日本には、人柱伝説があまたあるという。
春日井市には、「十五の森」という民話として伝わっており、現在も、「十五の森跡」という市指定文化財として残っている。
散歩がてら、自宅から30分歩いた。
今は、工場の広大な駐車場の片隅。看板あり。
今からたった500年ばかり前の話なら、もう少し分別があって然るべきではないだろうか。
通りすがりの者に、そんな大事をゆだねる道理があるだろうか。
村の命運をゆだねる人柱はくじ引きで決められるべきだったのだろうか。
コロンブスが新大陸を発見したころのことである。人類にはすでに科学の視点があったはず。
この土地を治める者が責任を果たしていないのだ。偽政者。
これほど理不尽な犠牲の上に成り立つ平和など無意味だ。
この悲しい物語が今に至るまで伝承される意味が、美しい犠牲の精神ではなく、愚かな人々のつぐないで
あってほしいと願った。
目を閉じて、手を合わせた。少女の白く澄んだ心を感じた。静かな気持ちになった。