落葉松亭日記

ニュース・評論スクラップ、凡夫の日々雑感、山歩記など

フィリピンの熱い視線

2015年06月05日 | 政治・外交
中共の横暴には、もうウンザリ。
南シナ海周辺国はそう思っているのではないか。
中共が最も恐れるのは、これらの国の連携だろう。
比大統領、安保法案に「強い尊敬の念」 中国の海洋進出で連携呼びかけ 2015.6.3 20:44更新

http://www.sankei.com/politics/news/150603/plt1506030029-n1.html

 来日中のフィリピンのアキノ大統領は3日、参院本会議場で演説し、政府が今国会で成立を目指す安全保障関連法案について「国会審議に最大限の関心と強い尊敬の念を持つ」と評価した。尖閣諸島(沖縄県石垣市)や南シナ海で軍事的圧力を強める中国を念頭に「日本との関係は地域の自由を確保するための最前線にある」と述べ、対中政策で連携を呼びかけた。

 アキノ氏は「両国が最も大きな声をあげて、脅威にさらされている地域の安定を擁護するのは当然の流れだ」と指摘。中国が進める南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島の岩礁埋め立てを念頭に「国際法で明確に付与された範囲の外側で、地理的境界や権原(領域支配の根拠)を書き換える試みによって、海洋や地域の繁栄が損なわれる危険にさらされている」と危機感をあらわにした。

 安保関連法案については「日本は平和維持のため、国際社会に責任を果たす上でより積極的な立場を取っている」と理解を示した。

 アキノ氏は、日本が戦後フィリピンに大規模な政府開発援助(ODA)を行ったことに触れ「日本は過去の傷を癒やす義務を果たす以上のことを成し遂げ、真に利他的な意志を持って行動した」と謝意を示した。

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル 第190号
http://melma.com/backnumber_190875/

*武器供与せよ!

 フィリピンのアキノ大統領が来日し安倍総理と会談した。フィリピンは現在、ベトナムと並んで中国の海洋侵略に最もさらされている国である。中国は南シナ海を埋立て人工島を建設し軍事要塞を構築しようとしている。
 完成すれば南シナ海の制空権と制海権は中国に帰し、フィリピン、ベトナム、台湾を含む沿岸国は中国の軍事覇権下に入ることになる。太平洋とインド洋の交通路が遮断されることから米軍は日本に駐留するメリットを失い日本から撤退し、日本は太平洋に孤立するしかなくなるであろう。
 一口に言えば江戸時代の日本に戻ることになる。当時の人口は約3000万人、1億2000万人の国がいきなり3000万人の国になるとは何を意味するか?現在の繁栄が完全に失われることは確かであろう。かくして南シナ海の状況が日本の重要事態であることがご理解いただけよう。

 さて、その中国の脅威の最前線に立つフィリピンとベトナムが日本に助けを求めている。日本として何ができるのか?
 海上自衛隊には対潜哨戒機P-3Cが約70機あり、順次新型のP-1に代わりつつある。退役したP-3Cは廃棄処分となる予定だが、この退役したP-3Cを廃棄せずに比越両国に供与したらどうか?
 従来は武器輸出3原則の縛りで武器供与は不可能だったが、昨年これは撤廃されている。つまり法的に可能なのである。ただし対潜哨戒機のできることは中国の潜水艦の監視だけであり、しかも制空権を中国に取られれば飛行そのものが出来なくなる。
 どうしても比越両国の空軍力の強化が急務であろう。だが武器供与が許されると言うのであれば話は簡単だ。現在、航空自衛隊にはF-4ファントム戦闘機が約50機ある。これも順次退役しつつある。ならばこれを廃棄せずに両国に供与すればいいのである。

 これに対し、中国が「国際法違反だ」と非難したら、日本は歴史論争を逆手にとって有効な反駁が出来る。かつて日中戦争のとき、米国のルーズベルト政権は中国を支援してフライングタイガーと呼ばれる戦闘機部隊をまるごと中国に供与した。
 中国はこのとき、これを国際法違反などとは決して言わず、ありがたく受け入れている。ならば日本が第3国に武器を供与しても中国がこれを非難する資格はない筈である。

軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)
1957年広島県生まれ、1983年埼玉大学教養学部卒業後、航空自衛隊に幹部候補生として入隊、主に情報通信関係の将校として11年間勤務。1994年文筆活動に転換、翌年、第1回読売論壇新人賞受賞。2011年、メルマ!ガ オブ ザイヤー受賞。2012年、著書「国防の常識」第7章を抜粋した論文「文化防衛と文明の衝突」が第5回「真の近現代史観」懸賞論文に入賞。
著書:
「領土の常識」(角川学芸出版)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=321212000089
「国防の常識」(角川学芸出版)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=201203000167
「戦争の常識」(文春新書)
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166604265
「エシュロンと情報戦争」(文春新書、絶版)
共著:「総図解よくわかる第二次世界大戦」
http://www.kadokawa.co.jp/product/301310010411/
監修:
「イラスト図解 戦闘機」
http://www.tg-net.co.jp/item/4528019388.html
「超図解でよくわかる!現代のミサイル」
http://www.tg-net.co.jp/item/486298102X.html?isAZ=true
インターネット動画配信中:
「現代戦闘機ファイル」
http://www.nicovideo.jp/watch/1411697197
「よくわかる!ミサイル白書」
http://www.nicovideo.jp/watch/1383640409

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成27年(2015)6月5日(金曜日)通算第4565号
http://melma.com/backnumber_45206/

フィリピンへ進出した日本企業はインドを越えた
アキノ大統領来日で、さらに両国関係深まる


 クラーク基地が再開されていたことに驚いたことは述べたが、先月、フィリピン各地をあるいて、日本企業の躍進的な増加にも目を見張った。
 フィリピンへ進出している日本企業は1200社前後で、インドのそれは1070社(14年末)だから、ブームのインドより、近場のフィリピンへの進出が際立っていることになる。

マニラの豪華ホテルには必ずと言っていいほどに寿司、天ぷら、鉄板焼きのレストランが入居しているではないか。
 クラーク基地を米軍が使っていた頃、アンヘイレスの町は基地城下町、風俗から怪しげなナイトクラブが活況を呈していた。
いま、ここはコリアンタウンに変貌している。そしてクラーク基地の一部は民間空港として再開され、仁川への直行便が飛んでいる。

  さてフィリピンのベニグノ・アキノ大統領が国賓として来日し、国会でも演説、日本企業との歓迎パーティにも出席し、精力的に共同を謳いつつ、中国の侵略的行為を非難して海洋ルールの徹底、公海の安全を訴えた。
珍しく日本のメディアが大きく伝えた。

まずアキノ大統領は6月3日の「アジアの未来特別セッション」で記念講演に立ち、「中国はスプラトリー岩礁の埋立てを再考するべきであり、領土の主張は不法である。この懸念は日本も欧米も共有している」と名指しで中国を批判し、「米軍の存在は不可欠であり、フィリピンは日本の安保法制を理解し、支持する。公海の航行の自由と法の支配」を強調した。

ひきつづき6月4日、日比首脳会談が迎賓館で開催され、「南シナ海に於ける深刻な懸念」を共有するとして、「物理的変更をともなう一方的行動の自制を(中国に)もとめる」とする共同宣言を発表した。

南シナ海の一方的行動をやめない中国は、国際社会で四面楚歌になりつつある。



西村眞悟氏『(南シナ海シーレーンは)我が国の「個別的自衛権行使」の領域』

2015年06月02日 | 政治・外交
南シナ海の状況に対する認識度は政治家、マスコミ、ジャーナリスト、国民で温度差がある。
万が一、有事に発展したとき、吃驚仰天するようなことがないよう、心の準備は必要だろう。
西村眞悟の時事通信 平成27年6月1日(月) http://www.n-shingo.com/

「ミュンヘンの宥和」の教訓を実践する時が到来している

今まさに、東アジアの状況の中で、 歴史の教訓としての戦争を生み出した「ミュンヘンの宥和」を思い起こし、 同じ轍を断じて踏まないと決断し行動に移さねばならない。

先日、本通信で「目を外に転じよ」と題して、
中共の南シナ海スプラットリー諸島での人口島建設を「侵略」であると警告した。
しかし、その時は、中共はまだ、人工島建設の目的を漁業のためとか資源調査のためとか説明しており、「平和を守るため」として軍事の為、即ち、南シナ海における軍事力増強の為とは認めていなかった。

ところが、五月三十一日、シンガポールのアジア安全保障会議(シャングリラ対話)において、 中共の人民解放軍副総参謀長である孫建国は、南シナ海の人工島建設を、 軍事、防衛上のニーズを満たすためだ、と説明し、明確に軍事目的であることを認めた。

これは、我が国が、中共の南シナ海における人工島建設に対する対処を一変させる転機である。 即ち、我が国も、中共の「明確になった軍事目的」を、「明確に阻止する」行動を開始するべきである。
仮に、中共が明確にした軍事目的達成のための人工島建設を、 我が国が今までのような態度を続けて見守るだけなら、 それはつまり、我が国が、中共に「宥和」し、 果ては中共の東アジア海域に対する「侵略」を追認することになる。

アメリカのカーター国防長官は、人口島の十二海里以遠で偵察飛行を続けながら、十二海里以内を航行する方針を明確に打ち出し、シンガポールでの同会議において、五月三十日、中共に人工島建設の即時中止を要求した。
このアメリカの要求に対して、中共の孫副総参謀長は、翌三十一日、明確に「軍事目的である」と認めたのだ。

よって、我が国は、 このアメリカの要求に対する中共の明確な軍事目的表明を受けて、 その中共の軍事目的を阻止する行動を開始するべく、 アメリカおよびアセアン諸国またオーストラリアとニュージーランドに、 「東アジアの海の自由を守る作戦」実施を呼びかる時が来た。

再度明確に言っておく。
南シナ海のシーレーンを守ること、南シナ海の航行の自由を守ることは、 我が国の存立に直接影響を与える、我が国の「個別的自衛権行使」の領域である。

国会において、現在、ちんたらと行われている「安全保障体制議論」に、 総理大臣を付き合わせている時ではない。 次の経過から学べ。

一九三六年(昭和十一年)、ナチスドイツのヒットラーは、 ベルサイユ条約で非武装地帯と定められたラインラントに武力侵攻した。
イギリスなど各国はそれを阻止しなかった。
一九三八年(十三年)、ヒットラーは、オーストリーを併合した。
次いで、ヒットラーは、チェコスロバキアのズデーデン地方の割譲を要求する。

同年九月、ミュンヘンにイギリスやフランス首脳が集まり、ヒットラーの要求を認める(宥和)。
イギリス首相チェンバレンは、ミュンヘンから帰国して、空港で、 「私は平和を持ち帰った」とイギリス国民に告げる。

ところが、 一九三九年八月、独ソ不可侵条約締結(モロトフ・リッペントロップ協定)、 同年九月一日、ドイツ、ポーランド侵攻、 九月三日、イギリス・フランス、ドイツに宣戦布告・・・第二次世界大戦勃発。
つまり、チェンバレンが持ち帰ったのは、平和ではなく戦争であった。
これが、独裁者との宥和が生み出した結果である。

イギリスの戦時首相ウインストン・チャーチルは、「回顧録」で述べる。
「第二次世界大戦は、防ぐことができた。
融和策ではなく、早い段階でヒットラーを叩きつぶしておれば、 その後のホロコーストもなかっただろう。」

アメリカのジョン・F・ケネディ大統領のハーバード大学時代の研究テーマは、 「ミュンヘンの宥和」であった。そして、「何故、イギリスは眠ったのか」という論文を書いた。
当然、ケネディは、チャーチルがミュンヘンの宥和に対して何と言ったかは知っている。
よってケネディは、この「ミュンヘンの宥和」から得た教訓に基づいて、 一九六二年(昭和三十七年)十月十四日~二十八日の「キューバ危機」において、 「早い段階で叩きつぶす」決断をしたのだ。
即ち、ケネディは、断固としてキューバを海上封鎖して第三次世界大戦も辞さずとの姿勢を示し、 ソ連がキューバに核弾頭ミサイルを運び込むのを阻止し、ソ連に既に運び込まれたミサイルの撤去を要求した。
この時アメリカ軍は、 B52戦略爆撃機が常時空中待機するデフコン2(最高度に準じる防衛体勢)に入った。
この結果、ソ連のフルシチョフ首相は、キューバからのミサイル撤去を表明する。
ケネディが、「ミュンヘンの宥和」からの教訓に基づいた、 相手の意図を「早い段階で叩きつぶす」措置を決断していなければ、 アメリカは現在も、喉元に核ミサイルという短刀を突き付けられたままだったろう。

そこで現在、 中共が埋め立てて人工島を造っているスプラットリー諸島(南沙諸島)は、 フィリピンが領有権を主張している諸島であり、 同じく中共が奪った西沙諸島は、ベトナムが領有権を主張している諸島である。
また、尖閣諸島は、我が国固有の領土である。

このように中共が領有を主張している所は、総て他国の領有するところである。
つまり中共は、他国の島を武力で奪い、これから奪おうとしているのだ。
これ即ち、中共は、 ラインラントに進駐し、オーストリーを併合し、ズデーデン地方を奪った ナチスドイツのヒットラーと同じである。

振り返って、チャーチルが言う「早い段階でヒットラーを叩きつぶす」べき時は、 ヒットラーの「ラインラント進駐」の時であった。
これを現在の東アジアに置き換えれば、 南シナ海における中共の「ラインラント進駐」が、 現在進行中のスプラットリー諸島埋め立てである。

我が国は、「ミュンヘンの宥和」からの教訓に基づき、 フィリピン、アメリカと連携して、 フィリピンのスービック及びクラーク基地に哨戒機と戦闘機とイージス艦を進出させ、 アメリカ海空軍と協働して、 中共のスプラットリー諸島軍事基地化を阻止するための作戦行動を開始すべきである。 事態は、既にこれほど深刻である。

お問い合わせ:西村眞悟事務所
TEL:072-277-4140 E-mail:sakaioffice@n-shingo.com



軋轢高まる南シナ海

2015年06月01日 | 政治・外交
中共の南シナ海での横暴で周辺国との小競り合いがエスカレートしている。
人工島建設で既成事実化し、防空識別圏まで設定する可能性がある。
南シナ海は日本にとっても中東から石油資源を運ぶ重要なシーレーン。
そこが塞がればどうなるか。




「南シナ海緊張高まれば致命的紛争」ASEAN、対中不信深く アジア安全保障2国間会談 【南シナ海問題】2015.5.31 22:55更新
http://www.sankei.com/world/news/150531/wor1505310035-n1.html

写真:31日、シンガポールのアジア安全保障会議で講演する中国人民解放軍の孫建国副総参謀長(英国際戦略研究所提供・共同)

 【シンガポール=吉村英輝】シンガポールで31日まで3日間にわたって開かれたアジア安全保障会議と並行して中国は2国間会談を積極的に行い、南シナ海での人工島建設への批判の広まりを抑えようと努めた。だが一部加盟国が領有権で対立する東南アジア諸国連合(ASEAN)側は、明確な説明をしない中国に対する不信を募らせている。

 「もし南シナ海の緊張が高まれば、私たちの時代で経験する最も致命的な紛争になる」。今年ASEANの議長国を務めるマレーシアのヒシャムディン国防相は5月30日の講演でこう語り、紛争回避へ向け中国と協議中の「行動規範」の策定を急ぐ必要を訴えた。

 中国がスプラトリー(中国名・南沙)諸島の人工島に火砲を構えたとの米国の情報は、昨年5月に中国の石油掘削強行をめぐり衝突したベトナムには看過できない事態だ。会議に参加したベトナムのグエン・チー・ビン国防次官はロイター通信に、「本当なら、複雑な状況にある南シナ海にとって非常に悪い兆候」と述べた。

 中国人民解放軍の孫建国・副総参謀長は5月30日、ベトナムと2国間会談を開き関係改善を模索。だがカーター米国防長官は31日、ベトナムを訪問し、軍事協力などの関係強化を進める。

 シンガポールのウン・エンヘン国防相は31日の最終討論会で、南シナ海の現状を「相互信頼が生まれておらず、不安定化している」と指摘。2002年にASEANと中国が合意した「行動宣言」にも行動自粛が盛り込まれており「守られていれば、それだけで緊張は緩和する」と訴えた。

 さらに孫氏が「今後の行動で信用してもらう」と述べた発言を引用し、「とても良い言葉だ。約束通りの実行を期待する」と中国にクギを刺した。

期待集まる海自P3Cの哨戒活動、壁は航続時間 【南シナ海問題】2015.5.31 20:10更新
http://www.sankei.com/politics/news/150531/plt1505310014-n1.html

写真:シンガポールのウン・エンヘン国防相(右)と会談する中谷防衛相=31日、シンガポール(共同)

 31日に閉幕したアジア安全保障会議(シャングリラ対話)では、中国が人工島を築く南シナ海の問題に焦点が当たった。会議に出席した中谷元(げん)防衛相もこの問題に積極的に関与する姿勢を示したが、自衛隊の警戒監視活動には限界もある。限られた能力でいかに貢献するか-。スプラトリー諸島(中国名・南沙諸島)をめぐる米中対立が過熱する中で、日本政府の模索が続いている。(杉本康士)

 「日本も地域の平和と安全に貢献していく」

 中谷氏は31日に会談したシンガポールのウン・エンヘン国防相に対し、こう強調した。ウン氏も、中国の人工島開発を名指しで批判した中谷氏の前日の講演を高く評価した。・・・

■フィリピンは3月30日、国連の常設仲裁裁判所に提出した4000ページの意見陳述書の中で、九段線が無効だと主張
中国が主張する南シナ海の「九段線」、フィリピンが挑戦状 By Andrew Browne
2014 年 4 月 2 日 19:32 JST
http://jp.wsj.com/articles/SB10001424052702303348104579476973339539140

 【北京】満州人が中国を支配していたとき、そこは南海と命名された。漁師の避難場所となった小島や環礁、礁湖が点在する海域だ。
 今日の地図で南シナ海と呼ばれる海は、国際水路機関(IHO)が1953年に刊行した「大洋と海の境界」で英語の名称が付けられ、位置が定められた。それは世界経済にとって決定的に重要な意味を持っている。
 世界の海上貿易の半分以上がこの海を通って行われる。急成長を遂げているアジア太平洋諸国と欧州や中東、アフリカの市場を結びつけるルートで、膨大な石油埋蔵量があるともみられている。
 しかし、中国を統治している満州帝国の継承者がそのほぼ全部を自分たちが誇らしげに復活させている古代国家の一部だとますます強引に主張していることは、中国の周辺国のみならず米国も驚かせている。

 彼らの歴史的な主張に基づく境界は、9本の境界線「九段線」で記されている。これは中国南部の海南島から遠くはインドネシア北岸近くまで伸びる線で、だらりと垂れた大きな舌のように、輪を描くように下がっている。
中国は1947年の国民党政権が発行した地図に基づき、「九段線」内の領有権を主張しているが、正確な場所を示す座標を公表したことはない

 「九段線」はこれまで常に不可解なものだった。旧中国国民党政権が台湾に逃れる前の内戦終戦前の混沌とした時期である1946年に描かれたものだ。実際、当初は9本ではなく11本だった。勝利を収めた共産党員がこの線を採用した後、1953年にそのうち2本が削除された。地図作成者は規模と正確さを尊重するが、九段線は正確な位置を示していない。太くて黒いマジックペンで書き足されたように見える。

 さらに、中国政府がこの九段線の意味を適切に説明したことはない。この線の内部に点在する領域の要所に対する「疑う余地のない主権」という中国の主張は、この線自体から発生しているのだろうか。あるいは、その逆で、この線は領域の要所と周辺の海域から発生しているのだろうか?
 フィリピンやベトナム、ブルネイ、マレーシアといった領有権問題で対立する中国の周辺諸国は、想像することしかできない。
 こうした理由のため、国際法に従えば、九段線の正当性が認められる可能性はほとんどないだろうというのが、欧米の法学者たちの一般的な見解だ。

 ほどなく、この問題がはっきりする可能性がある。フィリピンは3月30日、国連の常設仲裁裁判所に提出した4000ページの意見陳述書の中で、九段線が無効だと主張した。こうした主張はこれまでで初めて。九段線に法的強制力がないと判断されれば、国連海洋法条約に基づいて設定された排他的経済水域(EEZ)内の沖合いのエネルギー資源や漁業資源の開発が可能となる。中国はこれまでのところ、法的手続きを行っていない。
 フィリピンの今回の画期的な行動には中国の反発というリスクが伴う。中国政府は既に、フィリピン政府との政治的関係をほぼ凍結している。ここ数日間、南シナ海のアユンギン(中国名・仁愛)礁への物資運搬をめぐり、中国船とフィピリン船舶がにらみ合うことになった。
 しかし、もっと重要かつ、戦略計画レベルに発展する可能性のあることは、米国がそれまでの外交的慎重姿勢を止め、九段線を批判する勢力に加わっていることだ。

 米国務省東アジア太平洋地域担当のダニエル・ラッセル次官補は2月の議会証言で、米政府は主権問題ではっきりした見解を示していないが、中国が九段線によって領有権を主張しているため、「不確かさや不安感、不安定さ」が増していると指摘した。同次官補はその上で、米国は「国連海洋法条約に従い、中国が九段線の主張を明確にし、調整することを歓迎する」と述べた。

 中国外務省の報道官は、「南シナ海での中国の権利と国益は歴史的に形成され、国際法で保護されている」と述べたが、それ以上の詳細には触れなかった。
 米国家安全保障会議で以前に中国・台湾・モンゴル関係を担当したPaul Haenle氏は、米国の姿勢転換につながったのは、昨年11月に中国が尖閣諸島などを含む東シナ海上空に広い範囲の防空識別圏(ADIZ)を設定したことだとの見方を示した。
 米政府はそれ以降、中国政府に対し、南シナ海で同じことを行わないよう明確に警告している。Haenle氏は米国は「ある朝目覚めて、この地域全体が変わっていること」を恐れていると指摘した。

 しかし、米国が示唆するように、九段線を変更することは中国政府にとっては政治的に不可能かもしれない。中国はフィリピンの行動をあまりにも傲慢だとみなしている。習近平国家主席のいわゆる「チャイナ・ドリーム」に対する侮辱だと受け止めているからだ。
 この件に関する国連仲裁裁判所の判断は明らかでないが、フィリピン政府の主張が認められる場合には、中国はその判断を単に無視し、以前と同じことを続けるだろう。最も簡単な解決策は、当事国すべてが領有権問題を棚上げし、同地域の天然資源の共同開発に焦点を絞ることだ。
 しかし、これは中国帝国が伝統的に物事に対処してきた方法ではない。ここ数日間、フィリピンなどの小さな諸国は、中国を頂点とする階層の底だという身の程を知ることになった。フィリピン政府がその秩序を乱すのを中国が黙認するとは考えにくい。

南沙諸島:中国海軍がブイ投下…ベトナム海軍撤去  毎日新聞2014年2月8日(土)18:40
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/world/20140209k0000m030027000c.html

 【北京・石原聖】中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の一部加盟国が領有権を争う南シナ海で、ベトナムが実効支配する南沙(スプラトリー)諸島の砂州「東景宏島」(中国名・染青沙洲)付近に3日、中国海軍の船が海面にブイを投下したが、ベトナム海軍が即座に撤去した。中国メディアが8日、ベトナムメディアの報道を引用して伝えた。

 中国は南シナ海の図面上に九つの破線「九段線」を記してほぼ全域に主権・主権的権利があると主張。今年1月からこの海域で操業する外国漁船に中国当局の許可取得を義務づけるなど漁業権の制限を強めた。直後には、中国の監視船がベトナム漁船を取り締まる事案が2件発生した。

 また、マレーシアの排他的経済水域(EEZ)にあり、中国が最南端の領土と主張する南沙の暗礁「ジェームズ礁」(中国名・曽母暗沙)近海では中国の艦艇3隻が甲板の上で「主権宣誓式」をした。

 中国は管轄権を行使し、南シナ海の領有権主張を国内外に浸透させる動きを加速させている。

■中共の妄想「九段線」とは(Wiki)↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%9D%E6%AE%B5%E7%B7%9A
■海洋法に関する国際連合条約(Wiki)↓
http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E6%B5%B7%E6%B4%8B%E6%B3%95%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E9%80%A3%E5%90%88%E6%9D%A1%E7%B4%84&redirect=no