2009年オバマ氏が米国初の黒人大統領として登場した。
人種差別が顕著な米では画期的なことと印象的であったが、実はその人種差別が相変わらずだという。
■「加瀬英明のコラム」メールマガジン 2015/05/13
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戦後70年を経ても変わらない米国の人種差別
戦後70年に、日米戦争の原因について考えたい。その1つが、人種差別にあった。
昭和天皇が敗戦の翌年に、対米戦争の原因について、つぎのように述べられている。
「この原因を尋ねれば、遠く(大正8年のパリ講和会議に)日本の主張した人種平等案は列国の容認する処(ところ)とならず、黄白の差別感は依然残存し加州移民拒否の如きは、日本国民を憤慨させるに充分なものであった。
かゝる国民的憤慨を背景として、軍が立ち上つた時に、之を抑へることは容易な業(もの)ではない。
(『昭和天皇独白録』)
平成12(2000)年に、拓殖大学が創立100周年を祝った。
今上天皇が記念式典に臨席された時のお言葉のなかで、「校歌には青年の海外雄飛の志とともに、『人種の色と地の境 我が立つ前に差別なし』と、うたわれています。
当時、多くの学生が、この思いを胸に未知の世界へと、大学を後にしたことと、思われます」と、述べられた。
父・天皇の想いを、語られたにちがいない。
太平洋戦線で、アメリカのほとんどの部隊が日本人を蔑視して、投降する兵や、負傷兵を見境なく虐殺した。
そう聞かれると、驚く読者もおられようが、チャールズ・リンドバーグの『第二次大戦参戦記』(学研文庫)、マサチューセッツ工科大学(MIT)のジョン・ダワー教授の『容赦なき戦争(ウォア・ウィズアウト・マーシー)』(平凡社)をはじめとする、多くの著作に克明に描かれている。
アメリカ兵が沖縄戦で住民を虐殺したことが、イギリスの歴史作家M・ヘイスティグスの『日本との戦い 1944―5年』(ハーパース、未訳)に、取りあげられている。
ノース・カロライナ大学のG・ホーン教授の新著『人種戦争(レイス・ウオア)』(6月に祥伝社から刊行)によれば、トルーマン大統領がホワイトハウスで「神は白人を土から創り、黒人(ニガー)を屑から創った。その残りが、シナ人(チャイナマン)だ。神はシナ人(チャイナマン)とジャップが大嫌いだ。私もだ。人種差別だが、私は黒人(ニガー)はアフリカへ、黄色(イエローメン)のはアジアにいるべきだと強く主張する」と語った。
アメリカは日本について、まったく無知だった。そのよい例が、戦争中にアメリカ政府の委託によって、人類文化学者のルース・ベネディクトが、日本の国民性について研究した『菊と刀』である。
ベネディクトは日本語もできず、日本を訪れたこともないが、日系アメリカ人を拘禁した収容所をまわって調査し、西洋が内面の「罪の文化」であるのに対して、日本は外面だけを飾る「恥の文化」だと、結論づけた。
私の母方の祖母は、会津若松の武家の血を享けていたが、少年時代に祖母から「心に心を恥じる」とか、「自分の心を証人として生きなさい」と、教えられた。
日本でベネディクトの『菊と刀』を崇める向きが少なくない。自国について蒙昧なのだ。
アメリカの日本知らずは、今日も変わらない。
ベネディクトが似非(えせ)学者なら、日本にもその男版がいた。
私は有斐閣の昭和47年初版の『六法全書』を、所蔵している。我妻栄東京大学教授が編集代表として、編纂したものだ。日本が独立を回復して20年後に刊行されたというのに、憲法篇の扉にアメリカ独立宣言文が、全文、英語と日本語で載っている。
「われわれは、次の真理を自明なものと考える。すなわち、すべての人間は、平等に造られている。彼らは、その造物主によって一定のゆずり渡すことのできない権利を与えられている‥‥」から、始まる。
アメリカ独立宣言は、アメリカ3代大統領となったトマス・ジェファーソンが起草したが、南部の荘園主で、奴隷主だった。「すべての人間」というのは、白人だけのことだ。
アメリカ独立宣言文は、鞭打たれる黒人たちの悲鳴を聞きながら、書かれたものだった。
Andyの国際ニュース解説 2015/05/16
http://melma.com/backnumber_53999/
No.541
アメリカは差別社会
長い旅行から戻ってきて五日目、まだひどい時差ボケが解消してい
ない。一時間の時差を直すには一日かかると言われているが台湾と
ロスには15時間の時差があるから時差ボケを直すには15日かかる
わけだ。
アメリカに戻ってすぐに感じたことはアメリカが差別社会であるこ
と、そしていろいろな差別はオバマが政治的に拡大したと思われる。
オバマは差別問題を政治と選挙に利用して本来からあったアメリカ
社会の二極化を更に大きくしたと思う。
ちょうど「頂門の一針」3660号に加瀬英明氏の「相変わらず米国の
人種差別」という記事が載っていたが、米国の差別問題は人種問題
だけでない。現在の差別問題は黒人主義者のオバマが大統領になっ
てから差別を政治に利用するからである。
来年の選挙を控えてオバマと民主党は選挙対策として人種だけでな
くいろいろな差別を政治的に利用する傾向がある。共和党の大統領
候補は差別問題よりも経済、国際問題、テロなどを討論しているが、
民主党側の唯一の候補者ヒラリー・クリントンは女性問題や黒人差
別、貧富の格差などを挙げている。
●差別問題の重要度
アメリカには差別問題がたくさんあるが、その最たるものが黒人問
題である。ある評論家は差別問題について、アメリカの差別問題は
その社会における重要性で6つあると言う:(1)黒人問題、(2)
同性愛者、(3)ラティノつまり南米系移民と違法移民、(4)女性
差別、(5)貧富の格差、(6)最後にユダヤ人とアジア系人だが、
これは殆ど問題ではないという。なぜこれらが問題かというと、オ
バマを始め、民主党がこれらを選挙に利用するからだ。
今のアメリカでは黒人とラティノを合わせた人口が白人人口を上回
り、これに同性愛者、女性差別などに迎合する言論を発表すれば選
挙に勝つと言う。白人の発言力が低下しているのだ。
アメリカの政治問題は沢山あるが、社会問題はその一部に過ぎない。
アメリカの大問題は世界的影響力が低下していることだが、民主党
は政権を取ることを優先する、社会問題を先にすれば国民の関心と
選票が得られるとみている。それには差別問題の発言で国民の関心
を買うことである。中間選挙で負けた民主党は差別問題を優先して
国際問題、経済問題は後回しにしている。これに反して共和党の候
補者は国際問題、経済問題などを優先している。
●差別問題の変遷
差別とは社会の違いを作ること、つまり社会を二極化することであ
る。黒人問題はその一つ、差別のない社会なら黒人が大統領になっ
ても問題は起こらない。オバマが当選したのはアメリカでは黒白の
差別が少なくなっていたからであった。だが大統領になったオバマ
は黒人優先主義者だから問題になのだ。フロリダとミズーリで起き
た警察が黒人を射殺した事件では明らかに犯人が悪かった。警察は
自己防衛で犯人を射殺したのだった。ところがオバマが黒人の肩を
持つ発言をしたため暴動が起きて長引いたのだ。
大統領の権威は非常に大きい。黒人オバマが大統領になってから黒
人が大いに威張りだして白人は抗議さえできなくなった。大統領が
後ろ盾になっているから黒人が暴動を起こしても我慢している。
アメリカは越境違法入国を取り締まることさえできず、違法入国し
た未成年者を送還できず、オバマは違法入国者を特赦して居住権を
与えると言いだした。これは明らかに不公平だが、ラティノはオバ
マの違法入国を優遇する処置を歓迎している。オバマの人気取りで
ある。国境を守ることが出来なかったら違法入国は増える一方だが、
オバマは国境を守れないからテキサス、アリゾナ、ネバダなどの州
が悲鳴を上げている。
黒人問題と違法入国に次いで問題なのが同性愛者とマリファナの合
法化、その次が女性差別である。民主党は差別問題に迎合する発言
が多く、共和党は差別に無関心だと宣伝する。
●オバマとアメリカの衰退
昔から言われているように、共和党と民主党の違いは、共和党は小
さな政府と自由競争を目指し、民主党は大きな政府を目指す。大き
な政府とはすべてが政府主導で、大きな予算と赤字の増大、社会福
祉、増税、金持ちから取って貧乏人に与えるなどである。
黒人には貧困者が多い。社会福祉で金をばら撒けば彼らの支持は集
まるが金を与えただけで貧困は解決できない。アメリカ社会は成功
する機会が多く、個人の努力次第で成功することが出来る。アジア
系の移民は努力して成功するものが多い。福祉に頼ってばかりでは
貧困から抜け出せない。雇用を増やす、教育を普及させるなど基本
的政策が大事である。
オバマは民主党員で社会主義者だが、黒人で成功したことで傲慢に
なり独裁的傾向が強い。大統領の権限を拡大し、憲法無視、国会無
視、法制無視、大統領命令を最大限に使うなどと言われている。あ
まりにも法を無視するので去年の中間選挙で共和党が上院下院で多
数となりオバマはレイムダックとなった。
オバマは一貫して中東問題をブッシュの責任として攻撃してきたが、
オバマの中東政策でテロがブッシュ時代よりさらに悪化し、ISIS、
タリバン、アルカイーダなどを制御できなくなった。アジア政策も
リップサービスだけで中国の横暴な領土拡張を抑えきれず、アメリ
カの勢力衰退が明らかである。更にオバマが強引に結んだイランと
の非核協定はアメリカだけでなくアラブ諸国も反対している。オバ
マは先週アラブ諸国の首長をキャンプ・デビッドに招待して会議を
したが、わずか二人の首長が参加しただけで残りは代表を送っただ
け、何の結果も得られなかった。
●アメリカは差別の国だが…
確かに加瀬先生の言う通り、アメリカは差別の国であり、人種問題
やほかの差別は今でもある。オバマが大統領になって黒人問題が悪
化し、白人が沈黙したままだから差別がひどくなったのである。
いまの人種差別は白人優先ではない。黒人が威張って白人は小さく
なっているのだ。黒人が悪くても暴動が起きれば白人は沈黙してい
る。オバマが大統領になったお蔭で黒人たちは大統領がかばってく
れると威張りだした。中東外交が失敗してアラブテロの復讐が始ま
り、アメリカの国威が衰頽し諸国はアメリカを軽視、ISISがアメリ
カに復讐を公言するようになった。
過去30年のアメリカの政治を見れば、カーター、クリントン、オバ
マの民主党政権の「大きな政府」は失敗だらけで、アメリカが国際
的にバカにされる時代であった。特にひどい最近の衰退はオバマの
責任であり、国内でいろいろな差別問題が政治的に利用され、オバ
マは史上最低の大統領と言われるようになった。これが現代アメリ
カの実像である。
差別を政治利用し、逆差別が起きる。
「ヘイトスピーチやめろ」「在日外国人生活保護受給」など、米ほどではないが、その傾向ありではないだろうか。