「これはどういう意味なのだろう?」「私に一体何を頼みたいのだろうか?」
仕事のやり取りで受け取ったメールを何度読み直しても、すぐには書き手の意図をつかめないことがあります。繰り返し読み返しても理解できず、先方(書き手)に電話やメールで意図を尋ねたりしますが、そういうときに限って先方が席を外していたり、すぐには返信メールをいただけなかったりすることも間々あります。
そういうときには、結局いたし方なく「たぶん、こういう趣旨のことを依頼されたのだろう」と想定して、資料を先方に送付したりしています。しかし、これだけの労力を使っても、結局、先方が希望していたこととは全く違ってしまっていたということもあります。
このような経験は誰でも多かれ少なかれあるかとは思いますが、これは双方にとって仕事の生産性に大きくマイナスの影響を及ぼすことになってしまっています。なぜなら、何度も読み直しをしたり先方に確認をしたりすることで、決して少なくない余計な時間を消費することになってしまっているからです。
このように考えると、読み手が書き手の意図を考えたり確認をしたりするといった「ストレス」にならないような文章を書くことがいかに重要かがわかります。
しかし、そうした文章を書くことの重要性をきちんと意識していない、または理解はしていたとしても、(実際に読み手にちゃんと意図が伝わるように)文章を書くこと自体が苦手という人もいます。よってそれを徹底することは簡単なことではないのが現実です。
しかし、その結果として上記のように双方の仕事上で少なからぬ無駄が生じてしまっているわけです。この点を克服できれば、仕事の生産性に大きなプラスの影響を及ぼすことは間違いありません。
と言うのは、私たちビジネスパーソンが一日に一体何本のメールを送ったり企画書を書いたり、あるいは議事録を書いたりしているのでしょうか。それにかけている時間を週単位や月単位で集計してみれば、おそらく相当なボリュームになるはずです。そう考えると多くのビジネスパーソンの仕事は、「文章に始まり文章に終わる」と言っても過言ではないはずです。
こうしたことから、文章の書き手側と読み手側の双方の仕事の生産性を高めるためには、次のことが必要です。まず「読み手にストレスがかからない文章」を書くことの重要性を理解すること、それをきちんと実践するように意識すること、そして書き手側の視点からだけでなく自分が逆に読み手になった場合に内容がきちんと理解できるかを確認してみる、これが重要であると考えます。
「いや、ただでさえ忙しいのに、そんなことをしていたら余計な時間がかかってしまう」という人もいるでしょう。しかし、それにかかる時間や手間は、確認にかかるものよりは少ないはずです。
仕事の生産性を上げ、ビジネスパーソンとしての資質を高めるために「書く」をパワーアップすることは、ビジネスパーソンにとって必須の行為と言えます。