天井からぶら下げる反転住宅のファアィリングは、最初の頃は悩まされました。洞窟風に使うことに経験がなかったし、小さい子供の頃みた写真のイメージをたどりながら、ぶら下げるファイリングを何とかモノににしながら、体の使い方なども日々なじんで来て、いろんな事を考える余裕が出てきました。反転住宅で生活するという事は子供の頃の記憶を辿ることが多いので、若返るのでしょう。荒川研究家の人達の本を読んで、反転住宅に住むことの意味を、わかろうとしましたが、そこに書かれている事は、絵画の世界の延長で、フレームがかかっていて、何も伝わってきませんでした。現実に住んだ人がない人が頭で考えた緻密な理想の世界では、語りつくせない、逆に実際に、住むと反転住宅のことが書けなくなるのかも知れませんが。
反転住宅で私は、DNA誕生を為し得たRNA以前の世界に導かれて行きました。ヘレンケラーが取り戻した五感！この五感が生命誕生を成し遂げたのでは。
1年たった頃から凡ての影響力を与えていたものからも解放され、あの荒川さんでさえも、私の反転住宅から消えていました。私の体は反転住宅の壁の一部になっていきました。
自分の体から音が聞こえます、目をつぶってデコボコ床を歩くと、地球の鼓動を感じ、毛穴からは風が吹きぬけ、潮や植物の香りが感じられます。荒川、ギンズさんがこの反転住宅を見るだけの絵画から建築にし、コレクターだけの世界から、一般人に体感することを可能にされたことは、凄い！ことです。
