労働の削減を組織の目標に掲げる企業が増えましたが、様々な企業に伺ったり受講者の声を聞いたりしていると、目標達成は決して簡単なことではないようです。

長時間労働をしてしまう理由には「仕事が終わらない」、「職場が先に帰りづらい雰囲気がある」、「残業代が減るのが困る」などがあります。

冒頭のセミナーの受講者も、長時間労働になってしまっている人に対して既に面談を複数回行ったそうです。しかし、そもそも当の本人が長時間労働を問題だとは考えていないようで、そのために削減しようとする意思が全く感じられないとのことでした。

こうした長時間労働を改める意思がない部下への対応の相談を受けるのは、今回が初めてのことでありません。実は、セミナーに限らずコンサルティングや企業内で行う研修でも3本の指に入るくらい多い相談内容なのです。

それでは、一体なぜ長時間労働をいとわない部下がこれほどまでに多いのでしょうか。

これに関しては、2か月ほど前の朝日新聞でも取り上げられていましたが、大阪大学の大竹文雄教授の研究があります。

大竹教授は、人間の「心の癖」を経済分析に応用する行動経済学の視点から、「長時間労働には、たばこや酒と同じような習慣性がある」とおっしゃっています。

「一度長時間労働をすると、それに慣れて苦痛でなくなる。働きすぎれば健康を損なうにもかかわらず、中毒になってしまえば、やめるのが難しい」、いわゆるワーカーホリックになってしまうということです。

また、子どもの頃に夏休みの宿題を後回しにしていた人ほど週60時間以上働く傾向が強く、中毒になりやすいそうです。これを聞いてドキッとした方も多いかもしれませんね。

そして、ワーカーホリックになった人がやがて昇進すると、場合によってはその職場全体を長時間労働にさせてしまうこともあるようですから、この問題は早めに手を打たなければなりません。

長時間労働自体を規制する仕組みを作ろうとする動きもあるようでが、そうすると今度は場所を変えて仕事する、つまり家に持ち帰って仕事をすることになってしまう場合もあります。この問題の解決はそう簡単なことではなさそうです。

今後も長時間労働の削減に向けた様々な取り組みが進められると思います。これまでのような「同じ成果を出すのであれば、仕事時間は短ければ短いほど良い」という前提にたった考え方では通用しないということです。

弊社が取り組んでいる「仕事の渋滞解消」は、こうした長時間労働削減への有力なアプローチの一つだと考えていますので、興味のある方はぜひお問い合わせください。

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コンサルタントに必要な「地頭のよさ」とは

2017年06月21日 | コンサルティング

「コンサルタントになるには地頭(じあたま)がよくないとダメだそうです。」外資系コンサルティング会社への就職を希望しているA君がそう口にしたとき、私は「地頭がいいって何だろう?」と考えてしまいました。

知識を上手く引っ張り出して組み合わせ、正解を導き出す能力に優れた人は頭がいい人です。それは学校の成績がいい人でもあります。

たとえば、中学の数学の教科書に出てくる公式の数は高が知れています。丸暗記しようと思えば誰でも可能です。しかし、基本的な知識(公式)を使って、限られた時間内に問題を分解し、整理し、組み合わせて問題を解く力は単なる暗記力ではありません。

「分解して、組み合わせて、当てはめる」能力こそ頭のよさを表しています。外資系のコンサルタントの方々は、まず例外なくこうした能力が優れています。そうした方と話す機会があったら「中学の頃、数学が得意でしたか?」と聞いてみてください。例外なくYesという答えが帰ってくるはずです。

ただし、頭がいいというのは必要条件だとしても、十分条件ではありません。

地頭がいいと言われるためにさらに必要なもの、それは仮説構築力だと思います。仮説構築力とは、「仮説=仮の答えを作り出す力」のことです。問題すらはっきりしていない状態で、とにかく「仮」の答えを考え出す力であるといえます。

問題自体がはっきりしていない状態というのは、ビジネスの現場ではよくあることです(学校の試験でそれがあったら困りますけれど)。仕事を進めていくうちに、いつのまにか上手くいかなくなって、最後には行き詰ってしまったという経験は誰もがお持ちだと思います。そんなとき、ほとんどの人はそこで思考停止になってしまいます。学業が優秀だった方は、こういう「問題がはっきりしない問題」を苦手とする人が多いようです。

もやもやした問題に直面しても「とりあえず問題はこうだ!」と決めてしまって、仮説を導く。そして、間違っていたらまた問題の定義に戻ってやり直す。これを繰り返して最終的には「正解」にたどり着く。これが地頭のよさなのではないでしょうか。

冒頭のA君は「頭はいいけど、地頭はいまひとつ」という人物です。残念ながらコンサルタント向きではないなあと思っています。そのことをA君に話すと、彼は納得したようでした。結局彼はコンサルティング業界をあきらめて、大手の重工業の会社に就職しました。

とはいえ、仮説構築力は生まれつきの才能ではなく、練習で身に付けることが技術です。

もしA君がコンサルタントになりたいと思うなら、スキルを身に付けるための練習を重ねることで、十分にその可能性があります。

なにしろ彼は、必要条件は十分に満たしているのですから。

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中小企業の強みとは

2017年06月18日 | コンサルティング

 「価格や納期の短さでは大企業にはかないません。ですから、無形のサービスの質を高めたい。そのためには社員に頑張ってもらわなければなりません。そこで、今日はこのセミナーに参加しました。」

これは、先週担当した「『ほめる』『叱る』で上司力アップ」セミナーの参加者の一人の言葉です。この方は社員数30名ほどの製造業の取締役部長で、課長と一緒にセミナーに参加されたとのことでした。冒頭の言葉を伺う前から、丁寧にメモを録り熱心にロールプレイングに参加していた姿が印象に残っていたのですが、この言葉を聞いて合点がいったような気がしました。

一般的に中小企業は大企業に比べ、「ヒト・モノ・カネ」をはじめとした経営資源が少ないと言われています。実際にこれまでにもセミナーの中で「いかに経営資源が少ないか」を一生懸命に訴えられる方に何度となくお会いしてきました。

しかし、それでは本当に中小企業はすべての経営資源が少ないのでしょうか。そして、大企業の方がすべての点で優れているのでしょうか。

これまで弊社がコンサルティングを担当させていただいた中小企業の中には、SWOT分析や損益分岐点などを確認してみると、独自の技術やノウハウなどの強みを持っているところが多数ありました。

つまり、こうした企業ではきちんと自社の分析をしたことがなかったが故に、自社の強みが何であるのかをきちんと把握できていなかっただけのことなのです。

こう考えると、一概に中小企業より大企業の方が優れているとは言えないと思うのです。

実際に、「先進性のある技術の導入」や「企画・提案の能力」、「販売の仕組み」などは大企業の方が優れているようですが、一方で「顧客対応の速さ、小口受注などに対する柔軟さ」、「アフターサービスの充実」については、大企業よりも中小企業の方が優れている割合が高いです。(中小企業のホームページより)

中小企業が得意とする顧客対応や柔軟な対応、アフターサービスの充実というのは、まさに冒頭で紹介した部長がおっしゃっていた無形のサービスの提供ということです。そして、この無形のサービスを提供するのは、まさに「ヒト」=社員です。

社員のやる気を引き出す。そのためには、社員を観察してほめるべきところは評価したり、反対に改善すべき点はきちんと叱ったりする。これが大切なことなのです。

適切にほめること、叱ること。これをやり続けることによって「ヒト」を育てること。中小企業の強みを明確にするためには、ここがポイントなのではないでしょうか。

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営業心理学を全部試してみよう

2017年06月14日 | コンサルティング

営業担当者が使うセールス・トークには心理学からの借用がたくさんあります。その多くは誤用や言葉面だけのものです。このブログでも過去に「メラビアンの法則」や「ザイアンス効果」、ロバート・チャルディーニの「影響力の武器」などについてやや否定的に書いてきました。メラビアンもザイアンスもチャルディーニも著名な心理学者ですが、強いて言えばいずれの先生も主流派からはちょっと離れているのが共通点です。

さて、営業心理学を似非心理学と言ったり、怪しげな営業トークをさんざんネガティブに扱ってきた私ですが、実はあるウェブサイトを見てちょっと考え方を変えました。

それは「営業マン必見!仕事に使える31の心理学テクニック」※というタイトルのサイトで、次のような心理学のテクニックが紹介されています。おそらく皆さんもいくつかご存知ではないでしょうか。

1.好意の返報性 2.ドアインザフェイ 3.フットインザドア 4.メラビアンの法則 5.セルフマニュピレーション 6.セルフプレゼンテーション 7.ハロー効果 8.バンドワゴン効果 9.バーナム効果 10.ローボールテクニック 11.ラポールトーク 12.ミラーリング効果 13.バックトラッキング 14.相づち法 15.イエスバット法 16.オープンクエスチョン 17.クローズドクエスチョン 18.カリギュラ効果 19.クレショフ効果 20.プラシーボ効果 21.アンカリング効果 22.ザイアンス効果 23.カクテルパーティー効果 24.両面提示と片面提示 25.マジックナンバー3とマジックナンバー7 26.ピグマリオン効果 27.アンダーマイニング効果とエンハンシング効果 28.スリーパー効果 29.プライミング効果 30.ロミオとジュリエット効果 31.噴水効果とシャワー効果

私は、今回あらためてここに挙がっている31の「心理学」に目を通してみました。

結論から言えば、似非心理学と科学の境目をはっきり認識していれば、こうした「心理学」を営業担当者がセールス・トークで試してみるのもアリかなと思いました。

営業成績が伸び悩んでいる営業担当者は、この31の「心理学」をノートに書き写し、実践で試してみることをお勧めします。

ただし、先に言っておきますが、ほとんどが上手くいかないと思います。

しかし、「とにかく試してみる。ダメだったら次を試す」という試行錯誤のための道具としては、31の「心理学」は悪くありません。それに試行錯誤の過程で、自分の感性に合うものが見つかる可能性だってあります。

31番目の次に、新しい「心理学」を1つ付け加えておきます。

32.「試行錯誤効果」・・・営業成績が落ち込んでしまったら、悩む前にとにかく試してみよう。

※ 営業マン必見!仕事に使える31の心理学テクニック

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あなたの「のれん」はいくらでしょう?

2017年06月11日 | コンサルティング

タイトルの「のれん」とは、お店の入り口にかかっているあの暖簾のことではありません。簿記2級をお持ちの方はご存知だと思いますが「のれん」は勘定科目の1つです。会社を買収(吸収合併)したときに、買収で支払った金額のうち買収先の純資産を上回った差額を指します。買収先が持っている「ブランド力」を金額で表したものと考えることができます。

たとえば、あなたの会社(大手百貨店とします)が、ある有名ブランドを持つアパレル会社を買収するとしましょう。そのブランドを手に入れれば、かなりの売り上げ増が見込めます。アパレル会社の純資産が10億円だとすれば、10億円あればその会社を丸ごと手に入れることができそうです。

ところが、その会社の株主が「あと5億円上乗せしてくれなきゃ売らないよ!」と言ったら、15億円用意しなければなりません。のどから手が出るくらいそのブランドが欲しいあなたの会社は、(しぶしぶ?)15億円で買収することにしました。

すると、買収後の貸借対照表上に何も無いところから突如(差額分の)5億円が影も形もない資産として生まれたことになります。これを「のれん」という勘定科目(無形固定資産)で表示おくわけです。「のれん」にはこの例のようなブランドのほか、技術力、営業上のノウハウ、立地条件等の地理的条件、官公庁の登録・許認可などがあります。

さて、「のれん」を人の例で考えてみましょう。

「うちの会社の財産は人だ」とか「わが社の社員は人材ではなく人財だ」などと言う経営者がいます。「財」とは貝偏(かいへん)からもわかるように金銭的価値を意味していますから、ちょっと意地悪に言えば「うちの社員は、金額で表示できるわが社の所有物だ」ということになります。

では、人の価値はどのように考えたら良いのでしょう。今年は新卒、中途ともに企業の採用活動が活発です。人を採用する理由は、その人に支払うコスト以上の見返りを将来会社にもたらす見込みがあるからです。そうでなければ採用はしないでしょう。

特に中途採用で人を採るときは、こうした「見込みの確かさ」が鍵になります。ある人物が「ほかの人よりも稼いでくれそうな見込み」があるとすれば、平均よりも高い給料と地位という「差額」を支払ってでも採用するでしょう。

その差額は「のれん」すなわちブランド価値や技術力を表しています。だから、転職市場では即戦力として利益を上げてくれそうな人はひっぱりだこになります。

人は会計上の資産ではありませんが、中途採用では「のれん」のような価値を見込んで人を採用しますので、人を「財」扱いするのはある意味当然のことです。

転職をお考えのみなさん、あなたには「のれん」がありそうですか?

それはどのくらいの価値でしょう。すぐに答えられますか?

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就活生の企業研究・業界研究は何をすればよいのか?

2017年06月07日 | コンサルティング

「63.4%」

これは、今年6月1日時点での来年(2018年)3月卒業予定の全国の大学4年生の就職内定率です。景気回復の影響を受けてか、前年対比で8.5ポイントも高い結果になっているようです。

しかし、街中では今もリクルートスーツに身を固めた学生達の光景をよく見かけますので、まだ「勝負はこれから」という人も多いのでしょう。

さて、先日大手製造業から既に内定を得ている男子学生と話をする機会がありました。就職活動を終えた今、活動を通して難しかったことについて話してくれたのです。彼が言うには適性などの自己分析ももちろん大変だったけれど、何よりも大変だったのは企業研究や業界研究だったとのことです。

希望している企業の情報を新聞や雑誌・インターネットで調べることはもちろん行ったものの、本当のところはよくわからなったとのことです。さらに、OBの社員数人からも話を聞いたそうですが、あまりピンとこなかったと言っていました。

この話を聞き終えて思ったのは、学生が企業の話を聞いてもよくわからないと思うのは、当然のことだろうということです。

企業のコンサルティングや研修の仕事を始めて20年以上経過している私であっても、初めての業界からいただく仕事については、すぐに内容を理解できるわけではありません。

実際に企業に伺う際には、それ相応の準備をしてから訪問するようにしていますが、それでも事前に得られる情報はかなり限られたものです。上場企業であれば、財務状況などの数値の情報を得ることができますから助かりますが、未上場であればそれもかないません。

限られた情報ではあっても、それに基づき分析をして一定の仮説を立てて訪問していますが、先方の話を伺って初めて詳しく業界の特徴や状況がわかり、仮説が間違っていたことが判明することも少なくありません。

また、初回訪問からいきなり込み入った情報を教えてもらえることはほとんどないわけです。これも何度も訪問を重ねていく中でようやく情報を得られるようになり、少しずつ詳しい状況や特徴が理解できるようになっていきます。

さらに信頼を得られるようになると、仕事を依頼してくださる部署だけでなく営業部署の人や、製造業であれば製造部、生産管理、品質管理、技術や開発部署の人などから各々話を伺う機会をいただくことができます。こうしてようやく全体像がわかるようになったり、企業風土が感じられるようになったりしていくわけです。

このように、企業や業界にかかる情報をきちんと入手しようとするのは大変なことなのです。

様々な情報が溢れていて、またスマホをはじめ種々の情報メディアを使えば簡単に情報を得ることができると言われている昨今ですが、「どのような情報を、どのように得るのか」については、それなりの努力と一定の経験を積まないと難しいと思います。

そう考えれば、いくら空前の売り手市場と言われている現在の状況ではあっても、就職活動の中で比較対象を持たない学生の彼らにとっては、企業研究、業界研究をするのは簡単ではありません。どの情報をどう得ればよいのか、得た情報をどう理解すればよいのかが難しいことは全く変わりがないということです。

バブル期を越えると言われている近年の就職環境においても、冒頭の学生のように、企業研究や業界研究で苦労するというこの状況は、今後もしばらく続くのでしょう。

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「地味」なコンサルタントを選べ!

2017年06月04日 | コンサルティング

「御社の売上を伸ばすには、レッドオーシャンになっている既存市場から大きく舵を切ってブルーオーシャンへと進まなければなりません。」会議室に集まった役員達の前で戦略系コンサルタントが話し始めました。「新規市場のポテンシャルを示したのこのマトリクスです。」美しい画像をふんだんに使ったパワーポイントの画面がプロジェクターに映し出されたました。

こうした「派手目」のコンサルタントのプレゼンテーションに対しては、大体2通りの反応があります。ひとつは「すばらしい!今まで考えもしなかった斬新な提案だ!」と好意的なもの。もう1つは「業界のことを十分知りもしないで・・・」という懐疑的なものです。

実際、コンサルタントが「こうすれば成功する!」と言うと、コンサルタント嫌い(?)な人たちは「本当に成功するならお前がやってみせろよ!」と口にします。経営に関して人に教えられるほどの知識を持ち、成功する戦略を作れるならそれができるはず、というわけです。確かに説得力がありますね。

本来コンサルタントの仕事とは、クライアントを覚めた目で見つめ、でこぼこになった組織構造や業務の進め方をこつこつ叩いて直していくことです。

たとえば利益率が低下しているという問題があれば、営業をはじめ製造や流通、経理や総務といったスタッフ部門まで含め、日常的な活動を洗い出して小さなムリ、ムダ、ムラを地道に取り除いていく必要があります。

しかし、残念ながらこうした地味な提案をするコンサルタントの受けは良くありません。「なにを当たり前の事を言っているんだ」とか「そんなことは現場の管理者が毎日やっているよ」と言われてしまうのです。

斬新で派手な提案をするコンサルタントに対しては、新規性を好む経営者が支持をしますので、多少は受け入れられる可能性がありますが、「地味コン」に対してはコンサル・フィーを払ってまでやる必要はないと判断されがちです。

真の問題は「当たり前のことができていない」、「現場がなにをやっているのかわかっていない」ことなのですが・・・。

20世紀のモダニズム建築を代表する建築家ミース・ファンデル・ローエは「神は細部に宿る」という言葉を好んで口にしていました。建築物は見た目の印象に目を奪われがちだが、一見してわかりづらく、細やかな仕事こそが一流なのだという意味です。

「利益は当たり前に宿る」これは当社が作った言葉です。スケールは小さいですが、真実を語っていると自負しています。経営者の皆さん、コンサルタントに仕事を依頼するときは是非思い出して下さい。

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