「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「人事部長や役員は、社員のことをどれくらい知っているのだろか?」
私が様々な企業などで仕事をさせていただく際に、時々こうした疑問を持つことがあります。一般的に、組織の規模が大きくなればなるほど、部長や役員のような上位の役職の人が社員との接点を持つ機会は少なくなります。そのため多くの場合、部長や役員は特に優秀な社員や少々問題を抱えているような社員などの情報に接することはあっても、それ以外の多くの社員については売上数字や人事評価など以外の情報を把握することは滅多にないと考えています。
そのような組織が多い中で、私が毎年担当させていただいているある組織のA氏は7,000名を超える大きな組織の役員であるにもかかわらず、こちらが驚くほど個々の社員のことを把握されているのです。A氏とは毎年管理職昇任試験で、面接官としての立場で1週間ほどご一緒させていただいているのですが、A氏はいわゆる人事データだけでなく、本人の適性や学生時代の専門、趣味や家族構成にいたるまで非常によくご存知なのです。
以前、「どうしてそんなにたくさんの社員の細かいところまでご存知なのですか?」と尋ねてみたところ、「人事部にいたからですよ」と返答をされたのですが、その組織の別の方がおっしゃるには、A氏が人事部に所属されていたときには、少しでも時間ができると様々な職場に足を運んでよく社員に声をかけていたとのことでした。そして、そのようなときにはじっくり会話することはできないまでも、頻繁に接点を持つことができることから、A氏がとても身近な存在であると感じられていたとのことです。そして、それは役員となった今でも活きているのだと思われます。
人事部の使命として、社員をよく知るために現場に足を運ぶことが大切だということはよく言われることですが、それは同時に個々の社員の側にとっても人事部という存在が身近に感じられるようになり、信頼感が増すということにもなるのではないかと考えます。
では、そうした中で人事部の部長や課長が現場を訪れたら、それにはどのような効果やメリットがあるのでしょうか。まずは社員から直接話を聴くことにより、インフォーマルなものも含めて「生きた情報をダイレクトに得ることができる」ということがあります。その結果、様々な課題をはっきり浮きあがらせることができます。同時にこれまでは関りが少なかった社員との距離感を縮めたりすることもできるため、よりストレートに具体的な組織戦略の企画・立案、人事異動を含めた人事施策の一助にすることができるのではないかと思います。
このように、人事部の管理職が現場に足を運ぶことには多くのメリットがあります。それに加えて先述のとおり昇任試験の面接をする際にも通り一遍のやりとりにとどまらず、個々の相手に応じた質問をすることで、より深く相手のことを知ることができ、その結果適切な評価ができるのではないかと考えます。
人事部の部課長が現場を訪れるということは、そのための時間の捻出からして簡単なことではないかもしれませんが、組織で最も大切な存在である個々の社員を知るうえで最も大切なことではないだろうかと考えています。
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