中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

第977話 Googleではリーダーシップは不要?

2020年11月29日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

リーダーシップは要らないし、コミュニケーションスキルは無くても構わない。社員1人1人の自主性を尊重し、自由に仕事をしてもらう。そうすることで最大限の成果を得ることができる。・・・こうした考え方はGoogleをはじめ、いくつかの先進的な企業で見ることができます。

私はこのような考え方に大賛成です。リーダーシップもコミュニケーション力も要らないなら、それに越したことはありません。そういったスキルを身に付けるための研修にお金を払う必要もありません(当社の商売は上がったりですが)。

経営者の皆さん、早速Googleにならって今までの管理中心のやり方を改めましょう。

そのために最初にやるべきこと、それは「リーダーがいなくても自分で仕事を見つけて動き、周囲といちいちコミュニケーションをとらなくても意思疎通ができ、常に成果を出すことができる人」を社員としてたくさん雇うことです。

「それは無理だ!」という声が聞こえてきそうです。

ならば残念ですが、あなたの会社にはGoogleにいるような人材はやって来ないでしょう。仮にそういう社員がいたとしたら、遅かれ早かれ大企業に転職していきます。

ある中小企業の社長さんがこぼしていました。「まったくうちの若手社員ときたら細かいことまで指示しないと動かないんだよ。おまけに理解できたかどうか聞いてもはっきり返事をしないし・・」

しかし、それが現実であり「普通」なのです。なぜならあなたの会社はGoogleでもトヨタでもないからです。

ならば、あなたの会社が取るべき手段は「人材育成」しかありません。

部下が「細かいことを指示しないと動かない」なら、基本的な仕事の進め方を教えてあげてください。その成果が上がるかどうかは「教える側」のスキルに大きく依存します。

「コミュニケーションが苦手」な若手がいたら、それは上司が一方的に話してばかりいることが原因です。部下の話を積極的に聴く(聞くではありません)ことを少なくとも50回くらい行ってください。

部下の知識やスキルが低いと思ったら研修やセミナーを受講させたり、通信教育や書籍の購入を補助してあげてください。

もちろん、以上のような手間と時間をかけても「理想的な社員」になることはまずありません。しかし「より良い社員」になっていくとことは保証します。

1人1人が昨日よりもほんの少しだけ多くの知識やスキル身に付け、ちょっとだけ仕事に応用して、目に見えないくらい小さな成果であっても得ることができれば大成功です。

木を育てるようにじっくりと人を育ててください。あなたの会社の若手社員も徐々にですが成長していきます。リーダーシップやコミュニケーション力は、そのための道具です。

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第976話 忙しいからこそ部下を育成する

2020年11月25日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「研修のことをじっくり検討したいのですが、それ以外の仕事がいろいろあり過ぎて、今、非常に忙しいんです。高齢者雇用安定法や女性登用についても、制度を見直さなければなりません。来年の予算の決定も間もなくです。管理職として部下の育成もしなければなりませんが、それどころではありません」

これは、先日お打ち合わせをさせていただいたある企業の研修担当の課長から聞いた言葉です。このような言葉を聞くのはこの企業に限ったことではありませんし、今に始まったことでもありません。

日本の管理職は仕事が多角化しプレイングマネージャーでもあるため、目の前の仕事に追われてしまっていて管理職本来の役割を果たせていないと言われて久しいです。このような状況に加え、さらに今年は新型コロナウイルスの影響により在宅勤務が取り入れられているため、上司と部下の双方が直接顔を合わせることが少なくなりました。こうした状況の下、部下の育成はこれまで以上に難しくなっているのではないかと感じています。

それを裏付けるように、厚生労働省が毎年行っている能力開発基本調査によると、人材育成の問題点について「人材育成を行う時間がない」をあげている人が多く、令和元年度の調査では49.7%(複数回答)、全体でも3番目の多さでした。

これだけ多くの人がこの点を問題と考えているのにも関わらず、なかなか解決に至っていないのが現状なのですが、少しでも解決に向かうためにはどうすればよいのでしょうか?

一言で「人材育成のための時間がない」と言ってもその背景は様々なため、「こうすればいい」という解決策を見出すのはなかなか難しいのが現実です。逆に改めて管理職の役割の基本に立ち返って考えてみるとどうなるでしょうか。

言うまでもないことですが、管理職の役割は人、モノ、カネという経営資源を使い組織の目標を達成することです。そう考えれば、重要な経営資源である部下を育てることに注力することは管理職として欠かせない役割であす。「時間がない」ことを理由にして取り組まないということは本来の役割を果たしていないと言わざるを得ないことになるのです。

鶏が先か卵が先かと同様の議論になってしまうかもしれませんが、部下を育てる時間がなかなか取れない状況であるからこそ、逆に積極的に部下を育てることに力を入れていくことが必要なのではないでしょうか。

つまり、部下育成に力を入れた結果として現状よりも部下が成長すれば、現在管理職が担っている仕事や役割を分けて部下に担ってもらうことも期待できます。そこでできた新たな時間をさらなる部下の育成にあてることができるという、良い流れを生むことにつながると思うのです。

日々目の前の仕事に追われて「部下を育成する時間がない」と考えていらっしゃる管理職の皆様、コロナ禍もあり、これまで以上に厳しい状況が続いていらっしゃると思います。しかし、「忙しいからこそ、先を見据えて部下を育成する」ことを忘れずに、頑張っていただきますようお願いいたします。

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第975話 ジョブ型雇用と企業研修

2020年11月22日 | 研修

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新型コロナウイルス感染拡大でにわかに注目されているのが「ジョブ型」雇用です。「ジョブ型」は職務(仕事の内容)を明確にして、給与や労働条件などを記した職務記述書を元に雇用契約を結びます。職務ありきですからスペシャリスト向きで、テレワークでの仕事にも合っています。

それに対して、従来の日本企業の雇用形態は「メンバーシップ型雇用」と言われています。長年勤務を続けることを前提として新卒を一括採用し、経験を積ませる「終身雇用型」と言ってもよいでしょう。「ジョブ型」は欧米的、「メンバーシップ型」は日本的なイメージがあります。

終身雇用は平成に入ってから徐々に少なくはなってきたものの、多くの日本の会社、特に大企業は実質的に終身雇用を守り続けてきました。

今年はコロナのおかげでテレワークが広まり、それに伴って「ジョブ型雇用」に移行するべきだという議論が目立つようになってきました。特に、大企業が集まった団体である経団連が「ジョブ型」を推進しようとしています。大企業であっても、将来にわたって社員の雇用を守り続けることは難しい状況です。いよいよ本当に「終身雇用の終わり」が始まったようです。

「ジョブ型」においては、個人のスキルや知識をベースにした職遂行能力が雇用の前提となります。すると「スキルや知識がないと仕事に就けないのではないか」という不安が生まれます。今まで「新卒一括採用で会社に入れば後は何とかなる」と気楽な学生時代を送ってきた大学生(特に文系ですね)にとっては戦慄すべきことです。学生時代に職務能力を高めるべく、仕事のスキルや知識を身に付けなければなりません。大学側もそれに応えるために教養よりも実務を教えるようになります。

私はそれが悪いことだとは思いません。大学の専門学校化、大いに結構だと思っています。もちろん、実務とは異なる分野の学問も必要ですが、その比率はもっと少なくなっても良いと思います。

さて、実務能力を身に付けた新卒社員が「ジョブ型雇用」の企業に入社すれば、一括横並びの社員教育など不要になると思われるかもしれません。実際に「おたくのような企業研修の会社は困るんじゃないの?」と心配してくださる方もいます。

いいえ、そんなことはありません。ジョブ型雇用こそ企業内での教育訓練が必要なのです。なぜなら、仕事の内容が「十年一日の如く変わらない」ことなどあり得ないからです。

たとえば、いま経理の仕事内容は激変しています。自動化が進み、数字をきっちり合わせるだけの人材は不要になりつつあります。誤解してはいけないのですが、不要になるのは「だけの」人材です。

いま経理に求められているスキルは、幅広い会計の知識とシステムについての理解力です。そして、それを支える土台となるのが「数字をきっちり合わせる」ことができる頭脳と1日10時間Excelのシートを見続けても平気でいられる精神力です。それは、そう簡単に身に付くものではありません。ひたすら地味なトレーニングが必要です。

ジョブが変化していけばスキルもそれに追従していかなければなりません。むしろ入社してからの方が勉強する量はケタ外れに多くなります。

「ジョブ型雇用」で生き残るためには学び続けるしかないのです。

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第974話 うなずきのパワー

2020年11月18日 | 研修

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「よろしいですか?」

弊社が行う研修では、ちきんと内容を理解していただけたかどうか確認するために、日程の中で受講者にこのフレーズを何度か問いかけています。

先日担当させていただいた研修はオンラインで行いましたが、受講者の中に大きくリアクションをしてくれる人が数名いました。顔の前で腕で大きく〇を作って「オーケー」を表現してくれたり、親指を立てて「good」を表現してくれたりする人もいました。

また、複数人が同時に挙手をしてくれた際には、指名できなかった人に対して、こちらから「ごめんなさい」と伝えた際にも、「どういたしまして」というようにうなずきながら同じように〇を示してくれる人もいました。

以前このブログでも触れましたが、講師の側にとってはオンライン研修では対面で行う研修と比べ、受講者の反応が簡単にはつかめません。そのため、どれくらいきちんと理解いただけているのかの確認が難しいと常々感じています。

そうしたところ、先日NHKの番組「ためしてガッテン」で、この問題点と解決方法が紹介されていました。

それによると、オンラインではパソコンの構造上画面とカメラの位置が異なるため、相手の姿を見ようと画面を見るとカメラが見られないことになり互いの目線が合わないようになります。その結果、アイコンタクトがとれないために、うなずきが少なくなったり、ジェスチャーも自然と少なくなったりしてしまうとのことでした。

そしてこれを回避するためには、会話を聞いた後にタイミングよくうなずく「うなずき担当」を一人設けることが有効なのだそうです。一人がうなずくだけで他の人もつられてうなずくようになったり、参加者全体に一体感が増すように感じられるたりするようになるとのことでした。

まさに、先述の研修がこのような状態になっており、継続的に数名の人がうなずいたり、大きくジェスチャーを示してくれたりする人がいたことによって、それ以外の20名の人たちに大きなプラスの影響力を発揮してくれていたわけです。

その結果、うなずいたりジェスチャーで示したりしてくれる人が時間の経過とともにだんだんと増えていき、会場全体にどんどん一体感が生まれていったと感じました。

研修に限ったことではありませんが、対面のコミュニケーションであってもうなずきが少ない人を相手に話をしていると、ちゃんと理解してもらえているのかが心配になったり、ストレスに感じたりすることは多々あります。このように、反応の少ない人を相手に話をするのはオンラインはもちろんのこと、対面でも辛いものなのです。

オンラインがコミュニケーションの手段の一つとして確立されてきている現在、改めてコミュニケーションを円滑にするためにどのような工夫をすればいいのか、話し手の目をしっかり見て適度にうなずいたりするなど、聞き手としてのマナーを考える良いタイミングなのではないでしょうか。

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第973話 社員を出社させるために経営者は何をするべきか

2020年11月15日 | 研修

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「さようならオフィス」※という本を読みました。内容はタイトルの通り、コロナ禍で「3密」の職場環境が危うくなり、多くの会社がオフィスを縮小したり契約を解除したりしている現状について書かれています。

コロナの感染者数は波のように上下しながらも、縮小していく気配がありません。こうした状況下では、都心に賃貸でオフィスを構えている会社にとって、月々の固定費が重くのしかかってきます。売上も大幅に落ち込んでいますから、必然的に「縮小、解約」になるのも止む得ないでしょう。

しかし、稀な例ですが、この時期にオフィスを一気に拡張する会社もあります。第971話でも書きましたが、「場の空気」を貴重な資源だと考えればそれも「あり」かもしれません。物理的な職場に社員が集まることで、オンラインで失われた「空気」を取り戻すことができます。その結果、職場のモチベーションが上がり、チームワークが強固になることは十分考えられます。

ただし、電車通勤の途中での感染、家庭内で感染して職場にウイルスを持ち込む可能性など、かなりのリスクを伴うことは覚悟しなければなりません。また、職場内でも対人距離を十分に保つことや、アクリル板越し会議、マスク着用での会話など「空気」を十分に利用できない状態であることも足かせになります。

私たちは24時間無菌室に閉じこもっているわけではありません。他の場所へ移動し、他の人たちと話しをします。リスクをゼロにすることはできません。問題はそのリスクをどう評価するかです。

単に感染、発症、重症化の「確率」だけを考えれば過度に心配することはないと思います。実際に発症しても重症化せず、自然に治ってしまうこともあるでしょう。事実「コロナは風邪と同じ」と言う人もいます。しかし「確率」論で済ますことはできないのが厄介な点です。

経営者は「社員を出社させる」ことによるマイナスの影響を考慮しなければなりません。いかに数学的な確率が低くても、社員一人一人のダメージの大きさ主観によって決まります。主観を測定することはできません。「ダメなものはダメ」、「イヤなものはイヤ」なのです。

社員に出社してほしいと思う経営者がやるべきことは(1)リスクの大きさを具体的に示すこと、(2)今できる対策と今後の進め方をわかりやすく伝えること・・・そして(3)すべての責任は経営者にあることを明確に示すことです。

そこまで肚を括ることができたなら、いっそオフィスを一気に拡張するというのも、この危機を乗り越えるためのひとつの手段だと思います。

※ https://nikkeibook.nikkeibp.co.jp/item-detail/26443 

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第972話 物理的な距離とコミュニケーションの頻度

2020年11月11日 | 研修

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「在宅勤務はAチームとBチームに分けて行っています。週に1回は出社することが

ルールになっていますが、チームが異なるとタイミングが合わない場合には滅多に会

えないという人もいます」

これは、新型コロナウイルスが猛威を振るう前から在宅勤務制度を取り入れている、ある企業の研修のご担当者から聞いた言葉です。コロナウイルスの感染拡大によって、在宅勤

務の頻度は一気に進み、現在は部署によっては週4日在宅勤務を取り入れているとのことです。

東京商工会議所が9月から10月にかけて会員企業に行った調査によると、テレワーク

経験のある都内企業788社のうち、テレワークを現在も続けている企業は46%とのこと

です。それらの企業では「働き方改革が進んだ」と評価しつつも、その中の58%の企業が「社内のコミュニケーション」を課題として挙げたそうです。

もちろん、社内のコミュニケーションの課題については、テレワークを導入したことによって起こった問題というわけではありません。これまでのように、毎日出社して対面でコミュニケーションとっているときであっても、コミュニケーションの徹底は簡単なことではなかったはずです。しかし、ここにきて改めて問題が顕在化してきているということだと思います。

こうしたコミュニケーション不足を補うために、多くの企業ではテレワークの導入以降定期的にオンラインミーティングを行ったり、SNSなどのデジタルコミュニケーションを駆使したりするなどの取り組みを進めています。

しかし、どんなに工夫をしたとしても対面で仕事をするときとくらべ、在宅勤務では明らかにコミュニケーションの絶対量が減っているのではないでしょうか。

実際に、対面コミュニケーションと物理的な距離とコミュニケーションの頻度の関係

については、「アレンの研究」と「ベン・ウェイバーの研究」があります。

トーマス・アレン(マサチューセッツ工科大学教授1977年)の「アレン曲線」は、コミュニケーションの頻度と物理的な距離には強い負の相関関係があるというものです。

アレン曲線によれば、約1.83メートル離れた人同士と18.3メートル離れた席の人同士を比較した結果、距離が近い人同士の方がコミュニケーションをとる確率が4倍増えたということです。

また、もう一方のベン・ウェイバーの研究でも、対面のコミュニケーションとデジタルコミュニケーションのいずれのケースでもアレンの研究と同様の結果がでています。

具体的にはオンラインなどのデジタル環境になっても、日頃から対面で働いている人同士は物理的に離れている人同士よりも20%ほど多くコミュニケーションをとっていることが明らかになっているのです。

これらの研究からは、どんなにデジタルツールをフルに活用したとしても、やはりコミュニケーションは対面の方が行いやすいと言えそうです。

さらには、私のオンライン研修での経験からも、オンライン・対面それぞれに一長一短はあるものの、相手の表情などを見ながらより密にコミュニケーションができるという意味で、対面の方が勝っていると思います。

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第971話 オンライン会議は「酸欠」になる

2020年11月08日 | 研修

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ずいぶんと昔の話ですが、役員や管理職も参加する会議での出来事です。ある係長(30代後半)が新しい販売促進案について発表する番になりました。自信満々で話し始めて5分程経ったときに、隣に座っていた上司(課長)に耳打ちされました。「おい!空気を読めよ!」

当惑した係長はしどろもどろになり、後半は説明も曖昧になって「何が言いたいのかわからない」状態で話は終了しました。どうやら、核心となる具体案を「事前に関連部署の部長に説明していなかった」ことが原因だったようです。

「空気」とはその組織(または集団)が暗黙のうちに了解している事柄、習慣、考え方などです。この会議では、上位者(課長、部長、役員など)に対する発言や提案は、暗黙のうちに「了解が得られている」ことが前提なのです。つまり、事前に了解を得ておく必要があったのです。したがって、「そんな話、聞いていないぞ!」と上位者が思ったらそれはルール違反、つまり「空気を乱している」わけです。

ところが昨今のオンライン会議ではこうした空気が醸成できません。もちろん、管理職や役員クラスだけの会議ならば、なんとか空気を作ることが出来ます。しかし、中堅、若手社員が加わるともうダメです。

「オンライン会議って、酸欠になりそうだよ」先日、ある中小企業の経営者がそう言っていました。「酸欠」とは、モニター越しの部下の表情を見ていると、自分の言葉が伝わったのかどうか自信が持てないのでつい多くしゃべり過ぎて疲れる、という意味です。空気を使えないので仕方がありません。

同じ空間を共有するリアルな会議では、あまり多くの言葉を使わなくても「空気」が雄弁に語ってくれます。その意味でも、オンライン会議は空気=酸素がほとんどないのです。

これは仕方のないことです。経営者は、オンライン会議については「無酸素」であることを認識するべきです。そのかわり、明確に言葉で伝えようとしない参加者は次回から参加させないでください。そして、参加しなかったとしても会議での決定事項には従ってもらうことをルール化してください。

この無酸素会議(ネーミングは息苦しいですが)、思い切ってやってみると意外と大きな成果を得ることができます。空気がないのですから発言もシンプルかつダイレクトになります。意思決定も早く、より具体的になります。

しかも、リアルな会議が再開されたときに、参加者が皆イキイキとして以前より多く発言するようになります。「空気を読む」のではなく「空気を吸う」ようになるからです。

人と人が同じ空間を共有する場の「空気」はとても大切です。だからこそ、「空気」を忖度や同調圧力の道具にしてはいけないのです

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第970話 オンライン研修は対面型研修に取って代わるのか

2020年11月04日 | 研修

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「対面型研修と遜色ないです。コロナが収束したとしても、今後はずっとオンライン型研修にしたいと思います」

これは、この数か月間に弊社がオンライン研修を担当させていただいた際に、研修終了後にご担当者からいただくことが多い言葉です。

新型コロナウイルスの影響により、ご依頼いただく研修は従来の対面型研修から一気にオンラインを通じて行うものに変更になりました。オンライン研修の場合、グループディスカッションやロールプレイングなどは対面型と全く同様に行うことは難しいものの、何とか同等の成果が出せるように日々工夫をしながら行っています。そういう中で、冒頭のような言葉をいただけると弊社としても安心でき、また私自身も嬉しい気持ちにもなります。

しかし、オンライン型研修は本当に対面研修と同様の効果を出すことはできているのでしょうか?

もちろん、効果のほどは研修のテーマによっても大きく異なるので、一概に言えるものではないかと思います。しかし、そういうときに思い出すのが物理的距離と心理的距離の関係です。

たとえば講師の私からすると、対面型研修では物理的に離れている後方の席に座っている人より、講師に近い前方の席に座っている人の方が名前を覚えるのが早かったり、受講者の人となりに触れたりする機会が圧倒的に多く、心理的にも距離が近いと感じています。

それがオンラインになると、受講者との物理的な距離はみな等しく(遠く)なるわけです。そうなると研修の時間だけでは人となりはもちろんのこと、全員の顔と名前がきちんと一致することさえなかなか難しいと感じることがあるのです。

さらに、現在はオンラインであってもマスクを着用したままの人も多いため、講師の側からきちんと確認できるのは目のみで表情がわからないことも多いです。そのため講義内容がきちんと伝わっているのか、そうでないのか確認が難しいことも多々あります。こうなると、この点は繰り返し伝えたほうが良いのか、事例を用いたほうが良いのか、または休憩時間を入れたほうが良いのかなどの判断をすることが難しく、心理的な距離を一律に感じることが多くなっているのです。

このため、冒頭の発言のように「オンライン型研修は対面型研修と比べて遜色ない」と言い切ることは難しいのではないかと感じています。

以前、このブログでも触れましたが、オンライン型研修には研修会場に集合するための時間や交通費などのコストを削減できるというメリットがあります。もちろん、それは大きな要素ではありますが、同時に対面型研修にはそれらを補って余りある瞬時の双方向のやりとり大きなメリットがあり、それはオンライン型研修ではことも忘れてはならないことです。

今後、新型コロナウイルスの感染が収束に向かう際には、研修も以前のように対面型に戻す、あるいはすべてをオンライン型研修に変更するといったように一律に考えることはお勧めできません。対象者や研修テーマにより、それぞれのメリット・デメリットや得意分野などを踏まえ、じっくり検討していくことが大切なのではないかと考えています。

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第969話 今こそ人に投資しよう!

2020年11月01日 | 研修

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あなたの会社の売上はどのくらい落ちましたか?もし大企業にお勤めでしたら、赤字になったとしてもいきなり倒産することはないでしょう。もちろん希望退職者を募っている会社もありますから、厳しいことに変わりはないでしょうけれど。

さて、希望退職を実施せざるを得ない会社が今やるべきことがあるとすれば、それは「人材育成」です。

「はあ?何を言っているんだ!」と思われたかもしれません。会社が赤字決算で「お先真っ暗」な状態でそんな悠長なことをしている暇はないとお怒りかもしれません。

しかし、会社は来期で終わりではありません。あなたが経営者なら、この先何年も何十年も、いや百年以上も存続させたいと思っているはずです。そのために、今は苦しくても(借金をしてでも)人に投資しなければなりません。

なぜなら、今回のような禍(わざわい)は「もう二度と起こらない」ということはあり得ないからです。近い将来(来年かもしれません)、こうした禍は必ずまた起こります。しかも、何度も何度も。そして次は今回よりももっと大きな禍になる可能性すらあります。

そうした厳しい波を乗り越えるために必要なのは「人」です。経営資源(ヒト・モノ・カネ)の中で唯一単独で存在できるのはヒト(人材)だけです。モノ(建物、設備など)やカネ(資金)がなくても人材がいれば資金を調達し、設備に投資することができます。

再度申し上げます。今こそ人を育てる必要があります。リストラを実行して余剰人員を減らしたならば、なおさらです。

それが、あなたの会社を存続させるために最優先で行うべきことです。

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