小田急線の車内告知文が続きます。
Please allow enough space for others to sit.
(座席はつめあわせおかけください)
Please carry backpacks in your arms or put them on the luggage rack.
(リユックは前に抱えるか網棚をご利用ください)
Be careful in case of an emergency stop being made to avoid an accident.
(電車は事故防止のため急停車することがありますのでご注意ください)
中学校の英語の先生にはこの3センテンスだけでも子供たちに伝えたい内容が盛りだくさんですよね。
allow ~ for ・・・ to 不定詞 =「・・・(人)に ~ を to 不定詞することを認める」
carry ~ in your arms =「~を腕に持って運ぶ」
put ~ on the luggage rack =「~を荷物だな(小田急では座席上方の「網棚」)に置く」
これらは、英語らしい表現で英語の語感を子供たちに身につけてもらうには最適でしょう。
特に、「put ~ on ・・・」は現在の第7文型論が5文型に追加したパターンの一つであり、
putの語法を説明するために最適と言えるでしょう。
これら3センテンスの中で一番おもしろいと思ったのは、またまた、名詞の複数形と定冠詞の使い分け
です。三番目のセンテンスです。例えば、
Be careful in case of an emergency stop being made to avoid an accident.
をこう書き換えたらどうなるでしょうか?
Be careful in cases of emergency stops being made to avoid accidents.
文法的にはもとのセンテンスは"an emergency stop"と"an accident"という不定冠詞+名詞で、
書き換えたセンテンスは"emergency stops"や"accidents"と複数形で、総称表現を行うものです。
要は、「今日の急停車」「7月7日の午前8時23分のあの急停車」という個々の急停車ではなく、
全ての急停車を、不定冠詞+名詞の形でも名詞の複数形でも表現できるというあれです。
あれでは不親切なので、『ロイヤル英文法』から例を引いておきましょう(84頁)。
Whales are mammals. (鯨は哺乳類である)
A whale is a mammal. (鯨は哺乳類である)
つまり、
Be careful in case of an emergency stop being made to avoid an accident.
Be careful in cases of emergency stops being made to avoid accidents.
はともに「電車は(一般的に)事故防止のため急停車することがあります(そんなことが一般論
としてですが、ありうると認識していただき)ご注意ください」という意味です。
では二つのセンテンスは全く同じか?
私は、小田急の車内に、
Be careful in cases of emergency stops being made to avoid accidents.
と書いてあれば、あんまりそんな電車には乗りたくはないと思うでしょう。何故か?
それは、この告知文によれば、一般論を超えて「しばしば事故を避けるための急停車」が起きるし、
つまり、「急停車によって避けねばならないような事故未遂」もしょっちゅう起きるように思える
からです。そうなれば、新百合ヶ丘からバスで市ヶ尾かあざみ野に出て、田園都市線で通勤する
しかないかな? 皆様は二つのセンテンスの語感についてどう思われますか?
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今回の "In case of --"ですが、KABU先生おっしゃるように複数だと「そんなことがよくあるのか?」ってかんじがするとのご意見には同感です。
ただ、これには慣用的な部分もあるのかと。
例えば、
You should take an umbrella with you in case it rains.
などで使われる "in case" のような印象があります。「まさかないとは思うけれど万が一・・・」というようなニュアンスでしょうか。
確かに微妙ですね。その証拠にというか、
You should take an umbrella with you in case it rains. は in case 以下をit should rain.に書き換え可能で、その場合、仮定法未来というか「もし万が一の用心のために・・・」というニュアンスも持ちます。つまり、心の中でどれくらいの「雨の確率」を想定しているかによって、同じYou should take an umbrella with you in case it rains.も話者がこれに込めるニュアンスが違ってくるのでしょうか?
それに対して上の
Be careful in cases of emergency stops being made to avoid accidents.
ではやっぱ、かなりしばしば起こりうることを話者は想定しているように感じるんです。自分がどうしてそう感じるかがグラマティカルには今ひとつわからないのですけれど(泣)・・・。更に検討続行しますね。