「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
議事録とは会議の内容を記録した文書です。その内容とは、参加者の発言や決定事項などについての記述です。
当社は「議事録の作り方」という研修を、企業や自治体の新人・若手社員向けに行うことがよくあります。しかし、今回は議事録作成のポイントや上達方法については触れません(ご興味をお持ちの方は、ご連絡いただければ研修の提案書をお送りいたします)。
議事録を作る目的は「決定事項と(それに至る)経緯の共有」です。株式会社では、取締役会が行われた際は議事録の作成が義務付けられていますが(会社法第318条他)、その理由はまさに「決定事項と経緯の共有」をする必要があるからです。
また、議事録は会議の「費用対効果」を裏付ける証拠となるものです。会議にはお金がかかります。わざわざ人を集めて話し合いを行うわけですから、人件費(自治体なら係長クラスで1時間4,500円くらいです)×拘束時間をそれの参加者ごとに算出し、合計します。
さらに様々な費用が付随します。会議室のコスト(たとえ自社ビルであっても面積および使用時間に応じた減価償却費)、電気代、コピー代、お茶代、準備にかかわった人の人件費などです。
では、こうしたコストは誰が負担するのかといえば、会社や役所であることは明らかです。どのような組織も無駄な費用を嫌いますから、会議に対してはコストに見合った成果を期待しているということになります。
その成果物にあたるものが「決定事項と経緯」の記述である議事録です。決定事項が実行されることにより、投じたコスト以上のリターンを得ることができるならば会議は十分に役目を果たしたことになります。
もし、リターンが得られなかった、つまりその決定事項が正しくなかったとしても「次回の行動において、その事項は選択すべきではない」という情報が得られます。それは広い意味で成果といえるでしょう。
時々「何も決定はしなかったけど、皆で話し合って良い情報共有の場になった」という声を聞きます。それはそれで結構なことです。ただし、それは会議ではありません。単なる「情報共有会」であって、インターネットを使えば事足ります。
また「会議中にICレコーダーかスマホで録音しておけば済むんじゃないか」という人もいます。たしかに有効な手法です。ただし、後になってから議論した内容について「後付け」で言い訳をする人がいますので、会議直後に議事録を一斉に配布し、早々にあいまいな点をつぶしてしまう方が確実です。
さて、ここまででお分かりいただいたように、議事録がないということは成果物がないということです。わかりやすく言えば「従業員を働かせ、設備を動かし、材料を使用した」にもかかわらず、1つの製品も作っていない工場と同じなのです。
先日、「コロナ専門家会議の議事録なし」というニュースがありました。コスト負担者である納税者もなめられたものです。
せめて、今後の新人研修で反面教師として使わせていただきましょう。