落葉松亭日記

ニュース・評論スクラップ、凡夫の日々雑感、山歩記など

お金の世界

2011年11月07日 | 世相
リーマンショックから、円高、ユーロの崩壊・・・
一生懸命働いてできた、なけなしのお金を金利ゼロに近い預金よりも少しでも配当があると見込んで投資信託したが、今や半分近くに含み損。
お金がお金を産むというのがそもそもおかしかったと仰るのね。
お金の世界もこれまでか? これまでにしたいが・・・(武田邦彦ブログ)
http://takedanet.com/2011/11/post_866e.html

あのリーマンショックが3年前、それからというもの、ヨーロッパ通貨危機、アメリカ信用不安、円高、ギリシャ経済危機・・・「お金」というのはもともと「主役」ではなく、生活をより円滑にするための道具なのに、いつのまにか私たちはお金に振り回されています。

お金を扱い、それに失敗し、大きな事件になり、それが報道され、国が崩壊し、インフレになり、生活が困窮する・・・いったい、何をやっているのでしょうか?

そう、リーマンショックに始まったものではありません。石油ショック、バブルの崩壊、銀行倒産、年金騒動、少子化対策、排出権取引、郵政民営化、エコポイント、赤字国債、高速道路無料化、消費税増税、・・・どれもこれもお金にまつわるものばかりです。

でも、この理由は簡単で、もともと脇役だった「お金」を取り扱う人が増え、権力を持ち、複雑にし、自作自演で騒動を演じているということなのです。ものがあるだけ交換価値としてのお札を刷り、銀行は普通預金だけ、国債は止めて税金だけ、額に汗した分だけ給料を貰う・・・という単純なお金の役割に徹すれば、私たちはこれほど「マネー」に振り回されることはないし、TPPも消え失せるでしょう。
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もし、お金が主役でなければ「石油ショック」は起こりませんでした。石油はまだまだ1000年はあるのに、1バレル2ドルを30ドルまであげようと「石油は残り40年」などとでっち上げの情報を流したのです。

すでに「石油の残りは40年」と言ってから40年が経った2010年、世界の権威は「石油はあと43年」と発表するではありませんか!人をバカにするのもほどがあります。石油が無くなると聞いて、どれほどビックリしたでしょうか? それが「お金目当て」だったとは! 

少子化対策もそうです。子供を持つかどうか、人数は?というような人生や家庭に関わることは「お金」とは本来関係が無く、どうしたら充実した幸福な人生を送ることができるかということです。それがいとも簡単に「年金が不足するから少子化対策」ということになるのですから、哀しいものです。

高速道路だって無料化できるはずはないのです。建設にも管理にも修理にもお金がかかるのですから。だから、この問題は単に「利用者が払うか」、「税金で払うか」の差があるだけなのに、なにか「空からお金が降ってくる」という感じで多くの人が民主党に投票したような感じすらします。
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お金の社会はそれほど昔からあったわけではありません。生活でお金が大切になったのは、明治以後ですし、ヨーロッパでも200年ほどの歴史しかありません。どんなに昔にさかのぼってもせいぜい、500年です。

だから「お金の社会」、つまり「貨幣経済」は本当は人間社会を不幸にし、害になるものなのかも知れないのです。

日本国憲法は「勤労の義務」を定めていますが、その心は「日本人が豊かな生活をするためには、家もいるし、道路も、自動車も、食べるものもいる。だから、お金がある人でも無い人でも、それとは関係がなくみんなで働き、みんなが要るものを準備しようではないか」という共同体思想です。

「額に汗してみんなで働き、安心した生活をする」、「ずるい人もいるから、一応、お金で換算しながら生活をする」というぐらいなら、リーマンショックなどが起こるはずもありません。いわゆるマネーゲームをして、実質的になにも働かず、大もうけするような社会だから、次から次へとお金に振り回されているのです。

タイの洪水もそうです。本来なら洪水に見舞われた人たちが可哀想だという話題になるのに、「日本企業がどうだ、お金がどのぐらい損した」という話ばかりです。原発の事故もお金まみれで、お金が主役でなかったら、もちろん石炭を焚き、安心して電気を使っていたでしょう。銀行、証券会社、税務署、経理事務、伝票整理、経済学者、財務省・・・お金にまつわる仕事をしている人が、お金のシステムを簡素にして30%を5%にすれば、日本人のほとんどが「真に必要なこと」をするので、より豊かで安心した生活ができるというものです。

(このブログが現代では遠く離れた話であることは承知しています。また、お金が創造的な仕事を実現したり、銀行券を印刷するだけで景気が良くなる可能性もあります。でも、本来、創造的な仕事を進めるために大切な役割を果たしていた銀行が、本来の役割を果たせなくなったことなど、やはり私たちは間違っていると思います。お金全廃ではなく、お金のシステムの簡素化が急がれます。金融界の方は手をこまねいているように見えますが、奮起を期待します。)
(平成23年11月6日) 武田邦彦