うたたね日記

アニヲタ管理人の日常を囁いております。

その後の話(肩たたき券Ver.)

2021年11月12日 21時09分13秒 | ノベルズ
※こちらはアスランBD記念SS「The Best present ever」の続きのオマケです。
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「カガリ、これ使いたいんだけど…」
「なんだ?」
アスランが差し出したそれは、先日誕生日にプレゼントとして渡した『肩たたき券』。
受け取ってカガリが心配そうに顔を見上げる。
「肩凝っているのか?疲れがたまっているんじゃないのか?」
散々考えた挙句に渡せた自作のプレゼントとはいえ、こんなにすぐに使いたい、と言われるとは。
(軍の上層部である以上、ただ訓練やMSの調整をするだけではなく、管理職としての責務も果たさなくてはならないし、やはり疲れがたまっているんだろうか…)
そんな彼女に彼は微笑み答える。
「そんな心配な顔しないでくれよ。ただ折角だし、ちょっとPCの作業が多かったから、なんとなく気怠くって。」
不安そうな顔を彼女にはさせたくない。
一応先日のアレは受け入れてくれた。喜ばしい限りだが、それ以降、積極的に彼女がスキンシップ―――自分に触れてくれる―――ということは全くと言っていいほどない。
アレがきっかけになって、もっと遠慮なく触れてくれるだろうかと期待していたのだが、彼女は清々しいほどブレない。全くいつもと変わらぬ接し方だった。
となると―――いつも自分からはアクションを起こしてばかりなので、彼女から自分に触れてもらうには、きっかけを作らないといけない。
何か口実を…と考えた矢先に思い付いたのは、つい2週間前に貰ったばかりのプレゼント。
(これを使えば、彼女はいやがおうにも俺に触れなくてはならなくなる…)
確信犯なのは重々承知。でもカガリはまるで気づかない。お陰で存分に彼女の方から自分に触れてくれる。
とりあえず「肩」ではあるが、首筋に、あの温かく、柔らかい手が触れてくれると思うと、それだけで電気が走ったような感覚を覚える。
それを気取られないよう、いかにも「肩が凝った」と言わんばかりに肩を抑えて軽く首をひねって見せれば、彼女の眼差しが真剣になった。
「よし、わかった。…でも…」
「『でも』?」
何を躊躇しているのだろう。もうすぐ喉から手が出るほど嬉しいご褒美が目の前にぶら下がっている状態でお預けを食らうのは何ともじれったい。
「何か頼んで困ることがあるのか?」
自分でプレゼントしてきたのに、何を今更…と、ちょっと気が急いてしまい口調が尖ってしまう。
すると彼女は慌てて首を横に振った。
「ううん、そうじゃないんだが、「どのくらいの力」で叩けばいいのかな?って思ってさ。」
「あぁ、力加減か。」
マッサージ器のように、彼女の考えの中では弱・中・強のレベルがあるらしい。
折角なら思いっきり力強く触れて欲しくって、お願いした。
「君が一番強いと思うレベルでやってくれ。」
「…いいのか?」
何だかまだ吹っ切れない彼女。ソファーに座り、背後に立つ彼女に「早く♥」と言わんばかりに自分の肩にトントンと指さす。
「ん~まぁ、お前もコーディネーターだし、普段から鍛えているから大丈夫だろう。」
俺の筋肉が凝っていると、彼女は力を相当入れないとダメと踏んだのだろうか。いきなり袖をまくって気合を入れた。
「行くぞ!せーの!」

<ズドン!>

***

翌朝、軍令部にて、
「おはようございま―――って、准将!?いかがなさったんですか!?その肩は!(゚Д゚;)」
制服の上から見事にギプスを吊っている姿に、将校たちが目を丸くする。
アスランは渋々答えた。
「…亜脱臼した…」
「はぁ!?Σ( ̄口 ̄|||)」
呆れる一同の前で、渋い顔をしたキサカがため息をついた。
「駄目だろう、カガリに肩もみなんか頼んだら…」
「キサカ一佐、何でそれを―――」
「カガリのフルパワーは、スーパーコーディネーターのキラ君でも敵わなかったこと、知らないのか?カガリに腕相撲を挑んで、彼は全戦全敗だったんだが…(※『友君』参照)」
「・・・」

(今度は「弱」で頼もう…)
明後日の空を見上げて誓ったアスランだった。←てか、まだ頼む気なんだ…(-△-;)


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