捨てたいもの 捨てられないもの

私は物を捨てることが苦手です。
より正確に表現するなら、捨ててかまわない物と捨ててはいけない物の分別が苦手です。
捨てるべきか捨てざるべきか悩み始めると、なかなか捨てるという方向に倒すことが出来ません。
業務用のPCの中でさえも、プロジェクトの忙しい時期に差し掛かると「いらないと思うのだけれど後で使うかもしれないから、わかりやすい所に置いておこう」と考えた挙句に、正規のごみ箱ではなくて「ごみ？」という名前のフォルダに取り合えず押し込んでおくという有様です。

さて、今年のお盆も例年通りに帰省することができました。
ここ数年、帰るたびに自室の不要物を整理するように言われるのですが、このような性格であるので、毎回進捗は芳しくありません。

普段からあの部屋で生活していれば違うのでしょうが、年に数回帰る程度の部屋は何を見ても感傷に浸ってしまいそうになります。
もうプレイヤーが壊れてしまって聞けないカセットテープと、ワープロ専用機で転記した覚えのある自作の歌詞カード。
何が入っているのかすら忘れていた布袋の中には、錆びてしまった針と刺しかけの刺繍。
すっかり色あせてしまったポスター。引き出しの中の手紙類。
本や雑誌の類は捨ててしまったら二度と読めないであろうものも多く、捨ててよいかどうかを確認するために読み耽ってしまうという罠に、毎回のように嵌ります。
それでも今回はなんとか、結構な量の品を不用品として分別することができました。


ところで神奈川へ戻る直前、「高校の制服はもう捨てていい？」との母の問いに、やはりすぐには判断しかねていると、「体型チェック用にとっておいても良いかもね」と笑われてしまいました。
数年ぶりに会った叔母に、体型の変化を指摘されたことを愚痴っていたからでしょう。
高校時代の制服を思い浮かべてみましたが、あのウエストに絞りの入った細身のワンピースは、もうとても入りそうにありません。
太りにくい体質であったのが急に変わってしまったのは、20代の半ばを過ぎてから。健康診断の結果に記載されていた直近3年間の体重の推移は、思わず目を背けたくなる程です。
もう一つ、捨てるのが大変なものを抱え込んでしまっていたと、お腹の肉をさすりながら気づいたのでした。

季節はそろそろ食欲の秋、そして健康診断の秋。
食べることだけが楽しみとばかりに、皆で菓子類を持ち寄っていた過酷なプロジェクトから開放されてから2ヶ月。困ったことに間食の量は増えたままです。
今年も健康診断が近づいてきましたが、このままでは酷い結果になるのは明らかでしょう。

運動量を増やすこと。間食を減らすこと。またそろそろ忙しくなってきそうな状況の中でどれだけ出来るかわかりませんが、冬に帰省する頃にはあの制服をきちんと着られることを目標に、頑張ってみようと決めました。

(窪)


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