「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「どういうスキルを身に着ければ、部長になれるのでしょうか?」
これは、私の知り合いが「万年課長」として活躍している部下のA氏から相談された際の言葉だそうです。
知り合いによると、A氏は非常に真面目な人柄で業務にも丁寧に取り組み、部下の育成も熱心に行うタイプとのことです。そのため、課長としては及第点がとれるそうですが、知り合いが言うには残念ながら「部長の器」としては十分ではないと感じるのだそうです。
それでは、A氏が部長の器として足りないのはどのような点で、部長になるためにはどのようにすればよいのでしょうか?
管理職として活躍するために必要となるスキルには、様々なものがあります。まず、コミュニケーションを筆頭に、折衝力や交渉力が必要になります。また、部下を評価する力も必要ですし、問題解決や数字に関する力、さらにはリスク管理など幅広いスキルが求められるのです。もちろん、これらのスキルは部長だけに求められるものではなく、課長職にも必要になるものですが、課のトップである課長とそれより規模の大きい部のトップである部長では、当然求められるレベルが大きく異なってくるわけです。
A氏が望む部長職には部長だからこそのハイレベルが求められるわけですが、私はもう一つ大切なスキルがあると考えています。
それは、業種業態により異なるものだとは思いますが、ある程度共通するものとして、大きな問題やトラブルなどが発生した時に、全体最適の視点を持てるかどうかということです。つまり、問題やトラブルが発生した際に、自部署のみならず組織全体の視点から最善かつ最適な道を探れるかどうか、ということだと考えています。
先のA氏の例では、A氏は問題やトラブルが発生した際に、解決すべく前向きには取り組むものの、少々慌ててしまい部下を右往左往させることが多いとのことです。何より問題なのは目先の問題に拘泥することで部分最適の対応のみに走ってしまうことが多々あり、業務全体の中でその問題を捉えて、最終的にどうしていくことが一番良いのかを考えて行動することができないのだそうです。
そのように考えると、現時点でのA氏は規模の大きい組織のトップとしては少々危ないと感じざるをえないところがあり、部長の器にはまだ物足りないということなのではないでしょうか。
ちなみに、組織における部長職の比率はどれくらいのものなのでしょうか?もちろん組織規模によるわけですが、私が仕事でお付き合いをいただいている企業などでは全社員数の数パーセント程度といったところが多いようです。そのように考えると、部長になるということは簡単なものではではありませんし、その「器」を持っている人はほんの一握りということです。
そのような中で、A氏のように部長職に就いて活躍をしたいと望むのであれば、前述の様々なスキルを磨いていくのは当然必要なことです。それに加えて絶えず全体最適の視点を持つことを心がけ、日々の業務の中で「トータルで考えるとなにが一番良いのか」と考えるようにしていくことが第一歩になるのではないでしょうか。