おそらく今年最後のゴルフ関連記事紹介です。日本女子プロゴルフ最終戦にして三大メジャー公式戦の掉尾を飾る、LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ(「最強女王決定戦」)が終わりました。結果は、不動裕理選手と古閑美保選手という共に清元登子先生門下の最終日・最終組による、これまたほとんど「マッチップレー」といってよい戦い。而して、勢いに優る古閑選手の公式戦初優勝。わたしたち福岡県の最南端、大牟田市出身者にとってはほとんど地元勢といっていい熊本出身の両者の戦いは堪えられませんでした。
しかも、その内容も見応えがあった。最終日スタート時点の5打差を同門の妹弟子・古閑プロが5バーディーノーボギーの猛チャージで逆転するというスリリングなもの。対する姉弟子・不動プロ、過去賞金女王6回、女子プロゴルフ界現役第一人者の不動プロもまた2バーディー2ボギー1ダブルボギーというスコアながら(この「+2」の74は最終日のスコアとしては出場30選手中の17位であり、)必ずしも大崩れしたわけではなかった。よって、両者のスコアが並んだ9番ホール以降は、野球に喩えれば「杜撰な貧打戦」ではなく「息詰る投手戦」の趣がありました。いやー、堪能させてもらいました。
そして、このことも書いておきます。それは、新女王・上田桃子プロのこと。「不動 vs 古閑」という清元門下生同士の対決の蔭に隠れた感はいなめませんでしたが、同じ熊本県出身のこの史上最年少賞金女王もまたすばらしいラウンドをしたことを。不動プロとのペアリングになった3日目の直接対決で実質的に優勝争いから脱落したものの(よって、おそらく、最終日のモティベーション維持はかなり難しい状況であったにもかかわらず)、桃子姫は渋い脇役に徹し、今年の最終戦、最強女王決定戦を引き締めた。
桃子姫の最終日第4ラウンドのスコア「even」は出場30選手中11位の記録であり、トータル5位はこの「最強女王決定戦」初出場でモティベーション全開だった昨年の5位タイを上回る結果。このことは、「目下売り出し中の最年少賞金女王様」がショットもアプローチもパットもちぐはぐだったことを考えれば凄いことだと私は思うのです。聖人君子ならぬ人の子のこと、モティベーションも高かろうはずがないこの状況では、普通なら、最終日「+4」を叩いたとしても不思議ではない。そうなれば、ずるずると「新賞金女王様」が12位タイくらいまで後退する展開になった。蓋し、新女王様は自力で「賞金女王」の権威と品格を守ったと言えるのではないでしょうか。
私はゴルフの素人ですが、企業内人事研修企画やアメリカの大学院と日本の大学・企業との共同事業の企画運営に20年近く携わってきた身には、「人間、調子の良い時に頑張れるのは当然。ならば、(インターナショナルビジネスの世界で活躍できるかどうかを決める)人間の値打ちはセルフマネージメントスキルの度合いにある。すなわち、調子の悪い時にどれだけ冷静に目標を再設定できるかどうか、その再設定した目標に調子の良不良にかかわらずベストを尽くせるかどうか、加えて、調子の悪い時にも、きちんとその時々に自分に与えられた役割や地位に相応しい大人の気配りを周囲に対してできるかどうか」だと確信しいています。
アメリカのプロトレーニングとコーチングプロの世界では(日本でも漸次取り入れられてきていますが)、技術担当・身体能力担当・戦術担当・キャリアマネージメント担当と大きくわけても4種類のコーチングの恊働作業になっている。だからこそ、世界で一番ゴルフが上手いタイガー・ウッズ選手にもレッスンプロがついている。けれども、技術や身体能力、戦術、(あるいは、ビジネス戦略の立案と遂行)は専門のスタッフに任せればよいのかもしれませんが、究極の所、<自然との戦い>にして<自分との戦い>であるゴルフではキャリアマネージメント担当コーチは自分自身でしかありえない。
而して、流石に清元門下の不動ー古閑の両プロはセルフマネージメントスキルの点でも見事だったと思うのですが、弱冠21歳の上田桃子プロにも同様な品格を私は感じました。蓋し、「人材育成における師匠の役割」や「世界と戦える日本人に不可欠な資質」等々、畢竟、ゴルフプロパーを越えていろんなことを考えさせられもし学ばせてももらえた、そんな2007年のLPGAツアーチャンピオンシップだったと思います。
さて、来年、2008年。プロ野球とメジャーリーグベースボールに喩えれば、女子ゴルフの「野茂英雄世代」ともいうべき岡本綾子・小林浩美・(福嶋晃子)に続く世代。伝説の「沢村ースタルヒン世代」にも比すべき樋口久子・清元登子から「野茂英雄世代」を経て、いよいよ「イチロー世代」や「松坂世代」という、恒常的に世界で戦える女子プロ選手は出てくるのでしょうか。そして、彼女達の影響によって近い将来日本の女子プロゴルフトーナメント自体の水準が、例えば、アメリカのトーナメントツアーの水準と地続きになることがあるのでしょうか。
そうなることを私は願っていますが、欧米の選手と体格的にもそう遜色のない古閑美保プロや(体格的には少し劣るけれども、ショットの飛距離と正確さでは十分戦える)上田桃子プロという「坂田塾→東海大第二高校」卒の肥後のおてもやん勢に期待するところ私は大です。
そのような夢を抱きつつ、以下、古閑美保プロの「最強女王戦優勝」を報ずる記事を紹介します。出典は、Japan Times, "Koga takes advantage of Fudo's struggles to win Tour Championship," Nov. 26, 2007(古閑選手不動のミスに乗じてツアーチャンピオンシップを獲得)です。尚、Japan Times社の著作権を考慮して紹介は全体の約三分の二にとどめました。
<テクスト>
Miho Koga took advantage of a late collapse by overnight leader Yuri Fudo to register a two-shot victory at the season-ending Japan LPGA Tour Championship on Sunday.
Koga teed off trailing Fudo by five strokes but the 25-year-old fired a flawless 67 and claimed her second title of the season after playing partner Fudo struggled to a 2-over 74 at Miyazaki Country Club.
Buoyed by a sizzling 66 on Saturday, Koga started to close the gap with three birdies in a row from the second hole while six-time money title winner Fudo faltered with bogeys either side of a birdie on the fourth.
"Because my playing partner was Fudo-san the five-stroke deficit at the start felt more like 10 strokes," said Koga, who claimed her seventh career title with a 13-under 275 total. "But I was able to improve my score in the first half of my round and that's when I thought maybe I would be able to go all the way."
Momoko Ueda, who became the youngest money title winner on the JLPGA tour after winning her fifth title of the year at last week's Daio Paper Elleair Ladies Open, carded a 72 and finished fifth on 285.・・・
<語彙>
take advantage of:~につけ込む/~を利用する, collapse:(突然の)崩壊/失敗, register:記録する/達成する, tee off:(ゴルフでラウンドを)始める, trail:(獲物や目標を)追跡する, by five strokes:5打差で(cf. by+数詞+単位を表す名詞=「~の差で」, miss the train by five minutes「5分差で列車に乗り遅れる」。この by はTOEICの重要表現です。この機会に覚えちゃいましょう), flawless:完璧な/ノーミスの, claim:(自分のものであると)要求する/請求する, buoy:元気になる, sizzling:燃えるような, in a row:連続で, falter:口ごもる/よろめく, deficit:不利/赤字, card:スコアを記入する/~のスコアで終える
<和訳>
古閑美保選手は、日曜日、前日まで首位に立っていた不動裕理選手がこの最終日に突如崩れたこともあり、2007年の最終戦、日本LPGAツアーチャンピオンシップを2打差で征した。
古閑選手は不動選手を5打差で追ってこの最終日のラウンドを始めたけれども、この25歳はノーボギー67のスコアを炸裂させた。而して、この日ペアを組んでラウンドした不動選手が2オーバーの74で苦しむ中、宮崎カントリークラブで今シーズンの2勝目を自分のものとした。
土曜日の魂のこもった66のスコアに勇気づけられたからであろうか、古閑選手は2番ホールから3連続バーディーを決め(不動選手との)差を縮め始める、他方、賞金女王に就くこと過去6回の不動選手は4番ホールでこそバーディをとったもののその前後のホールでボギーを喫し失速した。
「ペアを組んだのが不動さんということもあり、スタート時点の5打差は10打差くらいに感じていました」と、トータル13アンダーの275で自己7回目の優勝を飾った古閑選手はインタビューに答えてくれた。「しかし、前半のハーフでスコアを伸ばすことができて、その時、ひょっとしたら最後までこの調子で行けるかもしれないと思っちゃいました」とも。
先週の大王製紙エリエール女子オープンで今シーズン5回目の優勝を遂げ、それによって日本のLPGA最年少賞金女王のタイトルを決めている上田桃子選手は72にとどまりトータル285の5位に終わった。(後略)
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