落葉松亭日記

ニュース・評論スクラップ、凡夫の日々雑感、山歩記など

軋轢高まる南シナ海

2015年06月01日 | 政治・外交
中共の南シナ海での横暴で周辺国との小競り合いがエスカレートしている。
人工島建設で既成事実化し、防空識別圏まで設定する可能性がある。
南シナ海は日本にとっても中東から石油資源を運ぶ重要なシーレーン。
そこが塞がればどうなるか。




「南シナ海緊張高まれば致命的紛争」ASEAN、対中不信深く アジア安全保障2国間会談 【南シナ海問題】2015.5.31 22:55更新
http://www.sankei.com/world/news/150531/wor1505310035-n1.html

写真:31日、シンガポールのアジア安全保障会議で講演する中国人民解放軍の孫建国副総参謀長(英国際戦略研究所提供・共同)

 【シンガポール=吉村英輝】シンガポールで31日まで3日間にわたって開かれたアジア安全保障会議と並行して中国は2国間会談を積極的に行い、南シナ海での人工島建設への批判の広まりを抑えようと努めた。だが一部加盟国が領有権で対立する東南アジア諸国連合(ASEAN)側は、明確な説明をしない中国に対する不信を募らせている。

 「もし南シナ海の緊張が高まれば、私たちの時代で経験する最も致命的な紛争になる」。今年ASEANの議長国を務めるマレーシアのヒシャムディン国防相は5月30日の講演でこう語り、紛争回避へ向け中国と協議中の「行動規範」の策定を急ぐ必要を訴えた。

 中国がスプラトリー(中国名・南沙)諸島の人工島に火砲を構えたとの米国の情報は、昨年5月に中国の石油掘削強行をめぐり衝突したベトナムには看過できない事態だ。会議に参加したベトナムのグエン・チー・ビン国防次官はロイター通信に、「本当なら、複雑な状況にある南シナ海にとって非常に悪い兆候」と述べた。

 中国人民解放軍の孫建国・副総参謀長は5月30日、ベトナムと2国間会談を開き関係改善を模索。だがカーター米国防長官は31日、ベトナムを訪問し、軍事協力などの関係強化を進める。

 シンガポールのウン・エンヘン国防相は31日の最終討論会で、南シナ海の現状を「相互信頼が生まれておらず、不安定化している」と指摘。2002年にASEANと中国が合意した「行動宣言」にも行動自粛が盛り込まれており「守られていれば、それだけで緊張は緩和する」と訴えた。

 さらに孫氏が「今後の行動で信用してもらう」と述べた発言を引用し、「とても良い言葉だ。約束通りの実行を期待する」と中国にクギを刺した。

期待集まる海自P3Cの哨戒活動、壁は航続時間 【南シナ海問題】2015.5.31 20:10更新
http://www.sankei.com/politics/news/150531/plt1505310014-n1.html

写真:シンガポールのウン・エンヘン国防相(右)と会談する中谷防衛相=31日、シンガポール(共同)

 31日に閉幕したアジア安全保障会議(シャングリラ対話)では、中国が人工島を築く南シナ海の問題に焦点が当たった。会議に出席した中谷元(げん)防衛相もこの問題に積極的に関与する姿勢を示したが、自衛隊の警戒監視活動には限界もある。限られた能力でいかに貢献するか-。スプラトリー諸島(中国名・南沙諸島)をめぐる米中対立が過熱する中で、日本政府の模索が続いている。(杉本康士)

 「日本も地域の平和と安全に貢献していく」

 中谷氏は31日に会談したシンガポールのウン・エンヘン国防相に対し、こう強調した。ウン氏も、中国の人工島開発を名指しで批判した中谷氏の前日の講演を高く評価した。・・・

■フィリピンは3月30日、国連の常設仲裁裁判所に提出した4000ページの意見陳述書の中で、九段線が無効だと主張
中国が主張する南シナ海の「九段線」、フィリピンが挑戦状 By Andrew Browne
2014 年 4 月 2 日 19:32 JST
http://jp.wsj.com/articles/SB10001424052702303348104579476973339539140

 【北京】満州人が中国を支配していたとき、そこは南海と命名された。漁師の避難場所となった小島や環礁、礁湖が点在する海域だ。
 今日の地図で南シナ海と呼ばれる海は、国際水路機関(IHO)が1953年に刊行した「大洋と海の境界」で英語の名称が付けられ、位置が定められた。それは世界経済にとって決定的に重要な意味を持っている。
 世界の海上貿易の半分以上がこの海を通って行われる。急成長を遂げているアジア太平洋諸国と欧州や中東、アフリカの市場を結びつけるルートで、膨大な石油埋蔵量があるともみられている。
 しかし、中国を統治している満州帝国の継承者がそのほぼ全部を自分たちが誇らしげに復活させている古代国家の一部だとますます強引に主張していることは、中国の周辺国のみならず米国も驚かせている。

 彼らの歴史的な主張に基づく境界は、9本の境界線「九段線」で記されている。これは中国南部の海南島から遠くはインドネシア北岸近くまで伸びる線で、だらりと垂れた大きな舌のように、輪を描くように下がっている。
中国は1947年の国民党政権が発行した地図に基づき、「九段線」内の領有権を主張しているが、正確な場所を示す座標を公表したことはない

 「九段線」はこれまで常に不可解なものだった。旧中国国民党政権が台湾に逃れる前の内戦終戦前の混沌とした時期である1946年に描かれたものだ。実際、当初は9本ではなく11本だった。勝利を収めた共産党員がこの線を採用した後、1953年にそのうち2本が削除された。地図作成者は規模と正確さを尊重するが、九段線は正確な位置を示していない。太くて黒いマジックペンで書き足されたように見える。

 さらに、中国政府がこの九段線の意味を適切に説明したことはない。この線の内部に点在する領域の要所に対する「疑う余地のない主権」という中国の主張は、この線自体から発生しているのだろうか。あるいは、その逆で、この線は領域の要所と周辺の海域から発生しているのだろうか?
 フィリピンやベトナム、ブルネイ、マレーシアといった領有権問題で対立する中国の周辺諸国は、想像することしかできない。
 こうした理由のため、国際法に従えば、九段線の正当性が認められる可能性はほとんどないだろうというのが、欧米の法学者たちの一般的な見解だ。

 ほどなく、この問題がはっきりする可能性がある。フィリピンは3月30日、国連の常設仲裁裁判所に提出した4000ページの意見陳述書の中で、九段線が無効だと主張した。こうした主張はこれまでで初めて。九段線に法的強制力がないと判断されれば、国連海洋法条約に基づいて設定された排他的経済水域(EEZ)内の沖合いのエネルギー資源や漁業資源の開発が可能となる。中国はこれまでのところ、法的手続きを行っていない。
 フィリピンの今回の画期的な行動には中国の反発というリスクが伴う。中国政府は既に、フィリピン政府との政治的関係をほぼ凍結している。ここ数日間、南シナ海のアユンギン(中国名・仁愛)礁への物資運搬をめぐり、中国船とフィピリン船舶がにらみ合うことになった。
 しかし、もっと重要かつ、戦略計画レベルに発展する可能性のあることは、米国がそれまでの外交的慎重姿勢を止め、九段線を批判する勢力に加わっていることだ。

 米国務省東アジア太平洋地域担当のダニエル・ラッセル次官補は2月の議会証言で、米政府は主権問題ではっきりした見解を示していないが、中国が九段線によって領有権を主張しているため、「不確かさや不安感、不安定さ」が増していると指摘した。同次官補はその上で、米国は「国連海洋法条約に従い、中国が九段線の主張を明確にし、調整することを歓迎する」と述べた。

 中国外務省の報道官は、「南シナ海での中国の権利と国益は歴史的に形成され、国際法で保護されている」と述べたが、それ以上の詳細には触れなかった。
 米国家安全保障会議で以前に中国・台湾・モンゴル関係を担当したPaul Haenle氏は、米国の姿勢転換につながったのは、昨年11月に中国が尖閣諸島などを含む東シナ海上空に広い範囲の防空識別圏(ADIZ)を設定したことだとの見方を示した。
 米政府はそれ以降、中国政府に対し、南シナ海で同じことを行わないよう明確に警告している。Haenle氏は米国は「ある朝目覚めて、この地域全体が変わっていること」を恐れていると指摘した。

 しかし、米国が示唆するように、九段線を変更することは中国政府にとっては政治的に不可能かもしれない。中国はフィリピンの行動をあまりにも傲慢だとみなしている。習近平国家主席のいわゆる「チャイナ・ドリーム」に対する侮辱だと受け止めているからだ。
 この件に関する国連仲裁裁判所の判断は明らかでないが、フィリピン政府の主張が認められる場合には、中国はその判断を単に無視し、以前と同じことを続けるだろう。最も簡単な解決策は、当事国すべてが領有権問題を棚上げし、同地域の天然資源の共同開発に焦点を絞ることだ。
 しかし、これは中国帝国が伝統的に物事に対処してきた方法ではない。ここ数日間、フィリピンなどの小さな諸国は、中国を頂点とする階層の底だという身の程を知ることになった。フィリピン政府がその秩序を乱すのを中国が黙認するとは考えにくい。

南沙諸島:中国海軍がブイ投下…ベトナム海軍撤去  毎日新聞2014年2月8日(土)18:40
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/world/20140209k0000m030027000c.html

 【北京・石原聖】中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の一部加盟国が領有権を争う南シナ海で、ベトナムが実効支配する南沙(スプラトリー)諸島の砂州「東景宏島」(中国名・染青沙洲)付近に3日、中国海軍の船が海面にブイを投下したが、ベトナム海軍が即座に撤去した。中国メディアが8日、ベトナムメディアの報道を引用して伝えた。

 中国は南シナ海の図面上に九つの破線「九段線」を記してほぼ全域に主権・主権的権利があると主張。今年1月からこの海域で操業する外国漁船に中国当局の許可取得を義務づけるなど漁業権の制限を強めた。直後には、中国の監視船がベトナム漁船を取り締まる事案が2件発生した。

 また、マレーシアの排他的経済水域(EEZ)にあり、中国が最南端の領土と主張する南沙の暗礁「ジェームズ礁」(中国名・曽母暗沙)近海では中国の艦艇3隻が甲板の上で「主権宣誓式」をした。

 中国は管轄権を行使し、南シナ海の領有権主張を国内外に浸透させる動きを加速させている。

■中共の妄想「九段線」とは(Wiki)↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%9D%E6%AE%B5%E7%B7%9A
■海洋法に関する国際連合条約(Wiki)↓
http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E6%B5%B7%E6%B4%8B%E6%B3%95%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E9%80%A3%E5%90%88%E6%9D%A1%E7%B4%84&redirect=no