岡本健一郎さんより、標記論文の抜刷を1冊、私にも贈ってくださりました。ありがとうございます。
対馬藩領社会の17~18世紀にかけた外国船対応の体制史を、巡見使記録を分析しながら見通そうとしています。
ただ、全体的な研究動向と論述内容とを照らし合わせれば、肝腎な部分で疑問点が残りました。史料(特に、江戸時代後半における幕府通達の)に出てくる用語「唐船」をそのままイコール「中国船」と直訳してしまうのは、やや危険かなと感じます。この点に気を付けつつ史料を読みなおせば、語られる歴史像が変わってくるのでは、と思いました。
あと、論文中では、江戸時代の「じゅんけんし」を「巡検使」と表記しています。それは、近現代の国語ならば適当なのでしょうけど、近世の史料用語としては「巡見使」のほうが適当な表記でしょう。ちょうど、先日オンラインで出席した交通史学会の編集委員会でも「巡検」「巡見」の違いが話題になったばかりで、印象に残っておりました。