'I suppose' I said,' that someone has heard her address us as sir or ma'am
and has immediately wrested her from us
as a paragon.
All I can is, they'll be disappointed.'
(蓋し、検死審問(the inquest)で証人の一人として証言した牧師館(vicarage)のメイドのメアリが、牧師夫妻のわたしたち(vicar and vicaress)のことを旦那さまとか奥さまとかちゃんとした言葉づかいで呼んだ(address us as sir or ma'am)のを聞いた誰かさんが、こいつはコスパの良いお買い得の逸材だと思ってうちら牧師館から強引に奪ったてことだろう。と、牧師のわたしは若くて美しいとことん家事に向いていない妻のグリゼルダに言った。でも、彼等は必ず【「they'll」の「will」は天気予報の「It will be (like) fine tomorrow.明日は晴れるでしょう」の客観的にほぼ確実なことを表す「will」に近いのです】落胆する。それだけは間違いないよ、とも)
(出典:Agatha Christe「The Murder At The Vicarage」chap.20)
cf.新井閏美「英語の階級 執事は「上流の英語」を話すのか?」(講談社選書メチエ, 2022年)
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000364567
cf. スリーピングマダー:アガサ・クリスティWORLDの基盤はスタイルズ荘ではなくてヒルサイド荘に眠っていた
https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/2210d92a14d9e375094aa27281b6866d
>英語にも敬語ってあるんですか?
この問いはーー単なる「おしゃべりのための英会話」などではなくて、ビジネスシーンで使える英語力の増進が英語研修業界の共通目標になって20年以上が経過した現在、ーー最早、周回遅れの問いと言ってよいでしょう。
もちろん、日本語のような「敬語」は英語にはないけれど、
英語にも広い意味の<敬語>はあるのですよ❗️
と、今時、どんな英会話スクールや英文ビジネスライティング教室のインストラクターさんに聞いてもそう答えるでしょう。もっとも、その英語の<敬語>の内容としてインストラクターさんたちが脳裏に描いているものは必ずしも同じではないとしても。
∇敬語:wikipedia↖️英語の「敬語」との比較にも少し言及されています
・・・日本語では文化審議会「敬語の指針」で尊敬語、謙譲語I、謙譲語II、丁寧語、美化語に分類している。従来、敬語とは、尊敬語(相手を高める)、謙譲語(自分をへりくだる)、丁寧語(です・ます)からなるとされた。2007年の文化庁文化審議会の『敬語の指針』は、謙譲語をIとIIの2種に分け、「お茶」のような「お」や「御(ご)」をつける美化語を敬語だとみなした。一般には、尊敬語と謙譲語だけが敬語だと認識されている。・・・
∇文化庁:第一話「敬語の心得」理解度チェックの解答 ↖️日本語の「敬語のあり方」を楽しく復習できます
https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kokugo_shisaku/keigo/chapter1/detail.html
冒頭に述べたことの繰り返しになりますが、畢竟、フランス語やドイツ語には「be+Vp-ing=述語動詞の時制形式としての進行形」はないけれども、当該のセンテンスのーー完了している・継続している・進行変化している、等々の状態を表すシステムとしてのーーアスペクト(進行相や完了相などの相)において、英語の「述語動詞の進行形」と同様なことを表す表現のパターンは定番の副詞(句)を用いる等々存在する(↖️実は、英語の進行形は元々、「be + on +Vg-ing」という副詞句構文から発展したとも考えられる。ならば、現在のドイツ語やフランス語の表現形態はそれと同じこと)。
これとパラレルに、日本語のような「敬語システム」は英語には存在しないけれど、英語にも広い意味の<敬語>はあります。すなわち、英語にも、主に助動詞や仮定法の運用ならびに否定疑問文の運用や命令文の回避などの構文選択の法途で、
「仮定法」という文法用語が意味する述語動詞の変化システムは「仮定法的の表現技法」の枝葉末節の事柄
https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/67b08e93a174bc3d0912c66a5d02ef2f
【甲】相手との社会的身分や社会における影響力の差異を暗示する
【乙】その場の状況を踏まえて相手を持ち上げる/こちらを卑下する
【丙】とにかく平穏無事に穏便に丁寧に(難くせ極力回避で)発話する
ような表現のパターンは幾らでもあります。例えば、ーーイギリス英語の「I don't suppose you'd open the window, would you?(窓を閉めていただけませんか?)」ほど明確な「敬語」ではないにしても、米英共通の下の三例文。最初の例文セット「少しお時間をいただけませんか?」の意味の上下両センテンスの丁寧差は凄まじく、実際、上二つの例文の「can」は身内メンバー企業とか以外、一般の商談で使われることは皆無と言ってよいでしょう(もっとも、カリフォルニア州を除けば、鴨😃) そして、その下の三番目が命令文回避の例文。
Can you spare me a few minutes?
⬇️ ⬇️ ⬇️
Could you spare me a few minutes?
Can you give us a better price?
⬇️ ⬇️ ⬇️
Could you possibly offer us a better price?
(もしできるようでしたら、もう少しお値段の方なんとかしていただけませんか?)
Let's go out for(/to) lunch.
⬇️ ⬇️ ⬇️
Why don't you come out with us to(/for) lunch?
(お昼一緒に行きませんか?)
さて、本稿はこのような「英語の敬語」について例文を挙げつつ説明するものではありません。なにより、この論点については多くの書籍が出版されています。また、ネット上にはーー単に依頼のセンテンスに「please」をつけただけでは柔らかになるとしても所詮命令文が「丁寧」になることはない、また、上位者が下の立場の相手に対して使う場合には「恫喝」のニュアンスさえ帯びかねませんよ、等々の情報を具体的の例文で説明・解説したーーあまたの良質で興味深い(informative and interesting)記事が溢れているから。よって、例文を示してする「英語の敬語」の説明はそれらの「先行業績」に譲るのがーー読者の皆さまとKABU家ともにーーお互いに時間の節約でしょう。
実際、わたしは、例えば、「今度、かなり大口の顧客を交えたvideoconference(TV会議) でfacilitator 役(議事進行および盛り上げ係)に使命されたので「英語の敬語」について短期間で復習しておきたいのです。何かお薦めの本とかありませんか?」と教え子の方から聞かれたら、現在は、次の二冊をお薦めしています。実は、上に挙げた例文の上二つは数佐尚美さんの著書からお借りしたものなんですよ。
(*^o^)/\(^-^*)
英語の敬語 絶対覚えておきたい基本フレーズ
数佐尚美(著)
世界のビジネスパーソンが使っている 一流の英語
マヤ・バーダマン (著)
ということで、本稿でKABUはなにを言いたいのか?
はい、それは冒頭のテキストに関連するこの一点。
あるいは、そのコインの裏側の構図を入れて二点。
💡敬語の英語と階層方言との併用を制御する
ルールはどのようなものか?
💡そもそも<敬語>が存在する人間社会には
共通の組織論的背景がある?
冒頭のテキスト。「The Murder At The Vicarage:牧師館の殺人」に登場する牧師館の住み込みメイドのメアリさんは下層中流とは呼べないそれより下の庶民階級出身の娘さん。よって、彼女は牧師館でも日頃は自分の階級相応の言葉を話しています。
けれども、殺人事件の検死審問という英国の田舎では最高レベルの公的時空間でメアリさんは、下は魚屋の丁稚さん等の同じ階級のコミュニティメンバーから、他方、上はケンブリッジ卒の退役大佐といった中上流階級のこの地方の有力者に至るまで、おおよそ、このセント・メアリ・ミード村の誰からも好感をもたれる言葉づかいで証人尋問に応えた。読者の皆さま❗️ ここメアリさんの言葉づかいの内容わかりますか?
換言すれば、彼女は、①別に上流階級の言葉づかい(上流階級の階層方言)を使ったわけでは断じてなく、②上流階級のコミュニティメンバーも彼女と同じ階級のメンバーも「下の階級の者が上の階級の人達に/公的な時空間で話すに相応しいと感じられる、彼女の所属する階級の言葉づかい」で証言したのです。だからこそ、お茶目でそそっかしい牧師さまは「メアリが引き抜かれた❗️」と勘違いされた。(^_^)v
そして、次の事例。これはわたし自身の体験談。まだ英語は「This is a pen.」くらいしか話せなかった20代後半の頃、ーー勿論、「I'll want/take 3 rolls of an pan.;あんパン3個いただきましょうかね」より「I would like 3 rolls of an pan.」の方が丁寧なの鴨、くらいは知っていたとはおもいますけれどーー確かシアトルのそこそこのレストランで提携先の某大学から接待を受けたとき、わたしのオーダーを聞いたフロア主任さんが、厨房にオーダーを伝達すべく若いウエーターさんを呼んで(called the young waiter over)ーーわたしに聞こえるようにーー彼女はこう言われた、
This gentleman wants ・・・
(❎He wants ・・・)
これも、この「gentleman」もメアリさんの言葉づかいに通じる
一流の<英語の敬語>だと今でもそう思います。
確かそのシアトルのレストランで
🦪生牡蠣🦪+🍅トマトケチャップ🍅
を生まれてはじめていただいて
その美味しさに感動したと思います
加之、三番目、最後の事例ですが(last but not least)、日本では評判の悪いーー「こちらでよろしかったでしょうか」「いかがいたしますか」「ご注文の品はこれですべておそろいでしょうか」等々のーー所謂「バイト敬語」の事例も興味深い。一体、「バイト敬語」は、しかし、なぜ一定程度の市民権を日本の<敬語>の中で獲得したのでしょうか?
蓋し、その背景にはコンビニやファーストフード等の現場では、1️⃣フロアでもキッチンでもレジでも日本語がまだあまり得意ではない外国人の方が、最早、労働力のかなりの部分を占めるようになったこと、他方、2️⃣スタッフさんクルーさんとして定年過ぎどころか70代後半の人生の先輩方から高校生にいたるまでのメンバーが話す多様な世代方言が入り乱れる、そんなコンビニやファーストフードの現場では、ピジン語的な(?)簡便な<敬語>が共通語として求められていた背景があったの、鴨。
関西弁はなぜ強靭なのか? 世界の共通語としての英語の現状を理解する補助線として
https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/b6b246bc05470fe6bdf3a504544172aa
ネットで見かける「食パンは英語でなんと言う?」類いの記事↖️面白いけどちょびっと迷惑かも
https://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/5fc098f9884e1ac07f0c697584644f81
要は、それが正当な「英語の敬語」や「日本語の敬語」からは逸脱していようとも上記
【甲】相手との社会的身分や社会における影響力の差異を暗示する
【乙】その場の状況を踏まえて相手を持ち上げる/こちらを卑下する
【丙】とにかく平穏無事に穏便に丁寧に(難くせ極力回避で)発話する
を表す表現の形態は漸次現れるし、それらもまた<敬語>に含まれる、と。
そうわたしは思うのです。
而して、<敬語>の生命力の基盤には、いきなり飛躍しますけれど、ある任意の組織においてーー上意下達の文化がその組織にとって死活的に重要であろう軍隊・警察・消防、「AKB48グループ」や「クライアントの知的財産権保持または信託財産管理を受託した弁護士チーム」はいうまでもなくーー上が少々無能でも、上をたてる文化とそれと親しい言葉づかいはトータルでは当該組織にとって有益である。という人類の経験則が横たわっているのではありますまいか。その様にもわたしは夢想しないではありません。
いずれにせよ、このように尽きることなく<敬語の英語>なり<敬語の日本語>の表現がたち現れてきて運用されている風景にわたしは関心を持っています。畢竟、階層方言それ自体(as such)ではなくて、異なる階層方言の母語話者間でとりおこなわれるコミュニケーションのインターフェイスを司る言語運用ルールとそのルールが効力を帯びるに至っている背景に興味を抱いていますということ。
このテーマに対する考察は一次資料をある程度にせよ吟味しなければならないでしょう。ですからそれは来世マターになる、鴨。しかし、英語学からも言語学的にも言語哲学的にも実に興味深いテーマだと思っています。
(*^o^)/\(^-^*)
おそまつさまでした。
以上
わたしの現在の実感です。
でも、アメリカの人が「アメリカ人」として
振る舞う場合にはそうでしょうかね。
以上
その通りです❗️
修正しました。
今後ともよろしくお願いいたします。
以上
https://readerslibrary.org/wp-content/uploads/The-Murder-at-the-Vicarage.pdf
I wonder if you would be correcting it, if you will, please?
だから、間接的に物を言うので、いつもイライラしました。
その点、アメリカ人は、直接的に物を言うので、簡単でしたね。