中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

どうすれば働き方改革を実現できるのか

2016年12月28日 | コンサルティング

連日、新聞やテレビで「働き方改革」について取り上げられています。今年の流行語大賞にはなりませんでしたが、個人的には「長時間労働」や「働き方改革」こそ、今年を象徴する言葉にふさわしいのではないかと考えています。

さて、働き方を改革するためにまず問題となるのは、長時間労働です。諸外国と比較しても、日本の労働時間の長さはかねてより問題視されていますが、長時間になってしまう理由は何なのでしょうか。

理由はいろいろあるかと思いますが、労働政策研究研修機構の調査によると、断トツの1位が「仕事量が多いから」となっています。以降、「予定外の仕事が突発的に飛び込んでくるから」、「人手不足だから」、「仕事の締め切りや納期にゆとりがない」が続きます。

さらに、上位にはなっていませんが、他に「周囲が残業しているので、先に帰りづらいから」という理由もあるようです。

一方、長時間労働の対策についても、多くの企業で既にいろいろな取組みが進められており、具体的な方法が紹介されています。そこで効果が高い方法として挙がっているのが、「ノー残業デーの設定」や「一斉消灯」です。

しかし、これらは本当に効果が出ているのでしょうか?前述の残業になってしまう原因を考えると、ノー残業デーの設定や一斉消灯で本当に長時間労働が解消できるのか、疑問を持ちます。「予定外の仕事が突発的に飛び込んでくる」ことや、「仕事の締め切りや納期にゆとりがない」ことに対して、何も対処しないままノー残業デーや一斉消灯を設けてしまったら、ノー残業デーの前後の日にその分の仕事をして長時間労働になったり、仕事をやり残したまま帰ることになったり、納期に間に合わない仕事が続出したりするのではないでしょうか?

このように、一見効果があるように思える解決策ですが、実は物事を先送りにしているだけで、対症療法にはなっても根本的な解決にはつながっていないのです。

そして、何よりこの方法では「残業は組織として強制的にやらせない。しかし、仕事を効率的に進めることは自分たち(社員)で勝手にやれ」と言っているのに等しいように思えることが問題です。

結局、このやり方では個人に無理やしわ寄せがいくだけで、根本的な部分が全く解決できていないということです。

また、残業する理由で「周囲が残業しているので、先に帰りづらいから」については、管理職よりも非管理職の方がこの理由を挙げている人の割合が高い結果が出ています。もし部下が遠慮して帰ることができないような風土があるならば、管理職が率先してこれを立て直していかなければ、お付き合い残業をなくすことはできません。

今後、長時間労働の解消をはじめとして、本気で働き方改革を目指そうとするのであれば、予定外の仕事が突発的に飛び込んでくる影響を極力減らすためにはどうすればいいのか、締め切りや納期にゆとりがない仕事に対してどのように先手を打つのかなどについて、根本的な解決を個人任せにするのではなく、管理職をはじめ組織全体でどのように対応するのかを考えていかなければなりません。

弊社では、この一助となる取り組みをご紹介させていただいていますので、ぜひお役立てください。

そして、これらの取り組みは一朝一夕にできるものではないと思います。急ぐあまり、短期的な効果を追求するのではなく、目先のことにとらわれず1年後2年後に本当の意味での効果を出すことができるように、腰を据えてじっくり取り組む必要があると感じています。

まずは、来年の今頃にどのような成果が出ているのかをイメージして、それを目指して取り組みをはじめることが大切です。

さて、2013年4月から始まった人材育成社のブログも、本日で559回を迎えることができました。おかげさまで、その間のPV(ページビュー)は259,560になりました。

この間にブログをお読みくださった皆さま、本当にありがとうございました。皆さまが寄せてくださったエールや感想が、我々の励みになっています。今後も続けてまいりますので、来年もよろしくお願いいたします。2017年の第1回目のブログは1月9日の予定です。それでは良いお年を。


サンタクロースのような営業

2016年12月25日 | コンサルティング

サンタクロースのような営業をする人がいます。お客様に喜んでもらおうと、「与える」ことに喜びを感じるのです。お客様が「試供品がほしい」と言えば気前よく差し出したり、「使ってみたい」という希望があればどんなに高価な製品でも無償で貸し出したりします。

「お客様の要望を満たせば必ず売上げにつながります」とか「多少出費はかさみますが”損して得取れ”ですよ」などと言います。お客様性善説と言えるのかもしれません。

さて、そんな「サンタクロースな」営業パーソンですが、意外と営業成績はぱっとしません。決して悪いというのではないのですが、上位ではないのです。それが私が過去に見てきた「営業サンタさん」たちでした。

一方、お客様は常にずるいことばかり考えていて、隙あらば「食い逃げ」しようとしているという、お客様性悪説に立つ営業パーソンはというと、実はこちらも成績はいまひとつです。

私は個人相手の営業(BtoC)のことはよく知らないので、あくまでも企業相手(BtoB)に限ってのことですが、単にモノやサービスを与えるだけの営業は「百害あって一利なし」だと思っています。

誤解しないで頂きたいのですが、「与える」気持ちで営業活動をすることが間違っていると言っているわけではありません。お客様が喜ぶからといって、サンタクロースのようにモノやサービスを一方的にばら撒くことが間違いなのです。

お客様である発注担当者は企業の「代理人」です。個人の損得で購入を決めることはありません。もしあれば背任行為です。

さらに、試供品や製品の貸し出しによってお客様の企業が正しい評価を下せるとは限りません。お客様自身が自社の問題点を誤解していて、間違ったソリューションを求めている可能性もあるからです。

真の問題点は何か、それを解決するために自社の商品やサービスが本当に役に立つのか、お客様と一緒になって考えることが営業パーソンには必要です。

ですから、営業パーソンとお客様である発注担当者は、(与えたり与えられたりする)サンタクロースと子供のような関係ではなく、同じサイドに立って仕事をする共同作業者なのです。

与えるだけのサンタクロースなんて要りません。

(人材育成社)

 

 


全身を耳にして記録する

2016年12月21日 | コンサルティング

上司 「今日の打合せの中で重要だったのは、ここではないよ」

部下 「えっ!違いますか?」

上司 「もう一度、記録を読み返してみて。先方とのやり取りの中で一番重要だった箇所は、ここではな  いことがわかるはずだよ」

部下 「私のメモには、これ以外のことは何も書いていないのですが・・・」

上司 「・・・・・」

これは、入社1年目の営業パーソンと上司とのやりとりです。上司の営業に同行した後に、お客様との打合せ内容をまとめるように命じられた際のことです。

部下としては、お客様と上司のやり取りを聞きながら、大切だと思うところをメモし、それを記録として書き出したつもりなのですが、上司からは冒頭のとおり指摘されてしまったのです。

しかし、「重要なところはここではない」と言われても、自分のメモにはこれ以上のことは記録していないために、確認する術がありません。

弊社がコンサルティングで様々な営業パーソンにお会いする中で思うのは、新人営業パーソンや伸び悩んでいる営業パーソンには、共通して「メモをとらない、とれない」傾向があるように感じています。

当人にメモを取らない理由を質問してみると、「大切なポイントだけを書けばよいのでは」「話の概要だけを記録しておけばよい」と考えていたり、「商談中に記録したりすると、お客様の顔を見られない」からとの答えが返ってきます。

確かに、記録しながら次の質問を考えることは容易ではないです。手元のメモに集中しすぎてしまうと、お客様がどのような表情をしているかを確認することが疎かになってしまい、話の流れをうまくリードできなくなってしまう心配があることも事実です。

しかし、冒頭の例のように肝心なところだけを書こうと意識しすぎると、逆に肝心なところが漏れてしまったり、自分の判断だけで要約したりすると大切なところが抜け落ちたりします。

その結果、大切なポイントを掴めなかったり聞き逃ししまったりするのであれば、元も子もありません。

そこで弊社では、新人をはじめ数字に伸び悩んでいる営業パーソンに対しては「どれが重要か重要でないかは関係なく、まずは何でもかんでも全てメモをとる」ことを勧めています。

たとえ、話が玉石混交だったとしても、情報を漏らさず集めることが先決ということです。商談の場では全身を耳にして、一言一句逃さずに記録するのです。

もちろん、会話のやり取りをきちんと記録するのは簡単ではありません。何度も同じことを言ったり、前に戻って言い直したり・・・、後から読み返すと意味がわからない記録になってしまっていることもあります。

このように説明すると、「雑談や余談までメモをするのですか?」「それは無駄ではないですか?」と聞かれたり、さらに「そこまでするのであれば、録音すればよいのではないですか?」との質問を受けたりすることがあります。しかし、やり取りを全て記録することは決して無駄な作業ではありません。

一見、遠回りとも感じられるこれらの作業を粘り強く繰り返していくことで、だんだんとメモを取りつつ頭の中で話の筋道を整理できるようになり、その結果、話の論点を的確につかめたり、重要なポイントがどの部分であったかなどがきちんとわかるようになります。

因みに、経験がある方はお分りだと思いますが、録音から記録をおこすのはもともとの時間も加えると、結局はかえって余分な時間がかかってしまいますから、弊社ではお勧めしていません。

さて、冒頭の営業パーソンですが「全身を耳にして記録」し続けた結果、今では中堅の営業パーソンに成長し、後輩の指導にあたっています。そこでは後輩に「すべて記録するんだ、記録の量がまず大切だ」と繰り返し語っています。

かつて自分が上司に言われたように。

(人材育成社)


お客様のニーズとは何でしょう?

2016年12月18日 | コンサルティング

「売れないのは自分のせいじゃない。商品に魅力がないからだ!」営業職を経験したことがある人なら一度や二度、そう思ったことがあるはずです。このセリフ、成績の悪い営業担当者が口にしそうです。反対に優秀な人なら、まずそんなことは言いそうにありません。

「売れる・売れない」は、商品の魅力だけで決まるものではありません。ある商品が、どう考えてもお客様のニーズに合わないとしたら、その商品は売れないし、売るべきではないでしょう。営業の目的は、お客様のニーズに合った商品を売ることです。

ところが、「ニーズがあろうがなかろうが、たとえば川原の石ころだって売ってみせるのが優秀な営業だ!」と思っている人がいます。しかも、世の中にはそう言ってはばからない人が結構多いのです。

今あなたが「石ころ販売株式会社」に入社したとします。
「どんな石でも根性があれば売れる!気合だ!」
そう営業部長に大声で言われて、車に石ころをたくさん積んで外回りに出されました。
渡された訪問先リストを見ると、大企業から商店、個人宅までが一覧になっています。
「最高級の石ころをお持ちしましたので、お時間をいただけますでしょうか。」
片っ端から訪問してはそう言ってみましたが、すべて断られてしまいました。
どうやら石ころのニーズは皆無のようです。
帰社して営業部長にそのことを伝えると「ニーズは必ずある!」と一喝されてしまいました。
そこであなたは営業部長に質問しました。
「ニーズって何ですか?」
するとこういう答えが返ってきました。
「知らん。売れたならニーズがあったということだ。」

必要としない人に必要としないものを売ろうとするのは、押し売りです。強引にやれば強要罪になりかねません。営業活動は、押し売りでもなければ犯罪でもありません。

お客様のニーズとは、潜在的であっても、それが満たされることでお客様が利益(benefit)を得ることができるものです。それが金銭的なものであれ、精神的なものであれ「利益」でなければなりません。

「売ることが営業の仕事だ」というのは、あくまでもお客様の利益がわかった上で口にすべきセリフです。

お客様にとっての利益とは、具体的に何でしょうか。
売ろうとしている商品はそれを実現できるでしょうか。
お客様にそのことを正しく伝えることができるでしょうか。

こうしたことを常に考え続けているのが「優秀な営業」なのです。

(人材育成社)

 


新規電話はどのようにかければ良いのか

2016年12月14日 | コンサルティング

 「必要ないです」「購入予定はありません」

弊社では、かかってきたセールスの電話に対して、購入する予定のないものは、はっきりお断りをすることにしています。

過去にこちらがセールスの電話をかけたときに、遠回しの表現にすぐにお断りと気が付かなかったり、居留守を使われているとわからずに何度も電話をしてしまったりした経験があるからです。

後でそれが居留守だとわかったときに、必要がないのであれば、はじめからストレートに断ってもらった方が双方にとって時間もムダにならず、はるかによいのではないかと思ったものです。

こうした理由から、冒頭のようにセールスの電話には、必要がなければはっきりお断りをすることにしているのですが、そのときのセールスの対応に驚くことがあります。

こちらが断ると、「お忙しいところを失礼しました」「今後ともよろしくお願いします」と丁寧に電話を切る人がいる一方で、何も言わずにいきなり電話を切る人がいたり、ひどい時には舌打ちをしたりする人もいます。

この舌打ち、意図的にこちらに聞こえるようにしているのかどうかはわかりませんが、舌打ちをしたくなるくらい営業パーソンに余裕がなくなっているということの表れなのかな、とも思います。

私自身も経験がありますが、営業パーソンにとって新規顧客獲得のための電話工作は結構つらい仕事だと感じます。過去にお会いした営業パーソンも、多くの人が営業活動の中で新規電話が最も苦痛な仕事だとおしゃっていました。

先日お会いしたある営業パーソンによれば、新規の場合、100件電話をして訪問できるのは1件で、さらに具体的な話に至るのはその1/10、つまり1000件電話して顧客になっていただけるのは、ようやく1件程度とのことでした。

これほどのエネルギーをかけたとしても、確率は1/1000程度だとすると、新規電話に対するモチベーションを上げるのは容易でないことがわかりますし、ぞんざいな断られ方をすることも少なくないので、新規電話に対するやる気が下がるのも無理なからぬことだと思います。

同時に、新規電話がここまで低打率であるのならば、どの時間にどのようなアプローチで、どういうところにターゲットを当てて営業活動を行うのか、経営者も営業パーソン任せにせずにしっかり考えて、具体策を提示する必要があります。

さらに、営業パーソンがしっかり新規の電話工作の時間をきちんと確保できるように、環境を整えることも併せて行わなければなりません。

少なくとも、自社の営業パーソンが顧客にお断りをされたときに、顧客に聞こえるタイミングで思わず舌打ちをしてしまうくらいに余裕を失っているようであれば、早急に新規電話工作のやり方を見直さなければなりません。

新規電話をどのようにかけるのか、営業パーソン任せにせず、一方的な売り込みをするのではなく、商品の強みなどのセールスポイントをしっかり把握したうえで営業電話をかけるようにするために、経営者が率先して会社全体で見直しのために取り組んでいくことが必要です。

(人材育成社)


正しい社内営業のすすめ

2016年12月11日 | コンサルティング

社内営業とは「社内の人に頼みごとをしたり、自分が困ったときに助けてくれるよう、日頃から人間関係を築いておくこと」です。

営業パーソンに「社内営業してますか?」と聞くと、多くの人は「ときどき内勤の女性にお菓子などのお土産を買ってきます」、「飲み会を積極的にやって仲良くするようにしてます」といった答えが返ってきます。

お土産や飲み会だけではなく、仕事でちょっとした手助けをしたり、なにか困っていそうだったら積極的に声をかけたりすることも大事です。

このように「人間関係を作って維持すること」は、営業パーソンが最も得意とするところといえるでしょう。

ただし、社内営業をこうした「気配り」に限定するだけでは十分ではありません。

たとえば、顧客からの注文を受けて商品を出荷してくれる流通部門のことを考えてみましょう。

営業パーソンの中には、在庫管理や出荷を担当する部署をまるで「下請け」のように見る人がいます。営業は顧客から注文を勝ち取ってくる重要な仕事であり、出荷担当者は営業の指示に従って商品を送っているだけという考え方です。

しかし、商品を注文通りに出荷することは容易なことではありません。

なぜなら、必要な数量を確保し、納期に間に合うように便を仕立てて送り出すまでには多大な努力が必要だからです。

営業から入ってくるオーダー(受注に伴う出荷指示)には波があります。大量のオーダーが短期間に押し寄せることもあれば、潮が引いたように無くなってしまうこともあります。そうした出荷量の変動を見越して必要最小限の在庫を維持しなければなりません。

倉庫に商品が山積みになっていれば、オーダーの変動は吸収できますが、倉庫料や保険料がかさみます。いつまでも在庫を抱えていれば商品が劣化したり市場価値が低下したりします。在庫管理にはコストとリスクが伴うのです。

営業パーソンは在庫管理や出荷業務の担当者と常に情報を共有し、オーダーの波をできるだけ見えるようにしておく必要があります。

「確定してもいない受注をいちいち出荷担当者にに知らせたていたら勝手に在庫を増やしたりするんじゃないの?」と言う営業パーソンは少なくありません。

それは全くの誤解です。在庫のコストとリスクの恐ろしさを誰よりも理解しているのは流通部門の人たちです。

営業部門は在庫管理の実態を学び、流通部門は営業活動の進捗状況を知りることは、とても重要なのです。

事実、両部門の人たちがお互いをプロフェッショナルとして認め合っている会社は、驚くほど効率が良い経営ができています。

営業パーソンなら週に一度は倉庫に顔を出しましょう。

それが単なる気配りを超えた社内営業の第一歩です。

(人材育成社)

 


「お客様は神様です」の誤解

2016年12月07日 | コンサルティング

「たとえ発注条件が無理難題だったとしても、お客様にこちらの要望を伝えるなんてことはできません。ましてや、お断りするなんてもっての外です。お客様は神様ですから・・」「お客様の方からも、そのことを言われたことがありますし」

営業のコンサルティングや研修を行っている中で、度々この言葉を聞きます。

「お客様は神様だから、たとえ無理なことであったとしても、受け入れざるを得ないこと」なのだそうです。

この「お客様は神様です」とおっしゃったのは、歌手の三波春夫さんです。

2001年に77歳で亡くなられていらっしゃいますので、若い方の中には生前の三波春夫さんを知らない方もたくさんいらっしゃるのではないかと思います。一方で三波春夫さんがおっしゃったこの言葉そのものは、本来の意味とは違った形で広く一人歩きをしてしまっているようです。

前述のように、「お客様は神様です」を「お客様は神様のように有難い存在だから、お客様の言うことは絶対である」というように理解している人が多いのですが、実はもともと別の意味あいで使われた言葉だったのです。

三波春夫さんのご令嬢の株式会社三波クリエイツ代表取締役 三波美夕紀さんは三波春夫さんのオフィシャルサイト(http://www.minamiharuo.jp/profile/index2.html)で次のようにおっしゃっています。

「歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って澄み切った心にならなければ完璧な藝をお見せすることはできないと思っております。ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。だからお客様は絶対者、神様なのです」

「お客様は神様です」は、本当はこうした意味だったのです。弊社が行うコンサルティングや研修の中では、微力ながら三波春夫さんが伝えようとした真意をお話させていただいているのですが、冒頭のように違った意味で捉えている人の方が圧倒的に多いのではないでしょうか。特に、営業の現場での誤解は深刻な状態で、この誤解が日本の企業をとりまく様々な問題の原因の一つになっているのではないかと感じています。

本日の国会審議の中で、長時間労働の削減を目的に国として残業時間の上限を設けるという話が議題になったようですが、これは決して簡単な話ではないと感じます。

しかし、過労死の問題をきっかけに長時間労働の問題に強く関心が向かっている今だからこそ、この問題の解決に向けて積極的に取り組んでいかなければなりません。

その取り組みの一つとして、時に過剰なまでの要求をする顧客とそれに無理をしてでも応えようとする販売側の双方が、「お客様は神様です」の意味の誤解を解いて、本来の意味を踏まえた双方にとってより良い関係を作っていくことが、この問題の解決の一端につながるのではないかと思っています。

さらには、最近これまで以上にワークライフバランスのとれた働き方の重要性が叫ばれています。ワークライフバランスの行動指針で掲げられている「健康で豊かな生活のための時間の確保」の具体的な取り組みとして、「取引先への計画的な発注や納期設定」があります。ワークライフバランス実現のためにも、「お客様は神様です」の本当の意味を認識することが、その第一歩になるのではないでしょうか。

(冒頭の写真は三波春夫さんのオフィシャルサイトより)

(人材育成社)


売れない営業パーソンに共通する唯一の特徴

2016年12月04日 | コンサルティング

大変恥ずかしい話しですが、私がある会社の営業部にいたときのことです。経理部から異動してきたばかりで、お客さんのところに行ってもなかなか上手く話すことができず、苦労していました。そこで私は「営業トーク上達法」のような本を読んで、とにかく上手に話しをする技術を身につけることにしました。そして、ある厨房設備のメーカーの技術部を訪問した私は、自社製品のカタログを開くや、さっそく憶えたての「話法」を使って説明を始めました。

私は、思ったよりも上手く説明ができていることで気が楽になり、ノンストップで話し続けました。何分か経ったとき、お客さんが急に「ちょっと待って!」と言って私の話をさえぎり、カタログをじっと見つめました。

そして「・・・許容誤差ここまで要らないんでアナログのやつのカタログある?」と私に言いました。

私は価格の高いデジタルの製品を売りたかったので、安いアナログ製品のことはほとんど勉強していませんでした。アナログ製品のカタログをお客さんに渡しはしたものの、こんどは全く説明することができなくなってしまいました。

さっきまで饒舌だったのに一転して沈黙です。

お客さんが望んでもいないことを説明を延々とするのは、単なる「ダメ営業」としか言いようがありません。

営業の仕事の第一歩は、お客さんの要望を聞くことから始まります。それは多くの営業に関する本やホームページに書かれていることです。それをせずにいきなり売り込みトークをぶつけられたら、買う気が失せるだけではなく反感すら覚えます。

ところが、ほんとうに多くの営業パーソンが、いまだに同じことを繰り返しています。

実際、当社にかかってくる売り込みの電話や営業パーソンと対面で話すときなど、「自社の製品やサービスがいかに優れているか」を一方的聞かされます。

売れない営業パーソンに共通する唯一の特徴は、まさにこれに尽きます。

もしあなたが営業パーソンなら「これから自分が口にする言葉を聞いて、自分自身、買いたいと思うだろうか?」と自問してみるべきです。

それでも「何がなんでも売り込みトークをしたい」というなら、せめて当社に電話をするのだけは止めてください。

(人材育成社)