さだまさしさんと言えば数々のヒット曲を作曲、自らも歌手として、活動して
いますが、一方ではエッセイも小説も書かれ、わたしもその殆どは読んでい
ます。映画化された「眉山」も原作はさだまさしさんでした。
小説「茨の木」は昨年発売された小説です。
父の形見となった古いバイオリンのルーツ(製作者)をたどって、イギリスへ
と物語りは進展します。
あらまし
四十八歳の主人公真二は、二年前に編集者の仕事を辞め、妻とも離婚
していた。そんな彼の元に、半年前、父の葬儀で喧嘩したきりの兄・健一郎
から、突然父の遺品のヴァイオリンが届く。
そのヴァイオリンを修理に出した直後、兄健一郎の病(脳血管性認知症)
を知る。兄の思いをはかった真二は、ヴァイオリンの製作者を求めてイギリ
スへと行く。
そこでガイドとして現われた響子に、初恋の女性(高校時代の英語教師)
の面影を重ねる。
彼はその英語教師から教えられたーイギリスのワーズワースの詩
「茨の木」ーを思 い出しヴァイオリンの製作がイギリスとあり、茨の木
も見たさにイギリスへと出向 いたのだった。・・・
「花の咲かない木はないのよ。」と彼女は言った。
イギリスでの旅で多くの人と出会い、心ある親切に助けられ、ラジオでの
「お尋ね番組」にも出る。113年も昔に作られたヴァイオリンだったが、・・
ついに辿り着いた。子孫の計らいでお墓参りもする。ヴァイオリニストの
響子が「アメイジング・グレイス」を弾いた。
そして真二は見た。ヴァイオリンの製作者クロフォードの眠る墓地の
遥か向こうに拡がる山に、小さな白い花が・・・、「 茨の木」だった。
茨の花
イギリスを舞台に繊細で優しくロマンあふれる感動的な さだまさしさん
の小説でした。・・・ほんの少しラブストーリーも含めた・・・