第六日
横田真人(男子800m)
中距離もまた、日本が世界のトップのレベルから取り残されていると呼ばれて久しい種目だった。1500mは男女ともに今回、B標準記録をクリアして出場を決め、男子の小林史和は準決勝進出も果たしている。女子800mは前回、日本記録保持者の杉森美保が出場を果たしたが、男子の800mはアジア大会のメダルも30年近く遠ざかっているのが現状だった。
この種目に、昨年、「新星」が出現した。慶應大1年生にして、日本選手権を制した横田真人が今年の日本選手権で2連覇を果たし、開催国枠での出場権を獲得。大舞台において、予選落ちとはいえ、自己記録を大幅に更新する1分47秒16をマーク。これは、来年の北京五輪の参加B標準記録をクリアしているのだ。
7月に、横田に敗れた社会人の第一人者、笹野浩志もB標準をクリアしたばかり。両者が競うことで、来春のトラック・シーズンには高いレベルが見られそうだ、と早くも来年が楽しみになっている種目である。
第七日
男子4×100mリレー代表チーム
(塚原直輝、末續慎吾、高平慎士、朝原宣治)
10年ぶりの日本記録更新!!思えば10年前の記録更新も世界選手権アテネ大会の大舞台だった。その時は日本新記録を出しながら予選敗退という悲運のドラマだったが、今回は、200mでは不振だった末續にとっては汚名返上の走りだったし、10年前のメンバーでもあった朝原の「鉄人」ぶりを見せつける走りだった。
うがった見方をすると、この走りが、日本代表監督である、高野進強化委員長を救ったと言えるかもしれない。(今回の日本代表の不振を受けて、彼の解任を要求する声は、少なくない。)
この日は女子20km競歩が午前中にダイジェスト放映され、録画して見たのだが、主婦向け情報番組のレギュラー陣がスタジオから競技を見つめていた。「究極のウォーキング」である競歩をダイエットを目指す主婦に普及させようというつもりだったのか?
第八日
山崎勇喜(男子50km競歩)
今大会、というよりも世界選手権24年の歴史に大きな汚点を残してしまった、男子50km競歩の誘導ミスにより失格となった山崎勇喜。
過去の大会でも、跳躍種目の判定で、「疑惑」が囁かれたケースはあった。しかし、審判のミスで開催国の選手が失格とはなんという恥ずかしい事態だろう。いや、自国も他国も関係ない。競技者に対する最悪の冒涜であり、侮辱だ。
関係者に対する批判はいろんなところで言われているが、ここまで怒りを感じるのも、生中継のレースを見ていて、すっかり競歩のレースの面白さに引きつけられたからなのだ。30℃を越える猛暑の中、自己ベストを上回るペースの先頭ランナーに食らいつく山崎の姿には魅せられたし、35kmまではメダル圏内でレースをしていたのには、興奮させられた。後半ペースダウンするも、周回遅れの明石顕(16位)や谷内雄亮(17位)が声をかけ、肩をたたき、励ます姿にも心を動かされた。
今後の五輪や世界選手権においても、男子50km競歩の生中継が実施されん事を望む次第である。
夜は男子4×100mリレーの2夜連続日本新記録で大いに盛上がった。「オール福島大」の女子マイルリレーの日本新記録も快挙だ。そして、エキジビションゆえにメダル獲得数にはカウントされないが、男子1500m車椅子レースで銀メダルを獲得した副島正純の名前も記憶したい。彼は今年の東京、ボストンの車椅子部門のチャンピオンである。ちなみに、長居競技場が満員になったのは、この日だけだったという。
第九日
土佐礼子(女子マラソン)
よもや、土佐が日本勢唯一のメダルになろうとは。もはや、世界選手権や五輪の陸上競技でマラソンが唯一のメダル、という時代は終わったと思っていた。これでは昔に逆戻りではないか。
不振とか惨敗とかで片付けられた今大会の結果だが、メダルの数だけでは評価できないのが陸上競技というものだ。そもそも「メダル5個」という目標にムリがあったのかもしれない。
自ら、「広告塔」役を買って出たアスリートたちが特に奮わなかったことを、「タレント気取り」との批判も出るのもやむを得ないと思う。陸上関係者の多くは彼らに同情的だが、「世間の目」はそれほど優しくはない。
「あんなことぎりしよるけん、勝てんのよ。ケイレンぎりしてどないすらい。」
というのが、多数派であろう。
しかし、注目度が低い間はのびのびとプレイできて、注目度が高まるとプレッシャーから萎縮していたのでは、いつまでたっても世界のトップとは戦えないのも確かだ。「声援を力に」する術を体得して欲しい。
こうして振りかえると、学生アスリートとベテランが健闘を見せている。朝原に尾方、横田に塚原に丹野らだ。短距離の学生勢の活躍は今後に向けての明るい材料と言えるかもしれない。
横田真人(男子800m)
中距離もまた、日本が世界のトップのレベルから取り残されていると呼ばれて久しい種目だった。1500mは男女ともに今回、B標準記録をクリアして出場を決め、男子の小林史和は準決勝進出も果たしている。女子800mは前回、日本記録保持者の杉森美保が出場を果たしたが、男子の800mはアジア大会のメダルも30年近く遠ざかっているのが現状だった。
この種目に、昨年、「新星」が出現した。慶應大1年生にして、日本選手権を制した横田真人が今年の日本選手権で2連覇を果たし、開催国枠での出場権を獲得。大舞台において、予選落ちとはいえ、自己記録を大幅に更新する1分47秒16をマーク。これは、来年の北京五輪の参加B標準記録をクリアしているのだ。
7月に、横田に敗れた社会人の第一人者、笹野浩志もB標準をクリアしたばかり。両者が競うことで、来春のトラック・シーズンには高いレベルが見られそうだ、と早くも来年が楽しみになっている種目である。
第七日
男子4×100mリレー代表チーム
(塚原直輝、末續慎吾、高平慎士、朝原宣治)
10年ぶりの日本記録更新!!思えば10年前の記録更新も世界選手権アテネ大会の大舞台だった。その時は日本新記録を出しながら予選敗退という悲運のドラマだったが、今回は、200mでは不振だった末續にとっては汚名返上の走りだったし、10年前のメンバーでもあった朝原の「鉄人」ぶりを見せつける走りだった。
うがった見方をすると、この走りが、日本代表監督である、高野進強化委員長を救ったと言えるかもしれない。(今回の日本代表の不振を受けて、彼の解任を要求する声は、少なくない。)
この日は女子20km競歩が午前中にダイジェスト放映され、録画して見たのだが、主婦向け情報番組のレギュラー陣がスタジオから競技を見つめていた。「究極のウォーキング」である競歩をダイエットを目指す主婦に普及させようというつもりだったのか?
第八日
山崎勇喜(男子50km競歩)
今大会、というよりも世界選手権24年の歴史に大きな汚点を残してしまった、男子50km競歩の誘導ミスにより失格となった山崎勇喜。
過去の大会でも、跳躍種目の判定で、「疑惑」が囁かれたケースはあった。しかし、審判のミスで開催国の選手が失格とはなんという恥ずかしい事態だろう。いや、自国も他国も関係ない。競技者に対する最悪の冒涜であり、侮辱だ。
関係者に対する批判はいろんなところで言われているが、ここまで怒りを感じるのも、生中継のレースを見ていて、すっかり競歩のレースの面白さに引きつけられたからなのだ。30℃を越える猛暑の中、自己ベストを上回るペースの先頭ランナーに食らいつく山崎の姿には魅せられたし、35kmまではメダル圏内でレースをしていたのには、興奮させられた。後半ペースダウンするも、周回遅れの明石顕(16位)や谷内雄亮(17位)が声をかけ、肩をたたき、励ます姿にも心を動かされた。
今後の五輪や世界選手権においても、男子50km競歩の生中継が実施されん事を望む次第である。
夜は男子4×100mリレーの2夜連続日本新記録で大いに盛上がった。「オール福島大」の女子マイルリレーの日本新記録も快挙だ。そして、エキジビションゆえにメダル獲得数にはカウントされないが、男子1500m車椅子レースで銀メダルを獲得した副島正純の名前も記憶したい。彼は今年の東京、ボストンの車椅子部門のチャンピオンである。ちなみに、長居競技場が満員になったのは、この日だけだったという。
第九日
土佐礼子(女子マラソン)
よもや、土佐が日本勢唯一のメダルになろうとは。もはや、世界選手権や五輪の陸上競技でマラソンが唯一のメダル、という時代は終わったと思っていた。これでは昔に逆戻りではないか。
不振とか惨敗とかで片付けられた今大会の結果だが、メダルの数だけでは評価できないのが陸上競技というものだ。そもそも「メダル5個」という目標にムリがあったのかもしれない。
自ら、「広告塔」役を買って出たアスリートたちが特に奮わなかったことを、「タレント気取り」との批判も出るのもやむを得ないと思う。陸上関係者の多くは彼らに同情的だが、「世間の目」はそれほど優しくはない。
「あんなことぎりしよるけん、勝てんのよ。ケイレンぎりしてどないすらい。」
というのが、多数派であろう。
しかし、注目度が低い間はのびのびとプレイできて、注目度が高まるとプレッシャーから萎縮していたのでは、いつまでたっても世界のトップとは戦えないのも確かだ。「声援を力に」する術を体得して欲しい。
こうして振りかえると、学生アスリートとベテランが健闘を見せている。朝原に尾方、横田に塚原に丹野らだ。短距離の学生勢の活躍は今後に向けての明るい材料と言えるかもしれない。
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