かたてブログ

片手袋研究家、石井公二による研究活動報告。

『七年』

2018-03-11 22:01:00 | 雑感

東日本大震災から七年が経ちました。毎年この日は、震災直後に書いた記事を再掲載しています。

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これは僕が“介入型”と呼んでいるタイプの片手袋です。

落ちている片手袋に気付き、見つかりやすい場所に移動してあげた誰かが存在する。

そうして生まれるのがこの“介入型”の片手袋なのです。

我々には有事ではなく普段から、このようなちょっとした、でもとても重要な心の優しさが備わっています。そう信じています。

ましてや過去最大級の有事が起きている今この時。

批判や言い争いや怒りはひとまず置いておいて、正確な情報や落ち着いた行動に基づく優しさを発揮しましょう。

僕自信、自分に出来る事は何か、冷静に考えてみます。

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毎年この文章を再掲するのは、何かを啓蒙しようという思い上がりではなく、あの地震の直後に自分が何を感じたかを忘れないようにする為です。

七年も経つとどうしても色々な感情が薄れていってしまうし、「忘れる」という事も人間の大事な機能だとは思いますが、それでもやっぱり心に刻み付けておくべきこともある筈。

あれ以来、様々な団結も、様々な断裂も両方生まれて、その溝はもう絶対に埋められないくらい深まってしまったようにも思います。

でも、片手袋を落としてしまう心の隙は人間誰でも平等に持ってるし、落ちてる片手袋を思わず拾い上げちゃう優しさだって誰にでも備わってます。

大きな繋がりを持てなくても、小さなところでひっそり繋がってる。そんな事も忘れないよう、これからも日々自分に出来る事を続けていこうと思います。


『片手袋ガチャ』

2017-10-25 22:51:12 | 雑感

結構寒くなってきたというのに、まだあんまり片手袋と出会ってないんですよね。でも流石に12年もやってると焦りは全くありません。いずれバンバン現れてくれるでしょう。

さて、この季節。僕はこんな商品が欲しい!そう、それは「片手袋ガチャガチャ」!

Photo

↑こんな感じです。

僕、「片手袋そのもの」にフィティッシュな執着があるかというと、未だに自分でも分からなくて。「片手袋がある風景」に惹かれるのかもしれないし、「片手袋を生み出す人間の社会」に興味を持っているのかもしれない。

でも、片手袋ガチャだけはあったら絶対に買っちゃいますね。いろんなタイプの片手袋を並べて眺めてたいですわ。

まあ、それを望んでいるのが僕だけである以上、永遠に叶わない夢ですね!


『片手袋研究は13年目に突入です!』

2017-09-01 19:34:56 | 雑感

先月末に片手袋研究は12周年を迎え、13年目に突入いたしました。

傍から見れば相も変わらず同じことを続けているだけに思われるでしょうが(いや、そもそも何も思わないかもしれませんが…)、やはりその時その時で内面的にも外面的にも変化はあるもので。

同じことをずっと研究し続けていると、興味の対象は横にも縦にも広がっていくものです。「横の広がり」というのは例えば、数年前から気になっている世界中に存在する片手袋写真愛好家の事だったり、片手袋が登場する映画やアート作品を調べ上げる事だったり。「縦の広がり」というのは自分自身の内面への興味、とでも言いますか。

僕はあまり他のジャンルの方と交流を持ったりした事がなかったのですが、この一年でポッドキャスト「山車ラジオ」でソンシツ物件の殿下さんとお話しさせて頂いたり別視点ナイトで様々なジャンルの方と交流させて頂いたおかげで、他の専門家の方と共通する点も異なる点も見えてきました。

その中で今、一番感じている疑問は、「なぜ俺はこんな事をやっているのだろう?というか、俺がやってる事って何なんだろう?」というもので。なんか、12年経って振出しに戻ってしまった感がありまクリマクリスティですね…。

僕がやっているような事って「路上観察」にジャンル分けされると思うんですけど、果たして僕は「路上」を「観察」しているのか?撮りたいと思っている対象も「片手袋」という物体なのか、「片手袋が生まれる背後にある人間の行動」なのか?

さらに気になるのが、「片手袋という物体に興味を抱く」という事と「片手袋を撮りネットにアップしたり作品を制作したりする」という行為は乖離しているんじゃないか?という問題です。

ソンシツ物件の殿下さんは「ソンシツという現象の裏にある人間にはそれほど興味がない」と仰ってました。

植木鉢の木村りべかさんはご自分の活動を「路上観察ではない」と感じているそうです。

僕は片手袋研究を自分の中でどう位置付けているのか?これを最近はずっと考えています。勿論答えは出ていないし、一生出ないかもしれませんが、僕はこういう根本的な問題をうじうじといつまでも考えているのが割と好きなタチでしてね。

ただ先日、別視点ナイトでご一緒した木村りべかさんや中島由佳 さんが参加されていた展覧会「庭先PTDX」を見てきて思ったのですが、「今自分に足りないのはアウトプットだな」という事で。

ここ数年、有難いことに色んなメディアにお声をかけて頂いて片手袋研究について喋らせて頂いたりしてますが、「作品として片手袋写真を発表する」というアウトプットの仕方も久しぶりに模索したくなりました。自分の内面を掘り下げていくのもよいですが、もうちょっとゴツゴツした塊を外に向かって投げかけても良いんじゃないか?と。

それと勿論、片手袋研究を書籍としてまとめてみたい、という思いは長年持ち続けていますが、こればかりは需要がなければね…。

・片手袋の撮影
・片手袋の考察&研究
・機会があれば片手袋研究の紹介&普及

は今まで通り続けていきますが、新たな展開も考えていきたいと思います。

まあ、何がどうなるか?なんて事をきっちり決めてやってきた訳ではないので、面白そうな流れがきたら身を任せつつ、13年目も頑張っていきます!

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※最新の片手袋写真

片手袋研究家
石井公二


『高速道路、それは罪悪感へ続く道』

2017-08-23 23:41:00 | 雑感

夏休み。久しぶりにレンタカーをして、内房まで遊びに行ってきた。

楽しい予定の筈。しかし僕は出発前から気持ちが重かった。何故か?そう。『高速道路の片手袋問題』である。

高速道路の片手袋。他のどの種類より量が多い筈なのに、落ちている場所、そして運転中という僕の状況、その二つが組み合わさって今まで一枚も撮れていない片手袋達だ。

東京から内房に向かう首都高。そしてアクアライン。あるわあるわ、ゴム手袋類や軽作業類の片手袋。

目的地に近づくにつれ、はしゃぎ始める家族。それと正反対にどんどん心が重くなっていく僕…。

片手袋研究家。それは夏休みの当り前の楽しみも許されないさだめ。

今日はアップできる写真は一枚もない。高速道路の落下物を回収する職業があると聞く。今、僕の頭にある単語が浮かんでいる。

「転職」


『築地場外の火事に思う』

2017-08-05 21:20:00 | 雑感

築地場外で大きな火事がありましたね。

僕が毎週一回築地に通い始めてもう17年くらいになるんですが、ここ数年だけでも三回くらいニュースになるような火事がありました。

片手袋研究においても個人的な思い入れにおいても大事な場所ですから、そのたびに胸を痛めてきました。どれだけ通っても毎回路上観察的な発見がある場所です。失われてよいものなんて一つもありません。

移転が本決まりになってから(その後、まさかここまで色々問題が起こるとは思っていませんでした)、意識的に片手袋だけでなく築地のなんてことない風景を撮り溜めてます。

あの場所に東京の食を支え続けた市場があった、という大きな歴史は残るでしょうが、そこにあった壁のシミや錆びた階段、年季の入った看板なんかは忘れ去られていく筈。だからせめて僕だけでも、そういう歴史の隅に追いやられてしまうような現象を記録しておきたくて。

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豊洲に移転しても場外は残るので、「記録は場内だけで良いな」と思っていたのですが、今回の火事を見て、やはり場外も記録していく事を決意しました。

まあ僕一人で満足のいく形で記録を残すのは到底不可能なので、本当は路上観察に興味のある人達にも協力して欲しいのですが、何しろ時間がありません。とりあえず見切り発車でも出発してますんで、もし興味ある人がいれば連絡くださいね。一緒に路上観察的な視線で築地を記録しましょう!

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勿論、僕のメインはこいつなんですが。