数多くのグランプリ名作を作って巨匠黒澤天皇と言われた黒澤明氏没か
ら10周年です。 代表的な一つである「生きる」が昨夜NHK BSで放映され
ました。 黒澤明氏
わたしが高校生の頃の作品です。(昭和27年)
「酔いどれ天使」では結核、「静かなる決闘では梅毒、そして「生きる」では癌
に侵された男の生き方をテーマとしていました。
あらすじ
主人公の渡辺勘治(志村喬)は市役所課長として、日々無気力に過ご
してきた。当時の市役所の仕事の一端が伺える。
彼は、ある日胃の痛みから受診し医者からは、胃潰瘍の初期と診断さ
れる。しかし、周りの患者との話から、自分が癌の症状であることを知ら
される。
絶望のあげくに無断欠勤し、夜の街で小説家の男(伊藤雄之助)に誘
われ、日夜歓楽街にも出る。
その帰り道、奔放に生きる部下の若い女性・とよ(小田切みき)に刺激
を受けた勘治は彼女の生き方に「生きる」ことの意味を見出す。
無意味に感じていた市役所で、生きているうちに市民のために出来る
ことをと懸命に動く。そして市民のための児童公園作りに必至となる。
小雪の降る日完成した公園のブランコに乗ってー命短し・・・-の歌を口
ずさみながら静かに死んだ。 ・・・葬儀後公園では児童たちの喜々とした
姿が見られた
当時の社会批判、(市役所内の仕事のたらい回し)を取り入れながら
一人の平凡な病に冒された男を通して、 限られた命を懸命に生き、人生
を燃焼し尽くす姿は現代にも大いに心を揺さぶります。
主人公の勘治が公園のブランコに乗りながら
-いのち短し 恋せよ乙女― と歌う「ゴンドラの唄」は子供の頃に観た
シーンが未だに残っています。日本映画史上に残る屈指の名シーンとして・・・・
重々しく歌うその声は、黒澤氏が「誰も歌えない様な声で」と志村氏に言
われ たのことです。 今の映画に比べ画面も暗くカラーではないですが、50数
年前に「生きる」 と言うことの意味を問うた大作でした。
監督の黒沢氏と共に出演者の方々の多くはすでに亡くなられています。
懐かしい思いで、昔の映画に浸りました。
「ゴンドラの唄」
. 1 いのち短し恋せよ乙女 紅き唇あせぬ間に 熱き血潮の冷えぬ間に 明日の月日はないものを 2. いのち短し恋せよ乙女 いざ年をとりてかの舟に いざ燃ゆる頬を君が頬に ここには誰も来ぬものを 3 .いのち短し恋せよ乙女 黒髪のいろあせぬ間に 心のほのお消えぬ間に 今日はふたたび来ぬものを |