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ジェイエスピー社員が綴る日替わりブログ

嬉しいと嬉しい

2015-12-28 08:15:51 | 日記
 その日、玩具売り場はクリスマスプレゼントを探すサンタパパやサンタママでひどく混んでいた。玩具売り場の隣が文具売り場になっていて、そちらも年賀はがきに使うための様々な道具を見て回る人でいっぱいだった。筆ペンを買うために文具売り場に足を踏み入れようとする私の耳に、人ごみの喧騒を突き抜けて少年の「いらない、いらない」という叫び声が飛び込んできた。

 見ると、幼稚園か小学生ぐらいの男の子が、母親だろう女性の手を引いて彼女を玩具売り場から引きずり出そうとしているところだった。体の小さなきゃしゃな感じのする若い女性だった。彼女はしゃがみこんで少年の顔を覗き込み「なんで?欲しかったんでしょ?ずっと欲しいって言ってたじゃない」と言った。少年には負けていたが、やはり大きな声だった。少年が「言ってない」と言うと彼女はサッと立ち上がって玩具売り場に入ろうとする。少年がそれを引っ張り戻そうとして「だめ、だめ」と叫ぶ。2度ほど同じようなことを繰り返すともう少年は泣き声で「いらない、いらない」と言い始めていた。

「もう、なんでなの?欲しかったの知ってるんだから」彼女はまたしゃがみ込んで少年と同じ目線で語りかけた。少年はひくひく泣き声をあげていたが、そのお金はカナちゃんが靴を買うために貯めたお金だ、というようなことを言った。「ずっと貯めてきたお金でしょ。ずっとずっと欲しかったんでしょ」というようなことを言った。

 それを聞いて女性は目を丸くしていたが少年を抱きしめて「いいんだよ、あんたが欲しい物を買うって決めて来たんだから」と言った。「よくない。カナちゃんの靴を買って」少年がそう言うと「あたしの物なんか買ったってちっとも嬉しくないよ。クリスマスはね、いい子がプレゼントをもらえる日なんだよ」彼女はそう言って立ち上がった。

 私はずっと誤解し通しだった自分が恥ずかしくなっていた。筆ペンを買って家に帰るまでの間、二人のことが頭を離れなかった。おそらくあの母親はあれから子供へのプレゼントを買ったことだろう。少年は自分が母親にしてあげられる最善の策としてプレゼントをもらって大喜びして見せたに違いない。そうしておきながら母に靴を贈って下さいとサンタクロースに祈ったことだろう。どうかカナちゃんに靴をと何度も祈ったことだろう。そんな息子の気持ちを察している母親は無理をして安い靴を買い、朝になったらサンタがプレゼントをくれたと少年に見せるかもしれない。少年が心から大喜びするのはその瞬間だろう。母親も、少年が心から喜んでくれた瞬間大喜びする。そんな空想をやめられなかった。
 
 現実がどうだったかはわからないが、二人の未来が明るいものであって欲しいと心から願っている。もちろん彼ら二人の未来だけでなく、世界中のすべての親子と私たち自身の未来が明るいものであってくれたらと祈りたい。

 これで今年のブログはおしまいです。今年もまた一年、私たちのブログをお読み頂き、心から感謝致します。

 よいお年をお迎え下さい。(三)


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