落葉松亭日記

ニュース・評論スクラップ、凡夫の日々雑感、山歩記など

歯止めなし対中支出

2012年03月08日 | 政治・外交
中国ハルバ嶺の遺棄化学兵器処理事業はあの河野談話の主・河野洋平氏が深く関わった。
これらの化学兵器は遺棄したものではなく、日本軍が武装解除されたとき中国軍やソ連軍に「引き渡された」もの。「兵器引継書」「引渡兵器目録」も国内の山形県シベリア資料館や防衛省に保存されている。

政府は『引き渡したことを明確に証明する書類は依然、見つかっていない』と言い続け、延々とこれからも事業を続けるという。
これまで、この事業が縮小、建設見送りされた時期があったにもかかわらず復活し、依然として続くのはなぜだろうか。
すでに861億円…際限なき対中支出に歯止めを 2012/03/03 09:55
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/diplomacy/547962/

 【土・日曜日に書く】
 ◆処理事業を10年再延長
 旧日本軍が中国に遺棄したとされる化学兵器の処理事業で、日中両政府は先月16日、化学兵器禁止機関(OPCW、本部=オランダ・ハーグ)に対し、処理期限を10年後の平成34(2022)年まで再延長することを申請し、受理された。

遺棄化学兵器処理、10年間再延長
【産経抄】2月18日
 この事業は化学兵器禁止条約(CWC)に基づき、12年9月から始まった。当初は発効から10年の19年が完了期限だったが、5年間延長され、それでも完了の見通しが立たないための再延長だ。
 これまでに4万8千発の遺棄化学兵器を発掘し、3万6千発の廃棄を終えた。しかし、大量に遺棄されたとされる吉林省ハルバ嶺には、まだ30万~40万発が残っているといわれる。
 今回の日中間の合意には、ハルバ嶺での廃棄計画を3年以内に作成することも含まれているが、このペースだと、事業がいつ完了するかのメドは全く立っていない。日本はすでにこの事業に861億円を投じ、24年度予算案にも208億円を計上している。際限のない中国への税金の支出が延々と続くことが懸念される。

 ◆河野洋平氏が深く関与

 この遺棄化学兵器の問題には、宮沢喜一内閣の官房長官で村山富市内閣の外相を務めた河野洋平氏が深くかかわっている。
 化学兵器禁止条約は、イペリット、ホスゲンなどのいわゆる“毒ガス”兵器の開発、製造、貯蔵、使用の禁止を目指したものだが、中国の強い希望で「廃棄条項」(第1条3項)が盛り込まれた。世界で化学兵器の遺棄を認めている国はなく、事実上の「日本専用条項」ともいわれた。
 終戦時、旧日本軍はほとんどの化学兵器を中国軍や旧ソ連軍に引き渡しているはずで、「遺棄」には当たらないとの見方が政府内にあった。しかし、河野氏は旧日本軍が引き渡したことを証明する書類がないとして、中国に有利な処理策を推し進めた。

 日本は宮沢内閣の5年1月、この条約に署名し、村山内閣の7年9月に批准した。さらに、小渕恵三内閣の11年7月に締結された遺棄化学兵器処理に関する日中覚書は、日本が処理費用をすべて負担し、将来の事故も日本が補償するという内容だった。

 ◆引き渡した文書を発見

 だが、その後、旧日本軍が中国軍や旧ソ連軍に化学兵器を引き渡したことを証明する資料が、月刊誌「正論」編集部やジャーナリストの取材で次々と見つかった。
 山形県のシベリア資料館に、中国で日本軍が武装解除された際に引き渡した化学兵器を含む武器・弾薬類を詳細に記した「兵器引継書」が600冊残っていた。
 防衛省の防衛研究所には、日中両政府が化学兵器の「あか筒」や「みどり筒」を台湾で中国軍に引き渡したことを記した「引渡兵器目録」が保管されていた。
 終戦後、中国大陸で旧日本軍が化学兵器を引き渡したことを示す「支那方面艦隊引渡目録」など3点の文書が防衛研究所に保管されていることも明らかになった。

 化学兵器をめぐる訴訟でも、化学兵器が旧日本軍製でないとする証拠が示された。


 1974、82、95年に中国・黒竜江省で起きた遺棄化学兵器による3件の事故をめぐる訴訟で、1審・東京地裁は国に1億9千万円の支払いを命じた。国側は、うち1件の事故原因となったイペリット入りのドラム缶が旧日本軍のものより一回り大きく、旧日本軍製にはないアルファベット文字の表記があることを突き止め、平成16年4月の控訴審第1回口頭弁論で、「旧日本軍の兵器とする証拠は十分ではない」とする控訴趣意書を提出した。

 ほかにも同種の訴訟が継続しているが、この訴訟は中国人原告の敗訴が確定している。
 18年2月の衆院内閣委員会で、当時の内閣府遺棄化学兵器処理担当室長は「正式に中国やソ連に化学兵器が引き渡されたという文書が発見されれば、基本的な枠組みが変わってくる」と答弁した。

 しかし、政府は今も、「引き渡したことを明確に証明する書類は依然、見つかっていない」と言い続けている。
 遺棄化学兵器処理事業で日本が中国に払い続けなければならない費用は、償還が前提の円借款と異なり、無償援助に近い。しかも、総額は皆目、見当がつかない。
 処理事業が予想以上に困難であることが分かり始めた17年ごろ、「処理事業が長期化すれば、1兆円規模の巨大プロジェクトになる」「第2のODA(政府開発援助)になるのではないか」との指摘もあった。その懸念が現実のものとなりつつある。際限のない中国への支出に歯止めをかけるため、事業の見直しが急務である。(論説委員・石川水穂)