今、マラソンというのはブームなのだそうである。その元は、昨年の東京マラソンなのだという。
今年も3万人の定員に対して、15万人もの応募があったという。何なんだろうこれは?
ほんの10年ほど前である。某大手広告代理店のイベント・プロデューサー氏が、
「マラソン大会は沿道のギャラリーからお金を取れないから、経済効果が大して見込めない。」
と語っていたなんて夢のような話である。そうだ、ブームというのは「経済効果」を発生させるもののことなのだ。
(先日、あるテレビで言っていたが、「静かなブーム」という言葉は、たいていは流行っていないものをさも流行っているものであるかのように紹介する時に使う言葉らしい。)
気がつけば、もう15年もマラソンに関わっている僕だが、今更ブームだとか言われても、なんとなく居心地の悪さを感じている。今朝のニュース・ショーで、東京新聞の記事を紹介していたが、人気漫画のドラマ化で起こったクラシック音楽のブームの「副作用」で、コンサート会場でやたらとマナーの悪い、若い客が増えて、あちこちでトラブルが起こっているのだという。ブームというのはそういうものである。
さて、東京マラソン。3万人ものランナーが新宿の都庁をスタートして、ビッグサイトにゴールする一大イベントであると同時に、実は北京五輪の男子マラソン代表選考レースであるのだが、皆さん、知っていますか?
と聞きたくなるほど、「選考会の部」についての報道が少ない。いかに、男子のマラソン代表に世間の関心が薄いかという現実を見たような気がする。
4年に1度、女子のマラソン代表は何かと物議を醸すが、今回は男子の代表争いの方が熾烈だ。世界選手権5位の尾方剛、福岡国際3位の佐藤敦之が現在の有力候補だが、他の有力候補、アテネ五輪5位の油谷繁、日本記録保持者の高岡寿成、日本歴代2位の藤田敦史が惨敗に終わり、彼らが皆、五輪への再チャレンジを断念してしまった。
掌中のメダルをみすみす逃すような、あまり褒められたレース展開ではなかったという評価もあるが、世界選手権5位の尾方は、過去の実績という部分ではアドバンテージを持っている。何と言っても今世紀初の世界選手権のマラソンのメダリストだ。福岡4位の松宮祐行よりも代表に近いと僕は見ている。
東京、もしくはびわ湖を走るランナーが代表の座を得るためには、まず、優勝すること。優勝を逃したとしても、2時間9分以内のタイムを出すこと。もし、この2つの大会で2時間7分を切る日本人ランナーが3人出たら、佐藤までもが代表枠から外れるだろうが、その可能性はゼロではないが、低いと言わざるを得ない。
最有力候補は、諏訪利成だ。アテネ五輪6位以降、ロンドン、福岡、世界選手権全てに入賞している。今にして思えば、昨年の世界選手権に入賞した3人の日本人ランナー、尾方に諏訪にびわ湖にエントリーしている大崎悟史、いずれも「よく似たタイプ」のランナーだったのだ。優勝には手が届かなくても、8位以内の入賞は確実にモノにする。しかし、ここは優勝という結果を残さないと代表の座は厳しいだろう。
他の有力候補としては昨年3位の入船敏、五輪代表独占を目論む中国電力の梅木蔵雄、史上最年長のマラソン代表を狙う39歳の実井謙二郎、三菱重工長崎初のサブ10&メジャー大会初優勝を狙う原和司、モスクワ五輪幻の代表、喜多秀喜さんの甥、喜多健一、一般参加では、昨年の北海道マラソンに初マラソンで2位の高見澤勝、久しぶりのマラソンにチャレンジする加藤剛らに注目している。
海外勢も強力だ。昨年優勝のダニエル・ジェンガに北海道優勝のジュリアス・ギタヒの仙台育英高校OBコンビが優勝争いの中心となるかと見ていたが、気になるのは彼らの母国、ケニアの政情不安。日本でトレーニングを続けている彼らは身体的には大きな影響はない(有力なランナーが負傷したという情報もある。)だろうが、メンタル面で競技に集中できなかったという部分もありそうで、それがレースにどう影響するだろうか。むしろ、世界選手権銅メダルのヴィクトル・ロスリン、アテネ五輪4位で、国籍を英国からカナダに移したジョン・ブラウンが手強いと思える。彼らに勝てなければ、代表は手にできないという気持ちで走って欲しい。
それにしても、昨年も感じたことだが、中国や韓国からの招待選手がいないのは、都知事の「趣味」と関係あるのかどうか。
さて、日曜日にこのマラソンを走る予定のビギナー・ランナーも今、このサイトを読んで下さっているかもしれない。先にマナー云々について触れたが、余計なことと思われるのを承知で、いくつか、アドバイスを。
1.トイレ(大)は、自宅、もしくはホテルを出発する前に済ましておくこと。トイレ(小)が近くなるので、スタート前にカフェイン入りの飲料(コーヒー、お茶等)は摂らないこと。
2.レース中はイヤホンで音楽を聴かないこと。大人数の大会においては大変危険です。沿道のギャラリーの声援と拍手、そしてランナーたちの息遣いと足音に勝るBGMはありません。
3.エイド・ステーションのバナナは1人1本と心得ること。できれば、4時間以内のゴールを目指す人は取らないこと。一番必要なのは、4時間以上かけてゴールするランナーであるから。
スタートラインに立つ、全てのランナーの健闘を祈ります。
今年も3万人の定員に対して、15万人もの応募があったという。何なんだろうこれは?
ほんの10年ほど前である。某大手広告代理店のイベント・プロデューサー氏が、
「マラソン大会は沿道のギャラリーからお金を取れないから、経済効果が大して見込めない。」
と語っていたなんて夢のような話である。そうだ、ブームというのは「経済効果」を発生させるもののことなのだ。
(先日、あるテレビで言っていたが、「静かなブーム」という言葉は、たいていは流行っていないものをさも流行っているものであるかのように紹介する時に使う言葉らしい。)
気がつけば、もう15年もマラソンに関わっている僕だが、今更ブームだとか言われても、なんとなく居心地の悪さを感じている。今朝のニュース・ショーで、東京新聞の記事を紹介していたが、人気漫画のドラマ化で起こったクラシック音楽のブームの「副作用」で、コンサート会場でやたらとマナーの悪い、若い客が増えて、あちこちでトラブルが起こっているのだという。ブームというのはそういうものである。
さて、東京マラソン。3万人ものランナーが新宿の都庁をスタートして、ビッグサイトにゴールする一大イベントであると同時に、実は北京五輪の男子マラソン代表選考レースであるのだが、皆さん、知っていますか?
と聞きたくなるほど、「選考会の部」についての報道が少ない。いかに、男子のマラソン代表に世間の関心が薄いかという現実を見たような気がする。
4年に1度、女子のマラソン代表は何かと物議を醸すが、今回は男子の代表争いの方が熾烈だ。世界選手権5位の尾方剛、福岡国際3位の佐藤敦之が現在の有力候補だが、他の有力候補、アテネ五輪5位の油谷繁、日本記録保持者の高岡寿成、日本歴代2位の藤田敦史が惨敗に終わり、彼らが皆、五輪への再チャレンジを断念してしまった。
掌中のメダルをみすみす逃すような、あまり褒められたレース展開ではなかったという評価もあるが、世界選手権5位の尾方は、過去の実績という部分ではアドバンテージを持っている。何と言っても今世紀初の世界選手権のマラソンのメダリストだ。福岡4位の松宮祐行よりも代表に近いと僕は見ている。
東京、もしくはびわ湖を走るランナーが代表の座を得るためには、まず、優勝すること。優勝を逃したとしても、2時間9分以内のタイムを出すこと。もし、この2つの大会で2時間7分を切る日本人ランナーが3人出たら、佐藤までもが代表枠から外れるだろうが、その可能性はゼロではないが、低いと言わざるを得ない。
最有力候補は、諏訪利成だ。アテネ五輪6位以降、ロンドン、福岡、世界選手権全てに入賞している。今にして思えば、昨年の世界選手権に入賞した3人の日本人ランナー、尾方に諏訪にびわ湖にエントリーしている大崎悟史、いずれも「よく似たタイプ」のランナーだったのだ。優勝には手が届かなくても、8位以内の入賞は確実にモノにする。しかし、ここは優勝という結果を残さないと代表の座は厳しいだろう。
他の有力候補としては昨年3位の入船敏、五輪代表独占を目論む中国電力の梅木蔵雄、史上最年長のマラソン代表を狙う39歳の実井謙二郎、三菱重工長崎初のサブ10&メジャー大会初優勝を狙う原和司、モスクワ五輪幻の代表、喜多秀喜さんの甥、喜多健一、一般参加では、昨年の北海道マラソンに初マラソンで2位の高見澤勝、久しぶりのマラソンにチャレンジする加藤剛らに注目している。
海外勢も強力だ。昨年優勝のダニエル・ジェンガに北海道優勝のジュリアス・ギタヒの仙台育英高校OBコンビが優勝争いの中心となるかと見ていたが、気になるのは彼らの母国、ケニアの政情不安。日本でトレーニングを続けている彼らは身体的には大きな影響はない(有力なランナーが負傷したという情報もある。)だろうが、メンタル面で競技に集中できなかったという部分もありそうで、それがレースにどう影響するだろうか。むしろ、世界選手権銅メダルのヴィクトル・ロスリン、アテネ五輪4位で、国籍を英国からカナダに移したジョン・ブラウンが手強いと思える。彼らに勝てなければ、代表は手にできないという気持ちで走って欲しい。
それにしても、昨年も感じたことだが、中国や韓国からの招待選手がいないのは、都知事の「趣味」と関係あるのかどうか。
さて、日曜日にこのマラソンを走る予定のビギナー・ランナーも今、このサイトを読んで下さっているかもしれない。先にマナー云々について触れたが、余計なことと思われるのを承知で、いくつか、アドバイスを。
1.トイレ(大)は、自宅、もしくはホテルを出発する前に済ましておくこと。トイレ(小)が近くなるので、スタート前にカフェイン入りの飲料(コーヒー、お茶等)は摂らないこと。
2.レース中はイヤホンで音楽を聴かないこと。大人数の大会においては大変危険です。沿道のギャラリーの声援と拍手、そしてランナーたちの息遣いと足音に勝るBGMはありません。
3.エイド・ステーションのバナナは1人1本と心得ること。できれば、4時間以内のゴールを目指す人は取らないこと。一番必要なのは、4時間以上かけてゴールするランナーであるから。
スタートラインに立つ、全てのランナーの健闘を祈ります。
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