「途中の混雑の影響により、間もなく○○駅に2分ほど遅れて到着します。お客様には、お急ぎのところご迷惑をおかけいたしまして、誠に申し訳ございません」
今朝も通勤途上の電車内でこのアナウンスが流れたのですが、これを聞かない日はないというくらい、頻繁に放送されているような気がしています。
外国人からすると、日本の電車がほぼ時刻表通りに運行されていること自体が、日本に来て驚くことの一つだということは以前からよく言われています。
しかし、最近では異なる路線の相互乗り入れが増えてきたことも理由なのか、冒頭のアナウンスように電車の遅延は日常的に繰り返されています。
このアナウンスを入れる前提には、「電車は定刻通りに来るもの、走るもの」という考え方があるのでしょう。そのため、遅延証明書がこれまた日常的に配布されています。確かに、わずか数分とはいえ電車の遅延があると、乗り換えるはずの電車に間に合わずに行かれてしまうことになってしまうこともあります。2~3分とはいえ遅れの影響は少なからずあります。
この部分だけを取り上げて考えると、ダイヤに厳密にもとづいて運行する日本の電車に、同じく分刻みに行動する日本人が乗車しているようにも感じます。では、実際のところはどうなのでしょうか。
電車のダイヤを始めとして、始業時間など就業規則で決められたルールについてはきちんと意識して行動している人は多いと感じます。その一方でそれ以外の時間に関する感覚に意外に甘い部分があることも、我々の多くに見受けられます。
たとえば、弊社が企業研修の講師を担当させていただくときには、たくさんのグループ演習に取り組んでいただくようにしています。演習前には、その都度「15分間で話し合ってください」、「納期は30分後の○時○分です」と具体的に納期を伝えていますが、特に始めのうちはこの「納期」に遅れてしまうグループが多いです。
その理由は、グループ内で演習を始める際に時間配分を考えずに話し合いを開始したり、1人で長時間話してしまう人がいてもそれを諌める人がいなかったりするからです。
これ以外でも、実際に仕事で様々な人とやり取りをする中で、書類の送付期限や検討結果の返事の期限を双方で確認したうえで設けたとしても、守られないことがあります。実際にはその通りに書類が届かなかったり、返事をもらえずに困ってしまったりという経験を持つ人は少なくないでしょう。
時間は有効に使えば経営資源ですが、無駄にしてしまえばコストにしかなりません。
しかし、どうもこの点の認識が今一つ甘い人が多いと感じます。そして、その結果として会議の時間が延々と長引いてしまったり、長時間残業を引き起こしてしまったりしています。さらにはそれをさほど問題だとは考えない状況につながっています。
電車の時間にもこれだけストイックな日本人なのですから、その特性をプラスに生かして、納期に関しても敏感になることの大切さを自戒の念を込めて発信していきたいと思っています。
あなたはいろいろな「納期」を守っていますか?