KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

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ボストン・マラソン展望vol.2~男子篇

2006年04月15日 | マラソン時評
'51年の“アトム・ボーイ”田中茂樹氏や'53年の山田敬蔵氏の優勝のおかげで、ボストン・マラソンや「心臓破りの丘」の名前は広く日本でも知られている。僕の世代にとっては、何と言っても、モスクワ五輪の日本ボイコットの翌年の瀬古利彦さんの優勝だろう。それが彼の「真の世界最強のランナー」の証明と受け止められたものだった。

'87年の瀬古さんの優勝を最後に、日本人は優勝から遠ざかっている。以後、男子の最高順位は'93年の谷口浩美さんの4位である。女子においても、'92年の山本佳子さんの2位が最高の結果である。

'90年代以降、ボストンの上位を独占しているのは。男子ではイブラヒム・フセイン、コスマス・デティらケニア勢である。現在は、有力ランナーをロンドンに独占されることでレベルの低下を避けるために、ケニアのランナーが一役買っているというのが実態のようである。先頭集団を独占するのはケニア人のみという展開が続いている。そんな現状にストッブをかけたのは、'01年優勝の李鳳主だった。韓国選手の優勝はなんと51年ぶりのこと(田中氏の優勝の前年)だったのだ。昨年の優勝は自己ベスト記録を防府マラソンで出しているエチオピアのハイレ・ネグシエ。同国の優勝も、'89年のアベベ・メコネン以来だった。

今年、23年ぶりのアメリカの優勝の期待がかけられているのが、アテネ五輪の銀メダリスト、メグ・ケフレジキである。エリトリアから移民してきて米国籍を取得したランナーで10000mの米国記録保持者でもある。それに絡むのが昨年優勝のハイレに、ケニア勢では'03年の優勝者のロバート・チェルイヨットに昨年2位のウイルソン・オンソレらだ。この数年、20℃を越えるコンディションが続いていて、男子の優勝タイムが2時間10分をオーバーしている。今年はどうだろうか?

日本人は'98年の犬伏孝行の10位を最後に、トップ10からも遠ざかっている。2000年以後は、'00年の前田了ニの15位が最高である。(ボストンでは15位までが入賞者として賞金が授与される。)今回、久しぶりに日本人ランナーが「招待選手(Elite Runner)」として、出場する。世界ハーフ・マラソン代表歴のある家谷和男(山陽特殊製鋼)だ。ハーフ・マラソンでは活躍が目立つ(自己ベストは1時間1分30秒。日本歴代9位である。)が、マラソンのベストは2時間12分37秒と、意外と良くない。「駅伝のエース」と言われるランナーにありがちなタイプだが、自己記録を破れたら上位入賞も見えてくる。2月の実業団ハーフでトップと同タイムで2位の体調を維持していればいいが。

毎年、青梅マラソンや勝田マラソンの上位入賞者が派遣されているが、今年はアトランタ五輪代表の実井謙二郎(日清食品)と、勝田マラソン2位の南忍(小森コーポレーション)が出場する。南は山梨学院大では、昨年の世界選手権銅メダルの尾方剛と同学年にあたる。実井は現在はプレーイング・コーチという立場だが、今年の青梅30kmで1時間31分45分という記録は、3年前に優勝した時のタイムよりもいい。
フルマラソンは久しぶりになるが、宗猛さんが持っている「37歳の日本最高記録」である2時間13分58秒を目指して欲しいものだ。

ちなみに彼は、名古屋国際女子で優勝した弘山晴美と同年齢である。



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