goo

旧暦

 「旧暦ライフ 温故知新」(川口澄子 画・文、ピエ・ブックス)を読んでみた。帯に、

 「旧暦」とは月の動きで日付を、太陽の動きで季節を測る「太陰太陽暦」のこと。
日本では飛鳥時代に中国より輸入、明治の始めまで使われました。
旧暦の主な特徴としては、季節を二十四に分ける(二十四節気)、新暦に対して一ヶ月ほど遅い、同じ時期に同じ日付にならない等々。
ちょっとフシギな旧暦を当世の私的な日常生活に当てはめ、旧暦の仕組みと共に画と文でご紹介。

とある。以前新聞で、旧暦で生活している人のことが取り上げられていたが、なかなか面白かった。この本もそうした生活を実践している人の話かなと思ったのだが、どうも違うようだ。「旧暦の特徴である二十四節気には、今では私たちの日常生活で喪いつつある季節感があります。そんな節気にまつわる食べ物や年中行事を、私的なエピソードを交えた画文により当世風に」紹介した内容になっている。いわば歳時記のようなものだ。
 読んでいるうちに、この二十四節気というのがすごくいいことに気付いた。普段何気なく使っている言葉も多いが、私たちの季節感と密接に結びついている。書き出してみる。
 「春」 立春 りっしゅん  正月節気   新暦2月4日頃 
     雨水 うすい    正月中気   新暦2月19日頃  
     啓蟄 けいちつ   如月節気   新暦3月6日頃
     春分 しゅんぶん  如月中気   新暦3月21日頃
     清明 せいめい   弥生節気   新暦4月5日頃
     穀雨 こくう    弥生中気   新暦4月20日頃
 「夏」 立夏 りっか    卯月節気   新暦5月6日頃
     小満 しょうまん  卯月中気   新暦5月21日頃
     芒種 ぼうしゅ   皐月節気   新暦6月6日頃
     夏至 げし     皐月中気   新暦6月22日頃
     小暑 しょうしょ  水無月節気  新暦7月8日頃
     大暑 たいしょ   水無月中気  新暦7月23日頃  
 「秋」 立秋 りっしゅう  文月節気   新暦8月8日頃
     処暑 しょしょ   文月中気   新暦8月24日頃
     白露 はくろ    葉月節気   新暦9月8日頃
     秋分 しゅうぶん  葉月中気   新暦9月23日頃
     寒露 かんろ    長月節気   新暦10月9日頃
     霜降 そうこう   長月中気   新暦10月23~24日頃 
 「冬」 立冬 りっとう   神無月節気  新暦11月8日頃
     小雪 しょうせつ  神無月中気  新暦11月23日頃
     大雪 たいせつ   霜月節気   新暦12月8日頃
     冬至 とうじ    霜月中気   新暦12月22日頃
     小寒 しょうかん  師走節気   新暦1月6日頃
     大寒 だいかん   師走中気   新暦1月20日頃      

こうやって書き出していると、節気その時々の季節の情景が目に浮かんでくる。素晴らしい。
 今はちょうど、夏至が過ぎたばかりだ。夏至のページを開いてみると、作者の誕生日が今頃らしくて、誕生日ケーキにまつわるエピソードが紹介されている。20年前はこの頃になるとイチゴが八百屋の店先から消えてしまったようだ。そのため、母親の手作りケーキにはイチゴがなかった。その代わりに、
 「さくらんぼをびっしり並べ、縁を生クリームで飾り、ゼラチンを流す。『あらー、宝石みたいやねえ』。で、私はゴキゲン」

そんな話がちりばめられた、なかなか気持ちのいい本だ。
コメント ( 8 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする