中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

講師オーディションのすすめ

2018年09月30日 | コンサルティング

当社が企業研修の提案を行う際、他社と競合になったときに、顧客から個別に質疑応答の場が設けられることがあります。そこでよく聞かれるのが「この研修はどのくらいの実績がありますか?」です。

つまり、過去の実績をもって「おそらく良い研修をしてくれるだろう」という推測をするのです。これについては、当社は比較的経験が豊富なため、少なくとも最終選考に残る場合がほとんどです。

さらに1社に絞る際に「どんな研修をしているかこの目で見てから決めたい」ということで「見学」を求める顧客もいます。もちろん、いかに違う業種とはいえ、知らない会社の人間に快く研修を見せる会社はほとんどありません。

とはいえ、当社の研修を高く評価していただいて長い付き合いのある会社では、「特別に」見学をさせていただけることもあります(その結果、今までに当社が100%受注しています)。

何事もこの目で見てこの耳で聞いて体験したことしか信じない、という態度は大変立派です。それでも、こうした選考プロセスにかかる時間と労力は決して小さくはありません。

これに代わるやり方としてお勧めしたいのがオーディションです。研修会社を数社に絞ったら、1社30分~1時間程度の模擬講義をやってもらうのです。その時の講師の進め方と質疑応答で、かなり正確に研修の成果が推測できます。

できればその場で十分に質問を浴びせ、納得がいくまで説明してもらうことが望ましいでしょう。進め方が下手な講師、インチキ講師、知ったかぶり講師などはその場で化けの皮をはがすことができます。

そうすれば値段だけで選んで失敗することも、有名講師だからとか、大手研修会社の推薦だからといった理由で選んで「今ひとつだった」ということもなくなります。

さて、良質の研修を社員に提供することが研修担当者の責務です。その意味では、オーディションでは「選ぶ側」の力量もかなり必要になります。研修担当者のレベルが低くてはダメ講師を見抜くことができないからです。

講師オーディションは研修担当者と候補者である講師、双方の力量を試す真剣勝負の場です。

当社はお声がけいただければ喜んで「勝負」いたします。

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段取り八分って何ですか?

2018年09月26日 | コンサルティング

「段取り八分」、皆さんはこの言葉の意味をご存知でしょうか?

弊社が行う仕事の生産性向上を目的とした研修では、仕事の段取りの立て方を説明することが頻繁にあります。

以前はそこで当たり前のように「段取り八分」という言葉を使っていたのですが、年代に関係なくこの言葉が今一つ認知されていないことがわかってからは、先手を打って、はじめに「段取り八分」の意味を説明しています。

「段取り」とは、「ことが上手く運ぶように事前に準備をする」ことです。また、「段取り八分」とは、「仕事の段取りがしっかりできたら、仕事の8割位は終わったと言える」という意味です。

この語源は歌舞伎の楽屋用語で、段取りの段とは話の区切りや一幕のことで、芝居の筋や構成することを「段取り」と表現したことが始まりと言われています。(手語源由来辞典による)

実際、これまでの私の経験上、仕事が予定通りに進んでいる人や納期に遅れたりすることがない方ほど、しっかり段取りをしていると感じます。特に、長期にわたって取り組むプロジェクトなどであれば、段取りの有無が仕事の成否に大きく影響すると言っても過言ではないはずです。

そして、仕事の大小にかかわらず段取りをきちんとしている人は、当たり前のように段取りそのものも仕事の一部としてとらえているように感じています。反対に仕事が予定通りに進んでいない人ほど、「段取りの重要性は理解しているけれど、こんなに忙しいのだから、段取りをする余裕はない」などと言う人もいます。

そもそも段取りとは実際に行うべき仕事の一部であり、決して余分なものではないはずですが、その真意がすぐに伝わらない人がいるのも事実です。実際、日々の業務や残業に追われている人ほど、実はこの段取りを立てていないことが少なくないのは、何とももったいないと感じています。

仕事の生産性向上が求められている今、そのためにいろいろな取り組みを行っている人も多いとは思います。しかし、もし、今の仕事の進め方が段取りをきちんと立てていないのであれば、まずはそこからはじめてみてはいかがでしょうか。

段取りを立てて仕事に取り掛かってみると、何もしないよりも確実に早く、無駄も少なく進められるということを、きっと実感していただけるはずです。

「忙しくて、段取りを立てる時間もない」と思っている人は、だからこそ一度、段取りを立てることにトライしてみてください。段取りを立てることに要した時間より、より多くの時間を節約できたことにきっと気づいていただけるはずです。

ところでこの「段取り八分」という言葉、広辞苑他、国語辞典を何冊(小学館、角川、三省堂、岩波・・・などなど)も調べてみましたが、確かに意味が載っていませんでした。

そうであれば、弊社はますます力を込めて「段取り八分の伝道師」を目指したいと考えています。

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「地位が人を作る」という誤解

2018年09月23日 | コンサルティング

「私は昇格するにつれ自分自身に厳しくなっていった。管理職、役員と地位が上がるたびに、自分自身に課すルールを増やし厳格にしてきた。」「思えば、その過程でリーダーシップが身についてきたのだと思う。」ある大手企業の社長の言葉です。そしてこう締めくくっています。「これが『地位が人を作る』ということだろう。」

おそらく皆さんはこう思われたことでしょう「いやいや、それはあなただからできたことで、普通の人には無理です」と。・・・私もそう思います。

どんな会社でも、昇格するたびに自分に厳しくなれる社員は、全体の1%もいないでしょう。冒頭の社長のような強い意志を持つ人ならいざ知らず、ほとんどの人は「給料が上がった、部下が増えた」と喜ぶだけで終わります。「地位が人を作る」ことは、まずあり得ません。

さて、当社が担当する自治体の階層別研修では、消防士の方々が受講者になることがよくあります。消防士は採用されてから1年ほどの訓練期間を経て現場に配属されます。「訓練はとても厳しく、辛いときもありましたが、訓練で身に付けたことが現場の活動のすべてを支えています。」一人の受講者の言葉です。

消防の仕事に限ったことではありません。どんな職場であってもまったく同じことが言えます。昇格して一段高いレベルの仕事をこなすためには、しっかりとしたトレーニングが必要になります。「昇格したら自動的にワンランク上の仕事ができるようになる」などということは絶対にありません。

だからこそ、どのような組織においても研修を含め昇格時のトレーニングは極めて重要なのです。

「地位が人を作る」のではなく「人が地位を作る」のです。

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部下指導の方法を習ったことはありますか

2018年09月19日 | コンサルティング

 「教えたとおりにやってくれない・・」、「時間の確保が難しい・・」

これは弊社が担当させていただいている管理者研修の中で、管理者が部下指導をする際に思わず漏らしてしまうことが多いと伺っている言葉です。

上記のように、管理者を対象にした部下指導研修では、部下指導の難しさを口にする管理者が決して少なくない現実があります。

厚労省が毎年実施している「能力開発基本調査」では、人材育成に関する問題点の1位は「指導する人材が不足している」(54.2%)、2位が「人材育成を行う時間がない」(49.5%)です。さらに、少し下がって「人材育成をする方法がわからない」という理由も挙げられています。

これらはいずれも、育成される側の問題というよりは人材を育てる側のマンパワーに関することがメインの問題になっているわけです。

同じように、冒頭で紹介した管理者から伺った部下指導の難しさに関する言葉も、そもそもは育てる側に起因しているものなのです。

このような場面を目にするたびにいつも思うのは、そもそも管理者自身には部下を指導するための手法を獲得する機会はあったのだろうかということです。

そこで弊社ではここ数年、研修などで管理者の皆さんにお会いするたびに、改めて管理者として部下指導の手法を学んだことがあるか否かについてインタビューを重ねてきました。

そうすると、「管理者昇格前後に部下指導について学ぶ機会があった」という方がいる一方で、「『あなたを今日から管理者に任命する』という紙切れ(辞令)一枚で、ある日いきなり管理者になってしまって面喰ってしまった」と言う方が圧倒的に多いと感じています。

こうした事態は、少々極端な言い方をすれば、まるで武器を持たずに戦場に乗り出すようなものと同様と言えるかもしれません。ですからその結果、管理者として部下指導に悩んでしまうのは当然のことといえます。

管理者の使命は、職場の目標達成のために経営資源(人、モノ、カネ・・・)を効果的に活用することです。そのためには、コミュニケーションを通して部下に行動変容を起こさせて、最大限の力を発揮してもらう必要があります。

このように考えると、研修の現場で管理者の声を耳にするたびに、管理者の使命を全うするためにも管理者になる際には、管理者の役割および部下指導をするための手法をきちんと学ぶ機会を設けることは必須ではないのかと改めて感じています。

さて、あなたが管理者でいらっしゃる場合、これまで管理者の役割や部下指導の手法をきちんと学ぶ機会はありましたか?

もし、これまで一度もなかったという場合は、ぜひ部下指導の研修を受けてみられることをお勧めします。きっと自信を持って指導ができるようになるはずです。

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あなたを育ててくれた人は誰ですか?

2018年09月16日 | コンサルティング

いえ、両親のことではありません。会社に入ってからあなたに仕事を教えてくれた人たちのことです。あなたが一通り仕事ができるようになるまでの出来事を思い出してください。昔のことなので思い出せない・・・かもしれませんが「あのとき、上司のXXさんがこうやって教えてくれた」という記憶は必ずあるはずです。

「いや、誰からも一切教わった記憶はない。自分一人だけで仕事を覚えてきた。」と断言できる人はいないと思います。もしいたとしたら、超能力者か恩知らずのどちらかでしょう。

経営者や管理職の方々にこういう話をすると「最近の若者は教えてもらうのが当然だと思っている」「何度教えても覚えようとしない」という答えが返ってくることがあります。「それに比べれば、自分は誰にも頼らず苦労して一人前になった」というわけです。

しかし、思い出していただきたいのですが、昔はたくさんの人たちがあなたの周りにいたはずです。直属の上司以外にも、口うるさい他部署の課長、取引先のおっかない係長、いちいち文句をつけてくる先輩・・・。あなたはひとりで頑張ってきたと思っているかもしれませんが、実は多くの人たちから何かを少しづつ教えてもらっていました。あなた、つまり昔の若手社員は恵まれていたのです。

一方、現代の職場を見回せば、昔のように多くの人たちが目に入ることもありません。メールのおかげで対面で話をする機会も減りました。課長も係長も先輩も年々仕事の量が増える一方で、部下や後輩などかまっていられません。

だからこそ社長以下社員全員が「意識して」若手社員を育てなければならないのです。

「自分は多くの人に育ててもらった」ということを自覚している管理職は「多くの人を育てる人」になっています。そうした管理職が多くいる会社の方が、そうでない会社よりも業績が良いことは言うまでもありません。

会社を存続させるため、あなたも「育てる人」になってください。

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部下の成長は上司次第

2018年09月12日 | コンサルティング

 「技術面では向上の余地は山ほどある。今後もピースを埋める作業は我慢強くやる」

これは先日、テニスの全米オープンで初優勝した大坂なおみ選手の指導者、バインコーチの言葉です。

昨季までの大坂選手は、元々持っていた力を試合で発揮できないときもありましたが、今季からコーチがバイン氏に替わり、飛躍的にその力を発揮できるようになっています。

その結果が今回の優勝につながったのでしょう。それでは、1年にも満たないこの短期間に、バインコーチは大坂選手にいったいどういう指導をしたのでしょうか?

報道によると、バインコーチは大坂選手の引っ込み思案な性格や、物事をネガティブにとらえたりするなどの性質を踏まえて、「練習はできるだけ楽しくなるように、そしてポジティブな雰囲気を作ろうと思っている」とのことです。

たとえば、大坂選手が良いショットを打てば、大げさにほめて大坂選手のやる気を向上させたり、反対にミスをして気分が落ち込んでしまいそうなときには、「なおみはできる」とフォローをしたりするとのことです。確かにテレビを通して、何度かそういう場面を目にしました。

また、バインコーチは大坂選手に伴走するように、食事も炭水化物を控えたり練習時も笑顔で併走したりして、一緒に汗を流すことを心がけたとも言います。

ラリーやサーブの練習では、「負けたら渋谷の交差点でダンスする」、「苦手な納豆を食べる」など、罰則ありの勝負形式で意欲を起こさせる。そして、バイン氏が負けると罰則としてスクワットをして、それを大坂選手がニヤニヤしながらスマホで撮影するなど、練習は笑いが絶えない時間であるとも報道されていました。

つまり、バイン氏は指導者として大阪選手の長所・短所を的確にとらえ、最も適している指導を行い、今のような成長をさせたと言えます。

さらに、上から一方的に指導するのではなく、自ら選手と同じ境遇に身を置くことによって、同志として選手とともに戦っていることも理由の一つと言えるのではないでしょうか。

これらの指導は、今回の大坂選手の活躍によって美談として語られていますが、ここに至るまでの指導者として道のりは決して簡単なものではなかったはずです。

話は変わりますが、弊社が担当させていただく管理者研修では、「部下が仕事をおぼえない」、「なかなか成長しなくて困っている」という声を受講者からよく聞きます。

確かに、簡単に部下は簡単に成長するものではないでしょう。でも、そういう管理者に限って、実は部下が「育たない」のではなく、「育てていない」こともありそうです。

このような管理者の話をよく聞いてみると、「部下指導をしたいけれど、忙しくてその時間がとれない」であったり、「部下が大勢いるので、一人一人の性格や特性に合わせた指導などできない」などと、できない理由を次々に挙げたりします。

つまり部下が育たない原因は、そもそも管理者が育てることをしていない可能性も高そうなのです。

よく、若手社員の早期退職を防ぐためにはどうすれば良いかについて質問を受けることがありますが、そもそも若手社員が退職を決断する理由は何なのかを考えてみる必要があります。

その理由として給料や休暇といった条件面が考えられることが多いですが、実は上司の指導や上司との人間関係を理由に退職する人が少なからずいるであろうことを忘れてはなりません。

上司の指導によって部下を大きく成長させることもできるし、その逆もありうる。今回の大坂選手の活躍を見ながら、改めて感じました。

「部下が育たない」と考えている上司は、先ずは自分の指導法を振り返ってみることをお勧めします。

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研修制度はありますか?

2018年09月09日 | コンサルティング

 応募者:「人材育成には熱心に取り組まれているのでしょうか?」、「研修はどういうタイミングで受けられるのですか?」

これは先日、企業の採用を担当している会社の方から伺った、就職活動中の応募者からの質問です。

この担当者の話によると、今年の採用活動で就職希望者からたびたびこの質問を受けたそうです。「おそらく、大学のキャリアセンターから企業の面接の際には必ずこの質問をするように指導されているのだと思いますが、それにしてもほぼ全員からこの質問を受けましたので、『またか』と思った」そうです。

採用活動は年々、学生側優位、いわゆる売り手市場に拍車がかっていますが、こうした中で、冒頭の質問やワークライフバランスへの取り組みに関する質問を学生が熱心にするようです。

入社を希望する人が人材育成やワークライフバランスへ関心を示すことは、もちろん悪いことではありません。

しかし、今春入社した若手社員を振り返ってみると、入社前にはあれほど人材育成制度に関する質問を熱心にしていたのにもかかわらず、いざ入社すると研修に関する興味関心が一気に薄れてしまうように感じられるとのことでした。

たとえば、新入社員研修の後半の頃には早くも「研修って意味があるのかな?配属後に役に立つとは思えない」「研修はもう受けたくない」などの言葉を発することもあるとのことです。

おそらく、こうした現象はこの企業に限ったことではないはずです。

応募者が、その企業の人材育成制度の有無やワークライフバランスの考え方について質問をするのは、言ってみればある種の「シグナル」と言えます。

つまりは、応募している企業がそれらの制度を取り入れているかどうかを「シグナルとして」確認をしているだけであり、それが確認できさえすれば、とりあえず納得できるというわけです。

したがって確認ができた結果、その中身が意味することや自分がどのようにそれらにかかわるかについての興味・関心は、実はそれほどでもないということなのです。

そして、こうしたことは「シグナリング」と言えます。シグナリングとは情報を多く持っている側が取引を円滑にトラブルなく行えるようにするために、情報が少ない側へ情報を提供することを言います。

応募者は、「研修制度がしっかりしている」という情報を得たことによって、「この企業はきちんとしている」というシグナルを得て、応募を正式に決定するわけです。

つまり、研修の中身についての詳細はほとんどわからなくても、研修の有無だけで判断をしているわけで、実際に入社すれば研修への興味・関心はほとんどなくなってしまうのです。

入社前の学生ですから、企業の研修の中身について具体的に判断できないのは仕方がないとしても、冒頭のようなやりとりが形骸化してしまい、入社後に受講する側の研修や人材育成への関心が薄れてしまうのは、何とももったいない話です。

弊社では研修や人材育成への関心が単なるシグナルで終わらず、実際に新入社員の成長につながるように、最大限の努力をしてまいります。

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商標登録研修誕生秘話(?)その1

2018年09月05日 | コンサルティング

「紙飛行機で経営シミュレーション」これは当社が実施している研修のひとつです。先月特許庁より商標権の設定登録の許可が下りました。今月、事務手続きが完了すれば当社の正式な商標となります。

研修に「登録商標マーク ®」(registered trademark)を付するメリットはいろいろありますが、お客様への信用力アップにつながることは間違いありません。

さて、「紙飛行機で経営シミュレーション」とはちょっと変わった名前ですが、その名のとおり、紙飛行機を作って飛ばすことで会社経営に必要な財務諸表や原価計算の基礎を習得できる研修です。

この研修は、導入していただいた会社からの評価が非常に高く、すでに10年以上にわたって実施していただいているお客様もいらっしゃいます。

なぜ紙飛行機なのかは、この研修が生まれた経緯に関係があります。

今から十数年前、「理系の大学院生に会計学を教える」という非常勤講師の仕事の機会がありました。理系の学生ですから数字は得意中の得意のはず。そう思って財務諸表の説明をはじめたところ、30分と経たないうちに約半数が深い眠りに・・・。

そう、学生にとって興味がわかないことはもちろん、授業自体が面白くなかったのです。

そこで、居直って(?)紙飛行機を作ることにしました。学生6~7人を1つのグループにして、全体で7グループを作りました。それぞれを「会社」とし、社長、製造担当、開発担当、営業担当などの役職(?)を決めてもらいました。

紙飛行機の材料はA4のコピー用紙、工場設備はモノサシとカッターナイフです。

顧客である講師が発注した製品(紙飛行機)をグループで作って納品し、売上金を得て利益を計算するという流れです。ただし「製品」ですから顧客が要求する品質を満たす必要があります。たとえば、10メートル以上飛行する「受入検査」に合格することといった条件です。

紙飛行機は誰でも作れますが、意外に飛ばないものです。10メートルとなると、かなり工夫が必要です。また、大きな飛行機を作れば安定して飛びますが、材料費がかさみ、利益が少なくなってしまいます。そこで「小さくてよく飛ぶ」ための研究開発が決め手になります。

理系の院生ですから、授業が終わっても自主的に試作をしたり、CADで図面を描いたりと非常に前向きに取り組むようになりました。

売上高が決まったところで、自分たちの「人件費」、紙の「材料費」、モノサシ、カッターナイフ(工場設備)の「減価償却費」を電卓で計算し、財務3表を作ります。そのプロセスを経て貸借対照表がバランスすれば正解!ということになります。

この授業の成果として、ほぼ全員が「財務諸表が読める理系の学生」になりました。それから現在に至るまで、この授業は十数年続いていますが、学生によるアンケートでも毎年平均点を上回る評価を得ています。

そして授業で培った経験と工夫をベースに「紙飛行機で経営シミュレーション」研修を作ったところ、ロングヒットになったわけです。

最後にお知らせです。この度「紙飛行機で経営シミュレーション」を公開セミナーで開催する機会を得ました。研修ご担当者はもちろん、エンジニア、営業担当者、中小企業の経営者の方々など、今まで会計を敬遠してきた方々にぜひ受講いただきたいと願っています。残席わずかですので、お早めにお申し込みください。

紙飛行機で楽しく学ぶ「経営・財務シミュレーション」
日時:平成30年10月5日(金) 午前10時~午後4時30分
会場:たましん事業支援センター Winセンター (東京都立川市曙町2丁目8-28)JR立川駅徒歩4分

詳細は:1005経営支援/紙飛行機

Webからのお申し込みは:たましん法人総合サービスBOB

さて、もうひとつの当社の登録商標「先手営業」の「商標登録研修誕生秘話(?)その2」も近々登場いたします。ご期待ください。

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中2数字で大丈夫

2018年09月02日 | コンサルティング

前回のブログで「数値化」と「数学」は別のものと書いたところ、「じゃあ算数ができれば、ビジネスに数学は全く必要ないの?」という質問を受けました。確かに中学で習う「数学」と小学校で習う「算数」は別物ですが「必要ない」とまではさすが言い切れませんでした。中学校は義務教育ですから、せめて中学2年までの数学、それも教科書レベルは必要だと思います。

では、中学で習う数学の範囲を見てみましょう。ただし「図形」は除きます。

中学1年生・・・正・負の数、文字式、方程式、関数
中学2年生・・・式の計算、連立方程式、1次関数
中学3年生・・・多項式、平方根、2次方程式、関数

数学が苦手だった方は、私がなぜ「中学2年レベルまで」と書いたのかお分かりいただけたと思います。そこ(2年→3年)に数学ができるできない、すなわち「文系と理系」の分かれ道がはっきりと見えるのではないでしょうか。

おそらく2年生で習う連立方程式、1次関数は、どれほど数学が苦手だった方でも今なら十分に理解し、使いこなすことができます。ところが3年生の多項式、平方根、2次方程式あたりになると、とたんに怪しくなるはずです。

ご安心ください。連立方程式、1次関数が分かれば、ビジネスにおいてかなり質の高い仕事ができるようになります。

1次関数というのは、直線のグラフです。たとえば上の画像の左のグラフは、横軸にその日の最高気温、縦軸にその日のアイスクリームの売り上げ個数を点にして示したものです。右側のグラフは、その数字を使って2つの数値の関係を直線で表したものです。さらにその直線の式が表示されています。

直線は、y=27.585x-472.9という1次式になっています。たとえば天気予報で「明日の最高気温が33℃」だとしたら、xに33を代入するとy=437.405となりますから、「明日はアイスクリームが430~440個くらい売れそうだ」という推測ができます。

こうしたグラフと計算式はExcelで簡単に(それこそ瞬時に)作ることができます。

もちろん、気温以外にも様々な数値が売り上げに影響を与えていることは間違いありませんが、勘と経験だけの予測よりは役に立ちそうです。「中2の数学、恐るべし」そんな気がしませんか?

さっそく明日、本屋さんで中学数学の参考書を1冊買ってみてはいかがでしょう。

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