じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

堂場瞬一「メビウス」

2024-03-13 01:15:36 | Weblog

★ 7日に入試が終わり、18日に合格発表。この10日間は何ともいやな期間だ。結果発表を前に、中学校では15日に卒業式が行われる。

★ さて今日は、堂場瞬一さんの「メビウス」(河出文庫)を読み終えた。学園紛争末期。先鋭化した一部のグループは企業をターゲットに爆弾テロを実行していた。

★ 1974年、テロ集団のシンパとして彼らをサポートしていた学生グループのメンバーが主人公。爆破事件の現場に居合わせた彼は、仲間を裏切り逃亡。それから40余年、警察からも逃れ、不動産事業で成功していた。

★ かつてのグループメンバーからの依頼を受け、彼は久々に東京を訪れる。もはや彼らも60代。すでに事件は時効になっているのだが、一部のメンバーは彼の裏切りを未だ許してはいない様子。意図されたものか、結末は後味が悪い。

★ 独善的、自己批判を強要する空気。あれほど燃え上がった学生運動が急速にしぼんでいった原因がよくわかった。そして40年の時を経ても、過去を清算できていない人々。主人公の身勝手な理屈だけが印象的だった。

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馳星周「少年と犬」から

2024-03-11 19:03:09 | Weblog

★ 確定申告提出。締め切り間近ということで、列に並んでの受付。天気は良かったが、少々底冷えがした。次回から控えの受付印がなくなるという。デジタル化に進みそうだ。

★ 帰り道、近隣の中学校で弔旗が掲げられていた。そう今日は、東日本大震災から13年目。

★ 馳星周さんの「少年と犬」(文藝春秋)から「男と犬」を読んだ。震災で生活基盤を失った男性。裏の仕事で食いつないでいる。実家では姉が一人、認知症の母を介護している。危ない仕事でも稼がないわけにはいかない。

★ そんな彼がふと立ち寄ったコンビニで1匹の痩せた犬と出会う。見捨てておくわけにもいかず飼うことに。首輪から犬の名は多聞というらしいが、飼い主はどこにいるのやら。

★ 男は犬を守り神としてかわいがるのだが・・・。

★ 確定申告書を書いていると復興税の項目があった。私などわずかな金額だが、復興の役に立つのならありがたい。一方で裏金集めに奔走する政治家たちの助成(政党助成金)に使われていると思うと腹が立つ。

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篠田節子「永久保存」

2024-03-10 17:38:03 | Weblog

★ 確定申告の書類が完成した! 明日提出すれば一仕事終わりだ。

★ 役所仕事はとにかく書類が煩雑。それに書き方の解説も役所用語が多いから、素人にはチンプンカンプン。前例を踏襲するのがやっとこさだ。

★ 個人の税務だけでも書類の整理に困るのだから、その他のことも含めれば役所仕事は大変だろうなぁと思う。この分野、一番デジタル化が遅れているような気がする。

★ 役所ということで、今日は篠田節子さんの「コミュニティ」(集英社文庫)から「永久保存」を読んだ。

★ 役所で出世コースを歩んでいた男性。助役の贈収賄事件に巻き込まれ出先に左遷。彼から見れば本庁とはかけ離れた生ぬるい職場。このまま定年まで過ごすわけにはいかない。議会での捲土重来にかけるのだが、思わぬ結果に。

★ 役所に蓄積する書類は、化石になるまで、どこかで眠り続けているのか。

☆ 最近の楽しみといえば、水曜日の「相棒」と金曜日の「不適切にもほどがある」を観ること。「相棒」は次回がシーズンラスト。昔の「太陽にほえろ」や「水戸黄門」のような長寿番組はめっきり少なくなったなぁ。外国では「NCIS」がシーズン20に入った。長寿番組は最初の方のシーズンを見返しても面白い。

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篠田節子「聖域」

2024-03-08 14:54:27 | Weblog

★ 明治の「チェルシー」が終売するという。シモンズが歌うCMソングが懐かしい。

★ マンガ家の鳥山明さんが亡くなったという。「ドラゴンボール」「Dr.スランプ」は良かったなぁ。

★ さて今日は、篠田節子さんの「聖域」(講談社文庫)を読み終えた。文芸誌の編集者、実藤(さねとう)は、前任者の荷物を整理す途中、失踪した作家、水名川泉の「聖域」という未完の作品を偶然見つける。

★ 作品に入り込んだ実藤は、作品を完成してもらうべく、水名川泉を探す。そして遂に、彼女を発見するのだが。

★ 構成自体は難しくないが、作品で語られる内容は幻想的、哲学的で、実藤同様、泥沼にはまりそうになる。小説とは何か。そもそも人が生きるとはどういうことなのか。深く考えれば、底なし沼だ。

★ 作品の完成を依頼する実藤の言動は途中から編集者の域を逸脱している。脅迫めいた感じさえする。「聖域」はどうやら彼の人生を狂わせてしまったようだ。

☆ フィクションの世界に逃げても現実は変わらない。この週末で、確定申告の書類を完成しなければ・・・。常日頃から準備をしておけばよかった。毎年の後悔が今年も襲ってくる。

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村田沙耶香「余命」

2024-03-06 15:49:26 | Weblog

★ 京都府公立高校の中期入試がいよいよ明日に迫った。この1年間、いや中学生活3年間の総決算だ。最近は受験前に学校を休む生徒が増え、とはいえ不安なのか入れ替わり塾で最後の仕上げを行っている。いまさらジタバタしてもなのだが、彼らにとっては一つの通過儀礼だ。

★ 「通過儀礼」といえば、少し前、篠田節子さんの「仮想儀礼」がドラマ化されていた。原作は読んだが、ドラマはまだ観ていない。篠田節子さんといえば、今「聖域」(講談社文庫)を読んでいる。

★ 偶然「聖域」と題する未完成作品を目にした文芸誌の編集者が、失踪した作家を探すというもの。「仮想儀礼」同様、宗教が絡んでいて面白い。

★ 時代物では垣根亮介さんの「室町無頼」(新潮文庫)を読み始めた。こちらも面白い。天秤棒1つで乱世を生きた男の話。

★ 万城目学さんの「鹿男あをによし」(幻冬舎文庫)、森見登美彦さんの「熱帯」(文春文庫)も読み始めた。どちらも奈良から話が始まる。万城目ワールド、森見ワールドの贅沢なメニューだ。

★ ということで、いろいろと読みかじりながら、今日は村田沙耶香さんの「殺人出産」(講談社文庫)から「余命」を読んだ。掌編作品。医療や蘇生術が進歩し、不死の時代になった。人々は自由に死ぬ時期や死に方が選べる時代になったという話。不死と言えばユートピアのようではあるが、それはそれで、死に際を決めるのは一苦労な様子。

☆ 確定申告の締め切りが迫ってきた。今年は書類の作成が遅れている。この週末本腰を入れて挑まねば。

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川﨑秋子「ともぐい」

2024-03-03 20:07:40 | Weblog

★ 半年にわたる土日特訓が終了。ほっと一息。あとは塾生の健闘を祈るのみ。

★ さて今日は、川﨑秋子さんの「ともぐい」(新潮社)を読み終えた。直木賞受賞作。「さすが」と思える読み応えだった。

★ 北海道の山奥で猟を生業としている熊爪という男が主人公。自分がどのような生い立ちなのかは知らず、気がついた時には養父に従って猟の腕を磨いていた。熊爪の成長を見届けると養父は彼のもとを去り、その後、熊爪は孤独に鹿や熊を撃って生きていた。

★ 見どころは、自らに瀕死のけがを負わせた赤毛の熊との死闘シーンだ。

★ 動物と人間との死闘は「大造じいさんとガン」(椋鳩十)や「海の命」(立松和平)を思い起こさせる。

★ 死闘シーンまでが第1部、その後が第2部という感じか。「あしたのジョー」流に言うと、燃え尽きて真っ白になってしまった熊爪。町から子を孕んだ娘をもらい受け、彼女が子を産んだ後は自らの子を孕ませる。とはいえ、安穏な家庭など築けない熊爪は、思いもかけない最期を迎える。

★ 生きるということがどれほど生々しいことかを感じさせられた。

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中島京子「夢見る帝国図書館」

2024-03-02 21:30:00 | Weblog

★ 今年度最後の土日特訓。京都府公立高校中期入試まであと4日。近年、公立高校の競争率は1倍を切り、どこでもよければ、誰もが公立高校に進学できる時代になった。この背景には、少子化あり、私学に進学する生徒への授業料の助成あり、そして私学志向の高まりありと言ったところか。

★ 私の塾のある山城通学圏は、宇治市に3校、城陽市に2校、京田辺市に1校、久御山町に1校、木津川市に1校、八幡市に1校(分校も1校)の高校がある。このうち、木津川市の高校と八幡市の高校は何年にも渡り定員割れで、市場原理で言えば統廃合やむなしだが、存続し続けるのは、政治力学の故か。それならそれで、生徒が集まる工夫をすれば良いのだが。

★ さて、中島京子さんの「夢見る帝国図書館」(文春文庫)を読み終えた。作家を志す女性が上野公園である婦人から声をかけられる。女性は婦人から図書館が主人公の小説を書くように依頼され、引き受けてしまうのだが・・・。

★ 婦人の人生を追いながら同時に「帝国図書館」の歴史、エピソードが綴られていく。「帝国図書館」(戦後、国立国会図書館に吸収されたという)には著名な文士たちも通った。日本の近代化そして度重なる戦火を人々と共に経験してきた。図書館を守ろう、文献を守ろうとする多くの人々が垣間見えた。

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