じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

横溝正史「犬神家の一族」

2023-07-22 16:26:42 | Weblog

★ 来週から夏期講座というのに、暑すぎて何もやる気が起こらない。グタッとしながら、映画「犬神家の一族」を観る。

★ 横溝正史原作「犬神家の一族」は何度も映像化されている。中でも著名な市川崑監督の1976年版と同じく市川監督のセルフリメイク2006年版を比較しながら観た。

★ ほとんど同じ脚本らしく、大筋の設定、セリフは同じだった。役者は金田一耕助役の石坂浩二さん、神主役の大滝秀治さん、警察署長役の加藤武さんが同じだった。それぞれに重厚さを増したが、さすがに30年の歳月は感じた。

★ マドンナ役は、76年版は島田陽子さん、06年版は松嶋菜々子さん。どちらも美しい。コミカルな筋回しのホテル(旅館)の女中さん役、76年版は坂口良子さん、06年版は深田恭子さんだった。時代に合わせたキャスティングだと思った。

★ 今さらながら、ストーリーを概観すると、一代で財を成した信州の大富豪が亡くなり、その遺産をめぐる姉妹の骨肉の争い。そして起こる連続殺人。手の込んだトリックを金田一探偵が解いていくというもの。

★ 最大の謎は、なぜ市川崑監督はセルフリメイクをしようとしたのかという点。両作品の大きな違いはエンディング。76年版では見送られるのを嫌い、駅のホームを駆け抜ける若い金田一を描いて終わっている。06年版は、同じく見送りを嫌う点は同じ。今回は一人田舎道を歩く金田一。最後は視聴者への感謝を表すかのようなまなざしが印象的だった。

★ 公開時90歳の市川監督のお別れのメッセージであるかのようにも感じた。

★ NHKは吉岡秀隆版の金田一シリーズを継続するという。76年版、06年版、そして23年のNHKドラマ。戦争の面影がだんだん遠くなっていく気がする。

コメント