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ジェイエスピー社員が綴る日替わりブログ

猫話

2016-08-02 11:18:43 | 日記
体育館の扉が静々と開き、幾人かの6年生が父兄が居並ぶ前に立つ。中の一人が凛とした声で、

「少しお時間を頂いてもよろしいですか?私たちは先日、けがをした小さな子猫を拾いました。ちいさなちいさな子猫です。今は近くの動物病院に預かってもらっています。この猫をどなたか家で飼ってはいただけないでしょうか?どなたかお願いできませんか?」

修学旅行説明会に出席した父兄は、キョトンとした目で声を張り上げている少年を見ながら何のことやら分からないでいる。同じようにその場にいた先生達も、事前に聞かされていない出来事の幕開けにどうやってこの場を収拾しようか目をクルクル回している。

この話の過去を遡ること数日。
「ねえ、うちで猫飼っても良い?小さい子猫なんだけど。」
「ダメ。」
「そうだよね。ダメだよね。」
突然の出来事に思考停止したまま帰宅したが、父兄の方々の頭が徐々に再起動したことで、がっくりと肩を落としたわが子の数日前の姿が鮮やかに瞼に蘇る。

すると、PTA連絡網を兼ねているLineグループから次々に事態を把握する情報が入る。

マンション住まいで案の定飼ってはダメと言われた子が、一軒家なら可能性があるだろうと「お前のとこ、どう?」という会話をしていたらしい。
学校の先生に学校で猫を飼っても良いかと話しに行ったらしい。
どうやら学年全体を3班に分けて、学校、動物病院、各自の家、で同時に猫を飼ってくれないかお願いに回ったらしい。
動物病院の先生が手当てをしてくれて一時的に預かってくれているらしい。

チリン、チリンとLineの着信を知らせる音ひとつひとつが子供たちの優しさを運んでくるようだ。

修学旅行説明会に行った母親が会社から帰宅した父親に話して拡散し、子供たちの優しさに感じ入った父親が会社で昨日さーこんなことがあったらしくてさー、と拡散し、私の様にブログに書いてみては拡散し。
子猫の里親はまだ見つかっていないらしいが子供たちの優しさと行動力ですぐに見つかることだろう。(野)

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