宮応かつゆきの日本改革ブログ

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”ガザの悲劇なぜ繰り返す”「問われる米国の姿勢」 現地レポート=小泉大介記者

2014年07月24日 | 戦争と平和

 「ガザ入り直前に滞在したイスラエルの最大都市テルアビブは地中海に面し、五つ星ホテルが立ち並んでいました。 海岸では年配者が大型犬を連れて散歩し、若者たちはビーチバレーで歓声を上げるという、優雅な高級リゾート地の趣でした。 一転、直線で60㌔南、同じ地中海を望むガザは全くの異空間でした。 中心地の海岸にあったのは、昼間なのに歓声はおろか人影もほとんどなく、白波が押し寄せるだけの荒涼たる風景・・・。 ほど近い外国人向けホテルは薄暗く、自分以外の宿泊者は一人もいませんでした」(しんぶん赤旗24日付 「とくほう・特報」欄) 以下、同記者のレポートです。(一部略)

 「訪れるたびに胸がしめつけられるガザ。 そこでは東京23区の6割の面積に約170万人のパレスチナ人が身を寄せ合うようにして暮らしています。1948年の第1次中東戦争で現在のイスラエル領にあった故郷を追われた難民とその子孫が人口の7割をしめます」

 「ガザにおける現在の事態を理解するには、少なくとも2006年までさかのぼる必要があります。 同年1月のパレスチナ評議会(国会に相当)選挙。 1987年にガザを拠点に結成され、イスラエルへの自爆攻撃を含む抵抗を続けてきたハマスが、パレスチナ解放機構(PLO)主流派で、イスラエルとの共存路線をとるファタハに大差をつけ勝利しました」

 「しかしハマスを『テロ組織』と規定するイスラエル政府は、これへの敵視を変えません。 話し合いをするどころか、2007年にハマスがファタハとの内戦を経てガザを支配すると同地の封鎖を本格化させました」

 「イスラエル軍が境界を完全にコントロールし、原材料、建築資材、燃料などの搬入、さらにイスラエルへの人の移動も厳しく制限したため、ガザ経済に深刻な打撃を与えました。 失業率は50%とも60%ともいわれ、住民は小麦粉など基本的な食料にも事欠く状況が続いています」

 「イスラエル軍は制空海権を握っており、10年5月にはガザに向っていたトルコの人道支援船を急襲して乗組員9人を殺害する事件まで発生しました。 ガザは1967年の第3次中東戦争で、ヨルダン川西岸や東エルサレムとともにイスラエルに占領されました。 2005年にイスラエル軍が『一方的撤退』をします。 しかしその後も繰り返される空爆と徹底した封鎖により、”巨大な監獄”という状況に置かれてきたのです」

 「ハマス側にも問題があります。 ロケット弾発射が、イスラエルに攻撃の口実を与えていることは事実です。 しかし、イスラエル軍は世界屈指の軍備を誇り、ロケット弾の多くも迎撃システムで撃ち落としています。 その軍が封鎖で貧困に打ちのめされているガザに無差別爆撃を行い、子どもや女性ら数百人という民間人をがれきの下敷きにすることなど絶対に許されていいまずがありません」

 「圧倒的軍事力によっても占領への抵抗を抑えられないことは、これまで幾多の攻撃を行いながら、ハマスが組織を維持していることを見れば明らかです。 イスラエル軍は08年末から翌年初頭にかけてロケット弾発射を口実にガザ大規模空爆と地上侵攻を強行し、1400人ものパレスチナ人の命を奪いました。 軍事攻撃は憎しみの連鎖を生むだけです。 何度、悲劇を繰り返そうというのでしょうか」

 「イスラエルの最大の後ろ盾であり、毎年約30億㌦(約3000億円)もの軍事援助をおこなっている米国の役割もみのがせません。 そもそも、ハマスが勝利した06年の評議会選挙は、米国のブッシュ前政権がイラク戦争・占領正当化のためにぶち上げた『中東民主化』構想の圧力のもとで実施されました。 しかし、民主的選挙で民意が示されたにもかかわらず、米国はイスラエルと同じくハマスを認めず、『自衛権』の名でガザ攻撃を声高に支持してきました」

 「『変革』を掲げたオバマ大統領が09年に就任した際は、多くのガザ住民が、『これで状況は改善する』と期待しました。 しかし結局、米政権のイスラエル寄りの姿勢は何も変わらず、米が仲介した昨年7月に再開した中東和平交渉も、4月末に進展なく停止しました」

 「米国製の戦闘機による爆撃で愛する家族を失ったガザの人々にとって、イスラエルと米国の区別はなく、怒りは等しく両者に向けられています。 必要なのは、即時停戦はもちろん、国連の潘基文事務局長が『恒久的な平和のためには、ガザの封鎖が解除されなければならない』と述べたように、紛争の根源を取り除くことです。 根本的には、交渉によってイスラエルの占領を終了させることです」

 「ハマスは現在も公式にはイスラエルの存在を認めていません。 しかし今年6月にはファタハとの長年の敵対関係を解消し、暫定統一政府を発足させました。 事実上、イスラエルとの共存路線に踏み込んでいたのです」

 日本共産党は、中東問題解決のために3つの原則を提唱しています。

 1、イスラエルの占領地からの撤退

 2、独立国家建設を含むパレスチナ人民の民族自決権の実現

 3、イスラエルとパレスチナの双方が生存権を認め合い、平和的に共存する