「『最高の授業』を、 世界の果てまで届けよう (税所篤快、飛鳥新社、2013年)」、久々に一気読みをした本です。
著者は24歳の早大生で、開発途上国に優れた教師の授業をDVDにして届ける活動をしています。バングラデシュ、ルワンダ、ヨルダン、パレスチナ・ガザ地区などその活動範囲の広さは驚くばかりです。
著者の行動はまさに「思いつき」、「思い立ったが吉日」というパターンです。自腹を切って現地に飛び、安宿に泊まってはキーマン(グラミン銀行の総裁にまで)会いに行きます。それでも彼の行動は周りの人を巻き込み、現実を動かしてしまいます。周囲の大人たちも「仕方ないな」と言いながら彼を支援をしてくれます。
24歳の若者が書いた本なので(?)「落ち着きがない」感じがしますが、おもしろさは保証します。ぜひご一読を。
さて、私が最も感銘を受けたのは、教育は確実に人を変えることができるということです。
彼が届けるDVDに登場するのは、その国でも一流の教師です(薄謝で出演しているのでボランティアのようなものです)。貧困地域の子供たちがそのDVDを一所懸命見ながら学んで、今まで受験すらできなかったその国のトップクラスの大学に次々と合格していきます。
ここで言う一流の教師とは権威のある人ではなく、「教える技術」が優れている人のことです。当たり前のことですが、教育の力とは教師の力だということです。
研修講師にとっても自己研鑽がいかに大切であるかを、あらためて思い知らされた本でした。
(人材育成社)