KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

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あなたもマラソン・ランナーになれる・・・わけではない vol.3~はじめに、シューズありき

2008年11月29日 | あなたもマラソンランナーになれる
ネタはいくらでもある、と豪語していたのに、更新が遅れてしまい申し訳ありません。今回くらいでそろそろ、これから走ってみようと思う方々に対して実用的な内容のことを書いてみようと思う。

16年前の初夏、走り始めた僕がはいていたのは、自宅の下駄箱の中から引っ張り出した、白い運動靴だった。少なくとも、それはランニング・シューズではなかった。おそらくは安価なテニス・シューズだったと思う。ちなみに、20代の僕が最も好んではいていたのは米国C社の黒いバスケット・シューズだった。

その後買ったシューズ、今考えるとおかしいが、当時の職場の近所のスーパーマーケットで、ワゴンに山積みされて売られていたシューズだった。値段は780円!紐の代わりに、マジック・テープが使われていた。そんなシューズで、半年で3回も10kmのレースに出場したのだから、無茶もいいところである。

日記によると、初めて、ランニング専用のシューズを買ったのは'93年の3月25日。日本陸連御用達のÅ社のランニング・シューズに初めて足を通して、路上を走った時の快感は忘れられない。そうか、これなんだ!それまで使っていたシューズが10足は買えそうな値段だったが、これが本当の「ランニングの快感」だなと思った。まるで足に羽根が生えたかのように、自分の身体が前へと移動していく、その感じは子供の頃の体育の授業や部活等では味わったことがなかった。

その頃には読むようになっていた、ランニング情報誌で、
「安価なシューズは買わないように。」
という記事を読んではいたが、本当だった。

そんなわけで、結論から言うと、

「とにかく、いいシューズを買うように。」

という事をお勧めする。案外多いのがバスケット・シューズやテニス・シューズ、もしくはエアロビクス・シューズでジョギングを始める人。これはやめて欲しい。
やはり、ランニング用のシューズをはくべきである。

ランニング・シューズもさまざまである。どのようなものを買えばいいか。少なくとも、有名ランナーの使用しているシューズを作っているメーカー、前述のÅ社にM社、海外では「エアソール」でおなじみのN社、リディア・シモンが大阪国際女子で初優勝後に売れ行きが急増したNB社、サッカーでおなじみの三本ラインのA社、などの製品は間違いない。予算は、定額給付金と同額くらいならいいものが買えるだろう(いつ支給されるのだろうか?)

ただ、膨大なシューズの中から、自分に合ったシューズを見つけるのは大変、難しい。

「シューズなんて、どれも似たようなもんだろう。」

と高をくくっていると痛い目に遭う恐れがある。

実例を挙げよう。今年になって、「銅メダリストの妻」として脚光を浴びたシンクロナイズド・スイミングのメダリストが、引退後、テレビ局の企画でフルマラソンにチャレンジしたのだが、シューズを選ぶ際に、
「マラソン用のシューズをください。」
と言って、トップ・レベルの競技者が愛用する軽量シューズを買ってしまい、それを使用していて足を故障してしまったという話を聞いたことがある。そのシューズの商品名に「マラソン」という名称が使われていたからである。

正直、店員さんは何も言わなかったのかなと思ったが、まず、シューズを買うのなら、当然の話だが、スポーツ用品店で買って欲しい。スポーツ用品店もさまざまだが、少なくとも、入り口に地元のマラソン大会のポスターや、参加申し込み書を常備している店ならば安心である。店長ないし、従業員がランニングについての知識を持っていそうだし、どんなシューズを選ぶべきか、適切なアドバイスが期待できる。

シューズ選びの基本をいくつか紹介しておこう。まず、初心者は軽量シューズは選ばないこと。だいたい、400g前後の底が厚めのものを選ぶこと。先のメダリストの奥さんが選んだ軽量シューズは約150g前後である。初心者はたいてい、脚筋力も未発達のうえ、体重も重い。初心者用のシューズとして、もっとも求められるのは、脚そのものの保護機能である。

次に、必ず1度はシューズに足を通してみる。出来れば、紐も通してみるとよい。サイズはだいたい爪先に1cmくらい余裕を持たせる。かつて僕は27cmのシューズを履いていたが、ランニング・シューズは28cmのサイズを購入している。長い距離を走っていると、足は膨張してくるからだ。同じサイズでもモデルによっては足幅のサイズが異なるものもあるので、要注意。もし、あなたの家族や恋人が、ランニングを趣味としているとして、クリスマスにシューズをプレゼントしようと考えていらっしゃるのなら、それはお勧めできない。せっかくのプレゼントが仇になるリスクが大だからだ。スポーツ専門店でも使用できる商品券を送るか、それが味気ないと思うなら、一緒に買い物に行くのがいいだろう。帰りには、一緒に食事でもすれば、ハッピーなクリスマスになるだろう。

1度だけ、足を合わさずにシューズを買ったことがある。'90年代、僕にとって「アイドル」だった、マルティン・フィスと契約していたR社のレース用のシューズ、地方のスポーツ用品店では取り扱っておらず、やむを得ずメーカーに直接注文して、入手したのだ。幸い、そのシューズは僕の足に十分フィットしたが、あまりお勧めはできない。

僕が定期購読しているランニング情報誌でかつては、シューズの特集をよく組んでいた。初心者から、上級者まで、タイプ別に各メーカーのシューズを分類して、幅広く紹介していた。最近はシューズに関する記事というと、特定のメーカーとタイアップした、所謂パブ記事的なものばかりで、かつてのような「暮らしの手帖」的な記事が見られなくなったのが残念である。印刷会社に長年勤務していたので、雑誌制作の裏事情は知っているので批判がましい事は言えないが。

今なら、ネットで前述のメーカーのオフィシャル・サイトを検索して、シューズの情報を得ている人も少なくないだろう。雑誌が売れにくくなるはずである。

ともあれ、自分の足にフィットしたシューズを見つけるのはけっこう難しい。あるランニング・クラブの主宰者が、
「まるで、恋人選びのようなもの。」
とギャグめかして語っていたが、それだけに、長く付き合えるパートナーとめぐり合えた時の感動は大きい。

「どうせ3日坊主で終わるかもしれないから、高価なものを買ってももったいない。」
と思ってらっしゃる方は、きつい事を言うようだが、初めからそのような気持ちをお持ちなら、
「ランニングなどお止めなさい。」
と言っておく。他の物の充てる費用を削ってでも、いいシューズを買って欲しい。

余談であるが、今年の5月に父親が亡くなり、四十九日の法要は梅雨入りした蒸し暑い時期だった。僕は冬用の厚手の礼服しか持っておらず、喪主である兄から

「お前は靴ばかり高いもの買ってるくせに、夏の礼服も持ってないのか!」

と叱られて、前日に慌てて、安売りの紳士服店で特価品を買いに行ったのである。

まあ、これは極端な例だが、それこそウェアは、着古しのTシャツや部屋着代わりに着ているジャージで十分だ。これからの季節なら手袋が必要だろう。いきなり、気合を入れて、シューズもウェアも買い揃えようとしているなら、ウェアを買う予算でもう一足、別のメーカーのシューズを買うことをおすすめする。

シューズの話はいくらでもできるので、次回もシューズの話をする予定である。



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