KANCHAN'S AID STATION 4~感情的マラソン論

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「世界陸上」雑感vol.4~男子マラソンの「復権」

2005年08月19日 | 五輪&世界選手権
「また、今度も良くて5位止まりか。」

29km手前で、6人に絞られた先頭集団の中に残った高岡寿成が30km過ぎて脱落していった時、誰もがそう思ったに違いない。その高岡をタンザニアのラマダーニとともに追いぬいて行った、白い帽子を被った尾方剛の走りが、しぼみかけた希望を大きく膨らませた!!

マラソンは2時間を越える長丁場だが、その中に何度か、輝くような瞬間がある。尾方が高岡を抜き去る瞬間、その高岡がレース終盤、4位に浮上していたところをカメラが捕らえた瞬間、言葉にならぬ胸のときめきを覚えた。

30km過ぎてからの、尾方とタンザニア、エチオピアのランナーたちによる目まぐるしい2位争いは、久々に日本の男子ランナーが世界の大舞台で見せた、たくましき姿だった。もしかしたら、先頭をひた走るガリブを捕らえるのではないかという希望も抱かせた。

3大会、6年ぶりの銅メダル。高く評価したい。難くせをつけるのはたやすいことだ。ガリブに2年前と同じ勝ち方を許した事を責める向きもあるだろう。しかし、今回のメダル獲得は一つのきっかけになると思う。

国際大会3大会連続5位の油谷繁。前回ともに代表を走った、佐藤敦之。中国電力のチーム・メイトがこのレースに刺激を受けるであろう。
既に佐藤は10月のシカゴ・マラソン、油谷は来春のロンドン・マラソンへの出場を表明している。

さらに、今回の代表選考レースであった昨年の福岡で尾方に次いで2位でゴールした、山梨学院大の後輩、大崎悟史は来月のベルリン・マラソンにエントリーしている。昨年のアテネ五輪代表の諏訪利成、国近友昭もうかうかしていられないと思っただろう。アテネ五輪の選考レースで後塵を浴びせた尾方がメダルを獲得したのだから。

そう、うかつにも忘れていたのだ。尾方もアテネ五輪代表の有力候補でありながら、選考レースで、自己ベストを更新しながら、高岡に次いで日本人4番目の成績に終わり涙を飲んでいたことを。アテネに行けなかった悔しさを乗り越えて、ヘルシンキのスタート・ラインに立ったのは、高岡だけでは無かったのだ。

今秋以降のマラソンが本当に楽しみになってきた。思えば6年前、佐藤信之がセビリアで銅メダルを獲得した1ヶ月後のベルリンで、犬伏孝行は日本最高記録を樹立したのだった。

僕の予測は8割方は当たった、と言えるだろうか。高岡と尾方の上位を予想したが、尾方の日本人トップの可能性もあると見ていた。ためらう必要はなかった。やはり、経験に勝る選手が有利だった。

女子も原裕美子と弘山晴美が上位、という予想は的中できた。しかし、尾方が銅メダルを獲得した時点で、
「男子の順位が女子を上回る」
という予想は、外れて欲しかったのだが、それまでもが的中してしまった。



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