毎日いろんなことで頭を悩ましながらも、明日のために頑張ろうと自分を励ましています。
疲れるけど、頑張ろう!
桃太郎
集英社「戦争×文学」の第5回配本は、「イマジネーションの戦争」というコンセプトの元に集められた小説18編から成っている。「ここにない幻の戦争が<現実>を照らし出す」と帯にあるとおり、あるものに仮託して戦争状況を描き出すといった作品が多くなっているのが、イマジネーションと銘打った所以であろう。
今までのところ、
芥川龍之介 『桃太郎』
筒井康隆 『通いの軍隊』
宮沢賢治 『烏の北斗七星』
星新一 『白い服の男』
筒井康隆 『通いの軍隊』
高橋新吉 『うちわ』
の6編を読んだが、最初に読んだのは「ダダイスト新吉」として有名な詩人・高橋新吉の『うちわ』だった。しかし、さすがダダイズムの雄、何が何だか分からず、読み終えて徒労感しか残らなかったのはご愛敬か・・。。それと比べると芥川の「桃太郎」は、さすがと唸らされるもので、改めて芥川のすごさを思い知った。
誰もが知っている「桃太郎」を芥川流に解釈した短編だが、シニカルとしか評しようのないその解釈は、とても幼子に語って聞かせられるような内容ではない。しかし、桃太郎を鬼征伐に出かけたヒーローという視点からではなく、鬼ヶ島を侵略し征服した乱入者という芥川流の観点から見るならば、桃太郎一味は歴とした侵略者であり、略奪者であるというということになる。
そうした解釈に立って、狼藉の限りを尽くす桃太郎一味にあえなく白旗を上げた鬼の頭領と桃太郎との次のやり取りを読み直しみると、桃太郎の仕掛けた戦いがどれほど理不尽であったかが浮き彫りになってくる・・。
『鬼の酋長はもう一度額を土へすりつけた後、恐る恐る桃太郎へ質問した。
「わたくしどもはあなた様に何か無礼でも致したため、御征伐を受けたことと存じて居ります。しかし実はわたくしを始め、鬼が島の鬼はあなた様にどういう無礼を致したのやら、とんと合点が参りませぬ。ついてはその無礼の次第をお明し下さる訣には参りますまいか?」
桃太郎は悠然と頷いた。
「日本一の桃太郎は犬猿雉の三匹の忠義者を召し抱えた故、鬼が島へ征伐に来たのだ。」
「ではそのお三かたをお召し抱えなすったのはどういう訣でございますか?」
「それはもとより鬼が島を征伐したいと志した故、黍団子をやっても召し抱えたのだ。――どうだ? これでもまだわからないといえば、貴様たちも皆殺してしまうぞ。」
鬼の酋長は驚いたように、三尺ほど後へ飛び下ると、いよいよまた丁寧にお時儀をした』
これを読んで、戯画の世界の物語だと一笑に伏せば、現実世界を表層しか知らぬ人間だと揶揄されても仕方のないことだろう。上の引用文の『鬼の酋長』をサダム・フセイン、『桃太郎』をブッシュと置き換えて見れば、あら不思議、現代の裏面史の出来上がり!!。(さしずめ日本はムダな忠義心の深い『犬』か・・)
大量破壊兵器って結局見つからなかったよな、確か・・。
今までのところ、
芥川龍之介 『桃太郎』
筒井康隆 『通いの軍隊』
宮沢賢治 『烏の北斗七星』
星新一 『白い服の男』
筒井康隆 『通いの軍隊』
高橋新吉 『うちわ』
の6編を読んだが、最初に読んだのは「ダダイスト新吉」として有名な詩人・高橋新吉の『うちわ』だった。しかし、さすがダダイズムの雄、何が何だか分からず、読み終えて徒労感しか残らなかったのはご愛敬か・・。。それと比べると芥川の「桃太郎」は、さすがと唸らされるもので、改めて芥川のすごさを思い知った。
誰もが知っている「桃太郎」を芥川流に解釈した短編だが、シニカルとしか評しようのないその解釈は、とても幼子に語って聞かせられるような内容ではない。しかし、桃太郎を鬼征伐に出かけたヒーローという視点からではなく、鬼ヶ島を侵略し征服した乱入者という芥川流の観点から見るならば、桃太郎一味は歴とした侵略者であり、略奪者であるというということになる。
そうした解釈に立って、狼藉の限りを尽くす桃太郎一味にあえなく白旗を上げた鬼の頭領と桃太郎との次のやり取りを読み直しみると、桃太郎の仕掛けた戦いがどれほど理不尽であったかが浮き彫りになってくる・・。
『鬼の酋長はもう一度額を土へすりつけた後、恐る恐る桃太郎へ質問した。
「わたくしどもはあなた様に何か無礼でも致したため、御征伐を受けたことと存じて居ります。しかし実はわたくしを始め、鬼が島の鬼はあなた様にどういう無礼を致したのやら、とんと合点が参りませぬ。ついてはその無礼の次第をお明し下さる訣には参りますまいか?」
桃太郎は悠然と頷いた。
「日本一の桃太郎は犬猿雉の三匹の忠義者を召し抱えた故、鬼が島へ征伐に来たのだ。」
「ではそのお三かたをお召し抱えなすったのはどういう訣でございますか?」
「それはもとより鬼が島を征伐したいと志した故、黍団子をやっても召し抱えたのだ。――どうだ? これでもまだわからないといえば、貴様たちも皆殺してしまうぞ。」
鬼の酋長は驚いたように、三尺ほど後へ飛び下ると、いよいよまた丁寧にお時儀をした』
これを読んで、戯画の世界の物語だと一笑に伏せば、現実世界を表層しか知らぬ人間だと揶揄されても仕方のないことだろう。上の引用文の『鬼の酋長』をサダム・フセイン、『桃太郎』をブッシュと置き換えて見れば、あら不思議、現代の裏面史の出来上がり!!。(さしずめ日本はムダな忠義心の深い『犬』か・・)
大量破壊兵器って結局見つからなかったよな、確か・・。
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