新興国に対するインフラ輸出には様々な問題が付きまとうようだ。
インドネシアに対する高速鉄道輸出では中国の不採算覚悟の受注に敗退した。
調査資料がライバルに盗まれた
過剰品質・技術漏洩・各社の足並みが・・
■日本の「新幹線輸出」が決して楽観視できない3つの事情 2015年09月18日 ビジネス
http://hbol.jp/60821
インドネシアに対する高速鉄道輸出では中国の不採算覚悟の受注に敗退した。
【主張】高速鉄道輸出 採算抜きの競争は無用だ 2015.10.2 05:02
http://www.sankei.com/column/print/151002/clm1510020002-c.html
インドネシアの高速鉄道計画について、日本と競り合っていた中国の受注が固まった。政府の財政負担を伴わないとするインドネシア側の条件を中国がのんだためだ。
日本政府は、成長戦略の一環で鉄道などインフラ輸出の強化を掲げている。日本が先行していた今回の商談で受注を果たせなかったのは残念だ。方針を二転三転させたインドネシア政府の姿勢にも不満が残る。
もっとも、インフラ輸出では計画の透明性や採算の確保が重要となる。受注の獲得を優先するあまり、リスクを押しつけられるような商談では、日本の成長にもつながるまい。
新興国ビジネスは、相手国の政治的な事情を抜きに語れない。そうしたカントリーリスクを見極め、官民でしたたかな戦略を改めて構築しなければならない。
高速鉄道計画は、ジャカルタとバンドン間の約140キロを結ぶものだ。新幹線方式を売り込んだ日本は事業化調査に協力し、円借款供与などを表明していた。
だが、インドネシア側は昨年10月の大統領交代後、政府の資金や債務保証を伴わない民間ベースの事業とする方針を唐突に打ち出した。この条件には、日本だけでなく、遅れて参加を表明した中国も対応できず、先月初めに計画を白紙に戻すとしていた。
それをまたも覆し、中国案を採用すると日本に伝えてきたインドネシアの判断は、とても納得できない。
中国側から、条件を受け入れる新たな提案があったためだというが、その経緯はあまりにも不透明だ。菅義偉官房長官が「常識では考えられない」と批判したのも理解できる。
インドネシアの高速鉄道計画について、日本と競り合っていた中国の受注が固まった。政府の財政負担を伴わないとするインドネシア側の条件を中国がのんだためだ。
日本政府は、成長戦略の一環で鉄道などインフラ輸出の強化を掲げている。日本が先行していた今回の商談で受注を果たせなかったのは残念だ。方針を二転三転させたインドネシア政府の姿勢にも不満が残る。
もっとも、インフラ輸出では計画の透明性や採算の確保が重要となる。受注の獲得を優先するあまり、リスクを押しつけられるような商談では、日本の成長にもつながるまい。
新興国ビジネスは、相手国の政治的な事情を抜きに語れない。そうしたカントリーリスクを見極め、官民でしたたかな戦略を改めて構築しなければならない。
高速鉄道計画は、ジャカルタとバンドン間の約140キロを結ぶものだ。新幹線方式を売り込んだ日本は事業化調査に協力し、円借款供与などを表明していた。
だが、インドネシア側は昨年10月の大統領交代後、政府の資金や債務保証を伴わない民間ベースの事業とする方針を唐突に打ち出した。この条件には、日本だけでなく、遅れて参加を表明した中国も対応できず、先月初めに計画を白紙に戻すとしていた。
それをまたも覆し、中国案を採用すると日本に伝えてきたインドネシアの判断は、とても納得できない。
中国側から、条件を受け入れる新たな提案があったためだというが、その経緯はあまりにも不透明だ。菅義偉官房長官が「常識では考えられない」と批判したのも理解できる。
調査資料がライバルに盗まれた
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成27年(2015)10月2日(金曜日)通算第4670号
http://melma.com/backnumber_45206/
インドネシア新幹線はなぜ中国の横取りとなったのか?
最大の問題は日本が2億6000万円かけた調査資料が盗まれたことだ
中国が「お得意」の新幹線は海外へのプロジェクト輸出、あちこちでオファーがなされている。
完成したのはイスタンブール~アンカラ間のみ。ところが開通式にエルドアン大統領が試乗したが、30分動かなかった。お粗末の見本となった。
ほぼ決まった中国新幹線の輸出は、タイ北部からバンコクを結ぶ高速鉄道である。
ほかにオファー中なのが、メキシコ、ブラジル~ペルーという大言壮語、おなじく夢のおはなしはエベレストにトンネルを掘ってチベットからネパールを繋ぐ。
米国でもあちこちに高速鉄道の話を持ちかけている。ラスベガス~ロスの高速鉄道も敷設すると豪語している。
インドネシア新幹線は、ユドヨノ政権時代に日本が主導した。
ところが政権が交代し、途中から乗り込んできた中国はさかんな賄賂攻勢をかけて、ほぼ日本で決まりかけていたバンドン~ジャカルタ新幹線プロジェクトを土壇場で強引にもぎ取った。
低利融資のうえ、政府保障を求めないという、前代未聞の条件を中国が呑んだからだ。「赤字になっても構わない」と言っていることになる。
さてインドネシアの首都ジャカルタから、国際都市でもあり学園都市でもあるバンドンへはバスがもっとも便利で高速道路を三時間で突っ走る。およそ140キロ。
平行して鉄道が走っており山岳、台地、崖地、河川をまたぎ、トンネル箇所も多い。筆者は二年前に、逆のバンドンからジャカルタへの帰り道に乗ったが、四時間かかった。既存の鉄道はかなり揺れる。
日本企業連合は、この区間の新幹線工事のため、各地で測量し土地の地質などをしらべ、また随所にボーリング調査を行って詳細な見積もりをだした。
このフィージビリティスタディに投じた費用は2億6000万円。数年かけて作成した事前調査を基礎とする見積もり報告書が、なぜか、そっくり中国に漏洩していた。つまり中国は、この日本の報告書をもとに安い金額を書き入れて、インドネシア新政権にアプローチをかけて、商談を覆したのだ。
その中国の諜報能力と、賄賂で転んだインドネシア政府高官がいることに、もっと注目するべきではないのか。
▲余剰生産設備、目に余る在庫の山
なぜ中国はそこまでするのか?
余剰設備、過剰在庫、余剰社員という難題に対応するためである。
新幹線プロジェクトは善意の日本が当初、協力した。中国は2006年に北京―天津間を開通させ、その後、北京―上海―広州―武漢など、あちこちに網の目のように新幹線レート拡大した。
なんと九年間で、13000キロ(日本は北陸新幹線開業で3000キロを突破)、この過剰な労働力、設備、車両などの過剰生産を処分するには海外市場を開拓しなければならないというディレンマに陥った。
鉄道の産業界が窮地に立っているのである。
あたかも自動車生産の能力は5000万台。ことしの販売予測は2000万台いくか、いかないか。生産設備が余剰となっている。
鉄鋼をみても、粗鋼生産はじつに9億トン、国内需要は6億ドン、在庫3億トンはダンピングで海外へ売る。
だから日本の鉄鋼メーカーと高炉メーカー、輸出を扱う照射商社は真っ青になる。
インドネシア政府が親日的だからといって甘く見ていた日本は、これからも世界各地で同様な妨害にぶち当たるであろう。
http://melma.com/backnumber_45206/
インドネシア新幹線はなぜ中国の横取りとなったのか?
最大の問題は日本が2億6000万円かけた調査資料が盗まれたことだ
中国が「お得意」の新幹線は海外へのプロジェクト輸出、あちこちでオファーがなされている。
完成したのはイスタンブール~アンカラ間のみ。ところが開通式にエルドアン大統領が試乗したが、30分動かなかった。お粗末の見本となった。
ほぼ決まった中国新幹線の輸出は、タイ北部からバンコクを結ぶ高速鉄道である。
ほかにオファー中なのが、メキシコ、ブラジル~ペルーという大言壮語、おなじく夢のおはなしはエベレストにトンネルを掘ってチベットからネパールを繋ぐ。
米国でもあちこちに高速鉄道の話を持ちかけている。ラスベガス~ロスの高速鉄道も敷設すると豪語している。
インドネシア新幹線は、ユドヨノ政権時代に日本が主導した。
ところが政権が交代し、途中から乗り込んできた中国はさかんな賄賂攻勢をかけて、ほぼ日本で決まりかけていたバンドン~ジャカルタ新幹線プロジェクトを土壇場で強引にもぎ取った。
低利融資のうえ、政府保障を求めないという、前代未聞の条件を中国が呑んだからだ。「赤字になっても構わない」と言っていることになる。
さてインドネシアの首都ジャカルタから、国際都市でもあり学園都市でもあるバンドンへはバスがもっとも便利で高速道路を三時間で突っ走る。およそ140キロ。
平行して鉄道が走っており山岳、台地、崖地、河川をまたぎ、トンネル箇所も多い。筆者は二年前に、逆のバンドンからジャカルタへの帰り道に乗ったが、四時間かかった。既存の鉄道はかなり揺れる。
日本企業連合は、この区間の新幹線工事のため、各地で測量し土地の地質などをしらべ、また随所にボーリング調査を行って詳細な見積もりをだした。
このフィージビリティスタディに投じた費用は2億6000万円。数年かけて作成した事前調査を基礎とする見積もり報告書が、なぜか、そっくり中国に漏洩していた。つまり中国は、この日本の報告書をもとに安い金額を書き入れて、インドネシア新政権にアプローチをかけて、商談を覆したのだ。
その中国の諜報能力と、賄賂で転んだインドネシア政府高官がいることに、もっと注目するべきではないのか。
▲余剰生産設備、目に余る在庫の山
なぜ中国はそこまでするのか?
余剰設備、過剰在庫、余剰社員という難題に対応するためである。
新幹線プロジェクトは善意の日本が当初、協力した。中国は2006年に北京―天津間を開通させ、その後、北京―上海―広州―武漢など、あちこちに網の目のように新幹線レート拡大した。
なんと九年間で、13000キロ(日本は北陸新幹線開業で3000キロを突破)、この過剰な労働力、設備、車両などの過剰生産を処分するには海外市場を開拓しなければならないというディレンマに陥った。
鉄道の産業界が窮地に立っているのである。
あたかも自動車生産の能力は5000万台。ことしの販売予測は2000万台いくか、いかないか。生産設備が余剰となっている。
鉄鋼をみても、粗鋼生産はじつに9億トン、国内需要は6億ドン、在庫3億トンはダンピングで海外へ売る。
だから日本の鉄鋼メーカーと高炉メーカー、輸出を扱う
インドネシア政府が親日的だからといって甘く見ていた日本は、これからも世界各地で同様な妨害にぶち当たるであろう。
過剰品質・技術漏洩・各社の足並みが・・
■日本の「新幹線輸出」が決して楽観視できない3つの事情 2015年09月18日 ビジネス
http://hbol.jp/60821