![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/44/b6fcf7d747a360e37a965e6127221f3a.jpg)
病院の総合パンフレットを眺めていたら、少し変じゃないかと感じた。外来の案内窓口でだったか、その後、病室に備えられている同じもので見たのか、今はもうはっきりしないけれど、「ふみゅ、あれれ、ふーん」と感じた。
>どこで見たかは覚えていないが
>違和を強く覚えたのは間違いない
>そうおっしゃるんですね、奥さん。
ということ。「ほおー、そうですか、それで・・・私達になにか」
とその時には感じた、鴨。
これ(↓)、
この世にある全ての資源を治療の為に
We make use of all available resources for your treatment.
ポイントは「available:利用可能な」の意味・語感。上から目線が鼻につくまでじゃないけど、何というか、
例えば、ジーンズにTシャツの手ぶらで、もう、傘なんかもってないつーのという女子大生にも、
>雨が降っていますので傘をおさしください
とか呼びかけている、山の手線S駅の駅員さんに抱いている感じにも近い。
間が抜けてるというか、他人事なのが見え見えで、だからそれちょっと
事務的すぎじゃないかいという感覚。
б(≧◇≦)ノ ・・・Yah! I know an umbrella is useful,
б(≧◇≦)ノ ・・・but any umbrella is not available with me now,
б(≧◇≦)ノ ・・・thank you!
尚、ここでOED先生に相談しておきますと、人に対して用いられる際の
意味は割愛すると、物事の場合、availableは、
・available:can be obtained or used
:to be effective
そいでもって、語形の推移来歴から言えば、もともと「available」は「a+vailable」。そして、
その「vailable」は「value」と同じ語源で底意は「丈夫で強い、便利でちょうほうする:strong/worthy」というものらしいです。
閑話休題。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/0e/7c23eccb1ed89d7e1e22912748538114.jpg)
(家計簿よく見てみたんだけど、いまその犬を
買う(飼う)余裕なんか我が家にはないわよ)
ポイントは「available:利用可能な」の意味・語感。誰に取って/どういう状況でならavailableかということに関わる語感。availableはそのことが必ず意識されているんじゃないか、と。それ、usefulと較べて見れば明らかでaffordと一脈通じる語感の違い。
>冠詞の総称用法とともに・・・
A horse is a useful animal.
The computer is useful in processing data.
(馬はやくにたつ動物だよ)
(まあ、コンピューターはデーター処理には便利だわな)
cf. The advice was very useful for me.
(そのアドバイスがあって助かったよ)
而して、「available:利用可能な」が用いられる「あるものの利用可能性」は、法的に認められているとか世間で許されているとかによって制限されていると思うのです。違法なものやご近所の顰蹙をかうようなことは、原則的に「利用可能:available」ではないからと思うから。
だから、例えば、アメリカでは銃器が子供にとってもavailableな場合も多いけど、日本では全然違う。また、その日本でも、ある任侠系組織の組長さんにとつて「拳銃3丁と実弾50発」がavailableな場合があるにしても、それ、普通の市民にとっては--というか、思春期の息子や娘に頭を悩ませている一人の父親や母親としてはその組長さんにとっても--到底、availableではない。と、そう私は考えます。
法律用語としては、availableは、だから、ある法規等がまだ廃止されていなくて効力をもっている、そんな「有効」という意味。つまり、①誰に取っても、また②世間的にも「利用可能」ということ。
そして、件のキャッチフレーズ。
この世にある全ての資源を治療の為に
We make use of all available resources for your treatment.
これ、コピーライターさんは、そして、コピーの依頼主である病院の経営者でもある院長先生は間違いなく、「うちの病院は、医が仁術であることはもちろんですが、運営体制の面でも、、まあ-、にょうぼ質に入れても(←実は「にょうぼ」は副院長先生だったりするのですが。)全力を尽くし、最先端の設備の導入や、施設の充実拡充、そして、優秀な人材の確保のためなら金に糸目はつけないんですよ!」とかいう志を述べたかったのだと想像します。
「当院は、医が仁術であることはもちろん、また、医療の進歩は日進月歩、よって、最先端の設備の導入や、施設の充実拡充、そして、優秀な人材の確保のために経営的な努力をおしみません」とかいう意味。
でもね、availableの語感から言うと、ここでの意味は、①当院の予算と②法的に認められた範囲内でしかないだろう。ならば、そう、だからここの「all available resources」は、あくまでも「うちの病院にあるすべての資源」または「うちの病院が資金的や法的に利用可能なすべての資源」という意味。逆に言えば、今あるものはけちらず全部使うにしても、ない袖は振れませんからね、という意味。
ならば、このキャッチフレーズは「うちの病院は、経営的と法的な観点から入手可能な範囲のすべての資源を用いて治療を行います」という当たり前というかそんな意味にしかならないんじゃないかい。
>We make use of all available resources for your treatment.
>うちの病院は、ない袖はふれませんが、けちったりだしおしみしたり
せずやっています
と、これちょっと、事務的(?)すぎじゃない。ない袖はふれず、ない傘もさせない。そのとき<傘>がなければ--密輸とか脱税とかにょうぼ質に入れるとか艶ぽいことしない限り--<傘>させないのは当然なんだから。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/06/64/1d1821a158f5694b3d421c6f1515f963_s.jpg)
数カ月前になりますけれど、とかとか、ここまで書いてきたような理由で、最初にこのパンフレット目にして違和を覚えた。仕事でキャッチコピー作ったことないこともないし、他人事ながら少し気になったというところ。
でもね、実は、そんな違和の一方、私は「正直でよろしい~!」と感じないではなかった(笑)。キャッチコピーで病院が言いたかった<病院経営の志>という「正解」かがちゃんと伝わるとは限らないという点ではこの作品は不良品だろうけど、まあ、常識からして想像できるその<志>の内容と合わせて読むと、これ正直で好感持てる、鴨と。
б(≧◇≦)ノ ・・・正直でよろしい~!
б(≧◇≦)ノ ・・・気に入った!
で、医は仁術で日進月歩。それから数カ月がたち、治療に専念するのに大変でキャッチコピーの違和感なんかとうに忘れていたころ、外泊許可もらいたまたまネットで遊んでいて病院のホームページにアクスした。そしたら、そしたら、
φ(。。;)
病院のサイトには少し違うキャッチフレーズが掲載されていた。
印刷媒体よりネット版が新しいだろうからして、
これキャッチフレーズの改訂版なのでしょうかね。
いずれにしても、そこには、
この世にある全ての資源を治療の為に
We make good use of all resources in the world for your treatment.
「当院は、医が仁術であることはもちろんですが、医療の進歩は日進月歩、よって、
最先端の設備の導入や、施設の充実拡充、そして、優秀な人材の確保のために経営的な努力をおしみません」
と、正解になっていた。
でもね、正直、あの「正直者バージョン」も、
今となってはなんか味があっていい、鴨です。
ヽ(^o^)丿ヽ(^o^)丿
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/5b/26/5e8bf2a0eaa46fb98f1d3b65d7e3a67a_s.jpg)